晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「愛と哀しみの果て」(85・米) 80点

2013-07-26 07:55:23 | (米国) 1980~99 
 ・アフリカの雄大な景観で繰り広げられる、波乱万丈ドラマ。

  

 20世紀初頭、デンマークの裕福な家庭で育った女性が、結婚のためケニアに渡った波乱万丈の17年間を描いた回想記。この年のオスカー作品・監督(シドニー・ポラック)・撮影(デヴィッド・ワトキン)など主要7部門を獲得している。

 主人公カレン・ブリクセンにはメリル・ストリープ。アフリカの自由と孤独を愛するハンター、デニス・ハットンにロバート・レッドフォードという大スターの共演。ふたりの愛の葛藤が展開され邦題に女性観客狙いのタイトルがついているが、原題は「Out Of Africa」。
 
 偉大な資源のあるアフリカをドイツと英国を始めとする列強国が植民地化していた時代。男爵夫人として優雅な暮らしを持ちこんだカレンは夫プロア(クラウス・マリア・ブランダウアー)との諍い、農園でのコーヒー栽培、300キロ先の英軍への食糧運び、梅毒を夫から移され母国での手術、農園での火災など、苦難の連続で培った<人間として愛するヒトの大切さ>を知る。

 カレンと執事ファラ(マリク・ボーウェンス)との絆は共感を呼ぶ。アフリカの大地や現地人に接するうちに逞しい女性から優しい女性になって行く様がとても魅力的だ。全てを失うことでアフリカに英国風上流文化が無意味に感じたことだろう。カレンが最も愛したデニスも、アフリカに同化した金髪のライオンのよう。2人はお互いを認めながら、相容れない人生の価値観があった。

 161分の壮大なアフリカのドラマは、美しい景観とともに繰り広げられ、幾分冗長さはあるものの、ジョン・バリーの美しい音楽とともにアフリカを旅した気分にさせてくれる、贅沢な時間を過ごすことができた。