晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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「永遠に美しく」(92・米) 70点

2013-07-10 10:06:03 | (米国) 1980~99 

 ・SFXを駆使したブラック・コメディ。

  

 「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」3部作のロバート・ゼメキスがシナリオを読んで気に入り監督した、女性の<いつまでも若く美しくありたい>という願望を描いたブラック・コメディ。

 人気女優で最近落ち目のマデリーン(メリル・ストリープ)の楽屋へ現れた友人ヘレン(ゴールデン・ホーン)は、有名整形外科医アーネスト(ブルース・ウィルス)と婚約したことを自慢気に紹介。
 いつもの癖でマデリーンがアーネストを誘惑、2人は結婚してしまう。ヘレンは激太り過食症で7年後は病院送り。
 さらに7年後マデリーン夫婦宛て、ヘレンから出版記念のパーティ招待状が届く。夫婦は14年前のスリムなヘレンとの再会に行天する。

 M・ストリープ、G・ホーンの2大女優にB・ウィリス、イザベラ・ロッセリーニを加えた豪華キャストで、真面目にコメディを演じさせる魅力的なキャスティング。<永遠に若く美しくいられる秘薬>を飲むという突拍子もない話も、軽快でテンポ良く進むと大人のお伽噺として何となく納得してしまう。

 おまけに当時最新のSFXを多用して、ヘレンを身動きができないほどの肥満体にしたり、マデリーンの首を180度廻したり、ヘレンの胴体をくり抜いたりブラックのやり放題に目を奪われているうちに、女の嫉妬と若く美しくありたいという風刺がじわじわと効いてくる。楽屋落ちでモンローやガルボも飲んでいるという皮肉な台詞まででてくる。

 本当は<不老不死>を得た人間の皮肉な不幸せを孕んでいるが、コメディとして突き抜けているところが
手塚治虫の「火の鳥」とは違うところ。

 2人の役柄はマデリーンをG・ホーン、ヘレンをM・ストリープにした方が適役だと思ったが監督は敢えて入れ替えたのだろうか?それにしてもM・ストリープは役柄の広い達者な女優だと改めて知らされる。
 B・ウィリスは「ダイハード」で押しも押されぬアクション大スターでありながら、役柄を狭められるのを嫌がったのか優柔不断な中年男を好演し、命懸けのダイビングが水のなかで救われるというシニカルな笑いを誘っている。
 マデリーンを診察して卒倒してしまう医師にシドニー・ポラックが出ていたのもご愛嬌。

 肩の凝らない楽しい作品だが、2年後「フォレスト・ガンプ/一期一会」でSFXを多用してオスカーを獲得したゼメキス監督のウォーミング・アップ作品として見るのが正解か?。