晴れ、ときどき映画三昧

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「王子と踊り子」(57・米) 80点

2013-07-05 06:39:42 | 外国映画 1946~59

  イメージそのもので演技したM・モンロー。

   

 「7年目の浮気」(55)、「バス停留所」(56)と演技に自信を深めたマリリン・モンローが、自ら製作権を得て映画化した英国風ウィットとアイロニーに富んだラブ・コメディ。もとはテレス・ラディガンの舞台劇で’53エリザベス女王戴冠式を記念してローレンス・オリヴィエが監督・主演して大ヒットしたもの。そのラディガンが脚色し、L・オリヴィエが監督・主演してモンローをバックアップしている。

 ’11英国ジョージ5世の戴冠式に出席のためロンドンにきたカルパチア国大公チャールズ(L・オリヴィエ)と米国の踊り子エルシー(M・モンロー)の恋物語。

 <バルカンの狐>という呼称のチャールズは、英国外務省接待によるミュージカルで端役のエルシーに目を付け、2人きりの晩餐会へ招待する。摂政としては有能だが、恋には不器用なチャールズ。陳腐なラブコールはエルシーには届かず間が持てないチャールズは、ウォッカをがぶ飲みするエルシーを持て余す。真面目な外務省職員ノースブルック(リチャード・ワッティス)に八つ当たり。

 このあたりは舞台劇なら最高に面白いスチエーションだが、映画だとチャールズ大公の可笑しさがいまひとつ伝わってこない。重厚だがユーモラスな雰囲気がオリヴィエらしく絶妙なのに、英語が堪能ではない筆者には理解不足だったのかも。

 モンロー演じるエルシーは本人が望んだとおり素直で可愛らしく、賢くもあり、チャールズの息子・16歳のニコラス国王(ジェレミー・スペンサー)や母である皇太后(ジビル・ソーンダイク)にも気に入られる。殆ど白いドレス姿で出ずっぱりのモンローは、チョッピリ気になるお腹のぽっこりもご愛嬌で、全盛期のモンローを堪能できる。

 もうひとつの見所は戴冠式の様子で、ドラマの流れを損なうのでは?と思うほどシッカリ描写されていて、オリヴィエ監督の拘りを感じさせる。ゴージャスな雰囲気が溢れ出ていた。

 撮影中の2人は、モンローが期待していたようにオリヴィエが好意的には接してくれず、かなり傷ついたようだが作品を観る限り致命的なトラブルがあったとは思えなかった。本作のあと「お熱いのがお好き」(59)、「恋をしましょう」(60)、「荒馬と女」(61)と3作しか残さなかったモンロー。その後、コメディセンス抜群の彼女を超える大女優は現れていない。