偶然
1990年/ポーランド
3つのエピソードを反芻する楽しみ
shinakamさん
男性
総合 90点
ストーリー 90点
キャスト 85点
演出 90点
ビジュアル 90点
音楽 85点
「デカローグ」「トリコロール」シリーズの鬼才クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品。80年ポーランドの医師が故郷ワルシャワへ帰るため列車に飛び乗ろうとしたトキ、乗れた場合・警備員に止められた場合、乗れなかった場合の3つのエピソードで主人公の人生が変わってしまう物語り。どの人生が幸せかを比較するのが難しい。本来なら乗れなかったエピソード3が一番幸せな筈なのにそう簡単に終わらないのがキェシロフスキ監督らしい。政情不安のポーランドを背景に最後まで飽きさせない傑作。
Ray レイ
2004年/アメリカ
レイ・チャールズのファンでなくても楽しめる
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 80点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 85点
レイ・チャールズの伝記映画で、ジェイミー・フォックスが本人に成りきっている。念願叶って映画化した、テイラー・ハックフォード監督作品。
この2人無くしてこの映画は成立しなかっただろう。特にJ・フォックスは「アリ」「コラテラル」と準主役を務め達者な役者として評価が<うなぎのぼり>のところ、適役を得た感じがする。恵まれない少年期はドラマチックに描かれているが、売り出してからの彼を、どう描くかに興味があった。期待以上に彼の心の変化を表現していたのが単なる伝記映画ではないことを証明してみせた。
傷だらけの栄光
1956年/アメリカ
ボクシング自伝映画のバイブル
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 80点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 85点
ミドル級世界チャンピオンロッキー・グラジアーノ(ポール・ニューマン)の半生記。本人が原作の小説をベースにしただけあって、美化されたところはあるが、嘘臭さはない。ロバート・ワイズ監督の演出も無駄がなくテンポ良く物語りが進む。イタリア移民の父母を持ちニューヨークで生まれたロッキーは悪行を重ね、お定まりの感化院、軍隊脱走、刑務所と青少年期を過ごし、盲目的な母の愛とボクシングしか生きる道はないと悟る。そのとき出会った妻(ビア・アンジェル)の献身的な愛に支えられチャンピオンになるまでの物語。口癖の「何も心配ない」人生にしては苦難の連続で、彼の世の中に対する「憎しみ」が「家族愛」となって負けじ魂となって行く。NYへ凱旋パレードするとき「いつかは負けるときがくる」という言葉が印象的。最初と最後に流れるぺりー・コモの主題歌も時代を感じさせて良い。