まち 小野寺文宣(著)2019年11月発行
主人公の青年「瞬一」は、9歳で宿屋を営む両親を火事で亡くし、
18歳まで尾瀬ヶ原近くの村で祖父と暮らす。
祖父は長年に渡り、山小屋に荷物を担いで運ぶ歩荷をしている。
寡黙で逞しい祖父の元、自然に囲まれ瞬一は高校を卒業。
祖父に東京に出てよその世界を知るよう勧められた瞬一は
祖父の言葉に従い、とりあえず上京する。
荒川沿いのアパートで引越しのアルバイトをしながら暮らすことに。
そんな彼が少しづつだが、バイト先やアパートの住人たちと
言葉を交わし、思いやりを持って触れ合っていくうちに、
温かい人間関係を築き、自身も成長していく姿が、
優しい眼差しで、ホッコリと描かれている。
とてもあったかい気持ちになる小説でした。
ガンで余命宣告を受けた祖父が、瞬一の将来を案じ、
孫には何も言わずに、上京するシーンはジーンときます。
母は、前作『ひと』(2019年本屋大賞2位のベストセラー)を
読んでないのでわからないのですが、どうやらその続編らしいです。
ギスギスした世の中で、読後、本当に温かい気持ちになれ、
希望も感じられる良い作品。
わがまま母