遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

大英帝国は大食らい

2019年06月23日 15時47分23秒 | 読書

    大英帝国は大食らい
        イギリスとその帝国による植民地経営は、
       いかにして世界各地の食事を作り上げたか
                    リジー・コリンガム(著)2019年3月発行

   本国だけではなく、古い植民地の資料などを丁寧に集め
   書き上げられているので、歴史好きにはたまらなく面白かった。
   
   大航海時代以来、アフリカ、南米、アメリカ大陸、アジア各地は
   まずはポルトガル、スペインが、その後、オランダ、イギリスが覇権を争い、
   最終的に勝利したのが大英帝国。
   そして、植民地の支配運営方法が、ポルトガルやスペインに較べたら
   格段に上手だった。(その支配手法の善悪は別問題として)
   それは、母が個人的に旅しただけでもありらかに実感できるほど。
   (例えば、南部アフリカ各地やスリランカ、
   そして、行ってはいないけれど、インド、そして独立前のアメリカ、、、)
   
   本書では、
   そんな植民地政策により、莫大な富を築き、
   20世紀初頭までという長きに渡り、
   帝国の繁栄を持続させた大英帝国とその植民地の関係を、
   人が生きるために最も必要な「食」というテーマからアプローチし、
   検証している。
   どちらかといえば、論文に近い構成の読み物だが、堅苦しいわけではない。
   各章毎に、カナリア諸島、北米、西アフリカ、東南アジア、カリブ海の諸島など
   当時のイギリスの植民地だった世界各地別に、本国に送るために生産された食物や
   植民地に移住した英国人の食生活などを、とても詳しく調査し資料をもとに
   書いてあるので、興味深く読み応えがあった。
   
   「とうもろこし粉」「バター」「牛肉」「砂糖」「ピーナッツ」「キャッサバ、芋類」
   「ワイン」「マデイラ酒などの蒸留酒」「紅茶」「胡椒」の他、数々の香辛料・・・
   当時のイギリスでは生産できず、手に入らなかった品々が植民地から供給され、
   貴族のみならず、一般市民の手にも届くようになり飢えの心配から解放された。
   植民地から届く潤沢な食物が、産業革命とその後の英国の発展を牽引可能にした
   事実と、植民地(悲惨ではある)の仕組み、生活、歴史を知ることができる
   貴重な一冊。

      わがまま母

   —本書案内文—
   地形を変え、農業システムを変え、旧世界と新世界との間で穀物の交換が
   できるようし、その過程で自分たちだけでなく他の人々の嗜好をも変えてしまう。
   こうした発展によって編まれた食料の網は人間が住む五大陸全てを
   つなぐ真にグローバルなシステムを作り上げ、
   地球上の孤立した最果ての地さえも引き入れていく。
   本書では、帝国の複雑に入り組んだ相互依存の仕組みと、
   近代世界の食習慣をかたちづくる上で帝国が果たした役割を明らかにしていく。
   


    
   
   
   
   
 
   
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