遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

統ばる島

2011年08月22日 11時33分58秒 | 読書


               統ばる島      池上永一(著)2011年3月発行

  
   八重山諸島の島々を舞台に夢幻と現実そして時空が交差する。
   「素敵なひと時をありがとう!」という心境になる小説でした。

   沖縄本島からさらに南にある八重山諸島というと、訪れたことのない者には
   南の果ての島、青い海とサンゴ礁の南の楽園、というイメージだが、
   この本を読むと、八つの島それぞれに独特の風土や伝統があり、
   全く違った個性を持つ島々ということが理解できる。
   本書では、「丈富島」「波照間島」「小浜島」「新城島」「西表島」「黒島」
   「与那国島」「石垣島」と八つの島それぞれに八つ小説で描かれ構成されている。

   「竹富島」は、伝統の祭りの舞台で踊る少年少女のドラマ。
   「新城島」では、琉球王朝時代からのジュゴン伝説をモチーフにした悲恋。
   「波照間島」では、日本最南端の波照間島に伝わるパイパティローマ(桃源郷)
   伝説に導かれる女性が描かれる。
   「西表島」は、他の島とは全く異なる原生林に覆われた島で、毎年行方不明者
   がでるほどの深い山に、探検に向った大学生たちを待ち受けるものを。
   「黒島」は、東大出のエリート女性教師が、島の子供達や、何事も
   「だからよー」の一言で説明する理解不能な世界に困惑する不思議。
   「与那国島」は最西端の島、台湾の方が近い与那国島には、その地の利を
   生かし、島に果報をもたらそうとしたオバァが登場。
   などなど・・・
   
   沖縄本島からも本土からも遥か遠く離れ、厳しい環境で苦難の歴史を
   刻んだ八重山諸島だが、不思議に豊かな気持ちにしてくれる物語。
   辛く厳しい歴史、環境を理解しつつも、なんとも心がふんわりと柔らかく
   なるような気分になるし、その風土や伝統も味わい深かった。
   私もできることなら「だからよー」の世界に身を置き体験してみたし、
   その不思議感を味わってみたいものです。
   とても素敵な短編集でした。

      わがまま母
   
   
   

コメント
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