出星前夜 飯島和一(著)2008年8月発行
圧倒される大作です。
前作『黄金旅風』から4年、ファン待望の作品!・・・とありますが、
あいにく私は前作読んでませんでした。
これは「時代小説」なのか「歴史小説」なのか不明なまま読み終わりました。
歴史の時の経過とともに、黙々と現場に存在したごとくに語られていく、
史実のごとく・・・。
物語は、簡単にいってしまえば「島原、天草の乱」の始まりから終るまでの
ことを克明に描いているので、誰もが知っている悲惨で無惨で虚しいその最期
までを読み続ける覚悟は必要かも。
二部構成になっていて、第一部は、島原南目の有家村中心に、島原藩松倉家の
非道な仕打ちに追い詰められた村人たちが蜂起するに至る過程が綴られる。
南目村の子供達に蔓延する傷寒禍(伝染病の一種)に、なすすべもない村人。
そこで庄屋の甚右衛門が長崎から素晴しい医師、恵舟を連れてくる。
だが、代官所はなにもしないばかりか、身を挺し治療にあたる恵舟を白州で
尋問したあげく、追い出してしまう。
そもそも「傷寒禍」流行の原因は、石高の二倍も課せられた年貢による貧困
によるものなのだ。
これに怒り、大人への幻滅と未来への絶望で、寿安という若者をリーダーに
森の中の昔の教会堂跡に若者達が集結、事件を起こす。
甚右衛門の奔走により、騒動は一旦収まるかに見えたが、藩の上層部の日和見、
自分勝手な行動に、ついに甚右衛門たち大人も権力に立ち向かうことになる。
その後、第二部では、蜂起した南目勢と天草勢が合流、原城に籠城、全滅する
までが描かれている。
領民たちが、何故そこまで徹底的に戦ったのか?
それまで、耐えに耐えてお上に従って生きてきた甚右衛門の決断には感動。
領民をどこまでも蹂躙する松倉家の悪政、それを許す幕府に対し、異議を
申し立てるには、そうするより他はなかったのだ。
「人間らしく死にたい」という切なる願い。
命を捨てて戦かう彼らが、切なくて、、、。
でも何百年後の世界でもそれは変わらなくて、、、。辛いですねぇ。
この物語の唯一の救いは、蜂起の原因となった「寿安」が、戦いのなかで、
その虚しさを知り、偶然ながら「恵舟」のもとで医師への道を歩むことだ。
自分が奪った命だけ、人を救いたい・・・との思いで必死に働く寿安。
人を助けることにより彼の命が繋がるのです。
当然「天草四郎(ジェロニモ)」も登場しますが、ほとんど活躍はなしでした。
主人公は?といわれると「この人」というのがないのですが、
私は何といっても「鬼塚監物=甚右衛門」と「寿安」と「恵舟」が
かなり魅力的だと思いました。
戦いの様子など時系列にとても克明に描かれているので、この一冊を書く為、
調査に費やしたエネルギー、時間は相当なものだったろうな~、
と恐れ入るばかり。
逆になりましたが、前作も是非読んでみなくては・・・です。
わがまま母
圧倒される大作です。
前作『黄金旅風』から4年、ファン待望の作品!・・・とありますが、
あいにく私は前作読んでませんでした。
これは「時代小説」なのか「歴史小説」なのか不明なまま読み終わりました。
歴史の時の経過とともに、黙々と現場に存在したごとくに語られていく、
史実のごとく・・・。
物語は、簡単にいってしまえば「島原、天草の乱」の始まりから終るまでの
ことを克明に描いているので、誰もが知っている悲惨で無惨で虚しいその最期
までを読み続ける覚悟は必要かも。
二部構成になっていて、第一部は、島原南目の有家村中心に、島原藩松倉家の
非道な仕打ちに追い詰められた村人たちが蜂起するに至る過程が綴られる。
南目村の子供達に蔓延する傷寒禍(伝染病の一種)に、なすすべもない村人。
そこで庄屋の甚右衛門が長崎から素晴しい医師、恵舟を連れてくる。
だが、代官所はなにもしないばかりか、身を挺し治療にあたる恵舟を白州で
尋問したあげく、追い出してしまう。
そもそも「傷寒禍」流行の原因は、石高の二倍も課せられた年貢による貧困
によるものなのだ。
これに怒り、大人への幻滅と未来への絶望で、寿安という若者をリーダーに
森の中の昔の教会堂跡に若者達が集結、事件を起こす。
甚右衛門の奔走により、騒動は一旦収まるかに見えたが、藩の上層部の日和見、
自分勝手な行動に、ついに甚右衛門たち大人も権力に立ち向かうことになる。
その後、第二部では、蜂起した南目勢と天草勢が合流、原城に籠城、全滅する
までが描かれている。
領民たちが、何故そこまで徹底的に戦ったのか?
それまで、耐えに耐えてお上に従って生きてきた甚右衛門の決断には感動。
領民をどこまでも蹂躙する松倉家の悪政、それを許す幕府に対し、異議を
申し立てるには、そうするより他はなかったのだ。
「人間らしく死にたい」という切なる願い。
命を捨てて戦かう彼らが、切なくて、、、。
でも何百年後の世界でもそれは変わらなくて、、、。辛いですねぇ。
この物語の唯一の救いは、蜂起の原因となった「寿安」が、戦いのなかで、
その虚しさを知り、偶然ながら「恵舟」のもとで医師への道を歩むことだ。
自分が奪った命だけ、人を救いたい・・・との思いで必死に働く寿安。
人を助けることにより彼の命が繋がるのです。
当然「天草四郎(ジェロニモ)」も登場しますが、ほとんど活躍はなしでした。
主人公は?といわれると「この人」というのがないのですが、
私は何といっても「鬼塚監物=甚右衛門」と「寿安」と「恵舟」が
かなり魅力的だと思いました。
戦いの様子など時系列にとても克明に描かれているので、この一冊を書く為、
調査に費やしたエネルギー、時間は相当なものだったろうな~、
と恐れ入るばかり。
逆になりましたが、前作も是非読んでみなくては・・・です。
わがまま母