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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

8月19日の投稿(転載その13)

2006-09-20 15:39:26 | 過去の記事の転載

※青少年会館とは直接関係はないですが、例の「監理委員会」関係ということで転載します。

「旧芦原病院問題で大阪市が元健康福祉局長を諭旨免職にする見込み」との朝日新聞のネット配信記事。http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200608180040.html

この記事によると、旧芦原病院に対する補助金の迂回融資などの不適切な経理上の諸問題で、大阪市の行政関係者がどうやら大量に処分される見通しです。そのことの是非を問う前に、まずは、今回、あえてブログにおいて、次のことを指摘しておきたいと思います。

(1)まず、今の大阪市の推計人口は、約263万人。この人口が、24区に分かれて居住しています。

(2)では、この人口に対して、大阪市内に現在、市立の病院は何ヶ所設置されているでしょうか? 北・十三・住吉の三市民病院に総合医療センターを含め、たった4ヶ所です。これに、阿倍野区にある大阪市立大学附属病院を入れても、5ヶ所にしかなりません。

(3)しかも、北市民病院は此花区、十三市民病院は淀川区、総合医療センターは都島区と、大阪市の比較的北のエリアに3病院が展開し、市の中心部には市立大学附属病院、南部には住之江区の住吉市民病院しかない状況です。

(4)そう考えると、芦原病院は、この「市立病院空白区」ともいうべき浪速区にあり、事実上、この地域における拠点病院として機能してきたものだと考えられます。だからこそ、この芦原病院の資金繰り悪化に対して、健康福祉局がありとあらゆる方法を使って、数々の融資を行ってきたのではないでしょうか。なにしろ、この地域は「市立病院空白区」であって、この「地域医療の拠点」がつぶれてしまえば、その地域住民の医療体制は崩壊してしまいかねないからです。

(5)そこで私はこの芦原病院の問題に対して思うのは、不適正な経理上の問題があったため関係者の処分はやむをえないとしても、より根本的な問題は、この大阪市の市立病院整備や地域医療の体制整備のあり方に問題がある、ということ。ひとりやふたりの幹部級職員のクビを切ったり、関係職員を減給等の形で処分したからといって、この地域医療の体制整備がこんな「お寒い」状態は何も改善されないし、はたしてこんな調子で、本当に市民の暮らしを行政が支えていくことができるのか、ということ。この2つのことに、どうしてマスメディアなどは目を向けないのか、ということが、とても気になってしかたがありません。

なんか、不適正な経理の問題ばかりがクローズアップされて、それが生み出された土壌にある大阪市の医療体制の「お寒い」状況が見落とされていく。そんなことになってしまってはいけません。また、例の「大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」が、本当に大阪市のかつての同和対策事業の「見直し」をしようと思うのであれば、この大阪市の一般的な医療施策の「お寒い」現状にも目を向け、そこも検証するのでなければいけない。なぜなら、今のままでは、かつてよりも条件悪化の方向に医療施策を流していくだけで、「行政の市民サービスの向上」という面から見れば、全く意味がない、と考えるからです。

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