今朝の読売新聞のネット配信記事から。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060510i501.htm
しつこいようですが、これからも連続して、この大阪市の飛鳥地区の財団法人「飛鳥会」理事長逮捕関連の話を続けて、新聞各紙のネット配信記事から追っていきます。
ちなみに、私の立場は前から書いているように、ご本人は容疑否認のようですが、報道されていることが事実とすると、警察・検察の取調べを受けたり、その結果にもとづいて、それなりの処分を受けるのは当然だというのが前提です。その上で、ずっとこの「飛鳥会」などへの委託事業を含め、市の外郭団体のやってることに対してきちんとチェックをかけられなかった大阪市の行政当局、市議会等々のあり方のほうが本当は大問題なのではないのか、ということを主張するというのが、私のこの事件へのスタンスです。
なおかつ、私にしてみると、大阪市の外郭団体に対する行政当局や市議会のチェックの甘さというほうが本当は大問題なのに、この事件について、どうもマスメディアは単に、いわゆる「同和行政」だけの問題に議論を誘導しようとしているのではないか。というか、「なんかこれ、マスコミ自体が、うまい具合に、どこかから流される情報にのせられてて、議論を『同和行政』に集約させる方向に動かされているんじゃないか?」という疑いすら、抱いてしまうんですよ。
というのも、今回の新聞記事で「隠れ同和対策」として批判的に紹介されている事業って、大阪市の財政規模を考えると、本当に微々たるものです。例えば、大阪市財政局のホームページには、次のように書かれています。
「大阪市の連結バランスシートは、資産合計(A)が12兆8,460億円で、負債合計(B)が7兆1,928億円、資産合計から負債合計を差し引いた正味資産(A-B)は5兆6,532億円となっています。その結果、資産合計に占める正味資産の割合は44.0%となっています。」(http://www.city.osaka.jp/zaisei/1financial/fin07_02_01.html)
これだけの公金を、市本体プラス市の出資する法人(いわゆる外郭団体)などで動かしているなかでの、新聞記事で報道されているような事業の存在です。そう考えると、この記事って、本当に微々たる金額の事業をやり玉に挙げているように見えませんか?
しかも、今回の記事を見ていると、例えば「生活保護受給者への自立促進訓練事業」のように、都市の貧困層がわずかな金額のその事業にすがって生きているような、そんな事業も含まれています。その事業運営に問題が何かありそうだという指摘はいいのですが、今回の件は「なんのため」の指摘なのか、本当に市の行財政改革を促すための指摘なのか、よく考えてほしいと思ってしまいます。
もちろん、今回報道されたのような事業委託が行われたということ自体は、それは行政の説明責任上問題があるのではないかと指摘すべきだろうと思います。でも、こういった微々たる委託事業ばかりを今、あえてほじくって、大阪市の財政状況がすぐ好転するのかっていえば、あんまりたいしたこともないように思うのですが・・・・。
だから、こういう微々たる委託事業の経理上の問題をマスコミが報道すればするほど、他の大阪市の外郭団体や行政当局がやってきた経理上の諸問題が、マスコミからの追及をかわし、フリーパスになる。そういう「疑い」を、私などは抱いてしまうんですよね。
ついでですから、大阪市の経営企画室のホームページが明らかにしているデータを、一度、よく見てください。(http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/kanridantai/kessan.html)
今回の事件に深く関わった「市開発公社」の2004年度(平成16年度)1年間の損失額は確かに際立っていますが、累積欠損額でいえば、大阪ドームや南港のワールドトレードセンターなど他の外郭団体の抱えるもののほうがデカイです。で、開発公社に経営陣としている市からの出向者や市職員OBの責任とともに、こんな開発公社の経営状況を許してきた市の行政運営のあり方、それから、市議会の行財政チェックのあり方は、当然、問われてしかるべきですよね?
こんなふうに、零細な事業をほじくりかえす前にも、他にもメスをいれるべき事業や外郭団体は、大阪市の場合、たくさんあるんじゃないですかね? しかも、ついこの前まで、マスコミは大阪ドームやクリスタ長堀の累積債務問題とか、大阪市の外郭団体のもっとデカイ金額の累積債務処理について追いかけていたんじゃなかったんでしょうか・・・・。あれ、今はどうなっているんでしょうかね?
そこから考えても、今回は報道されている中身も前述のとおり、それが事実ならご本人は逮捕されてもしょうがない、というしかないんですが、それよりも、「なんで今まで長年、放置していた問題を、マスコミが急に取り上げているのか?」が、どうしても気になってしまうんですよね。その「ウラ」に、なんかあるんじゃないかと・・・・?
ついでにいうと、私は新聞各紙のネット配信記事と大阪市のホームページ上から入手可能な情報を手がかりにして、ここまであれこれ考えてものをいってます。的外れな部分も多々あるかもしれませんし、むしろそうあってほしいと思うのです。ですが、もしもこの私の考えが後で「あたって」いたら、逆に言うと、大阪市の行政運営に対するマスコミの取材能力も問われてきますよね。
<追記> 2006年5月23日(火)
この日記帳ブログを書いたあと、次のサイト(ブログ?)で、私の5月16日づけ日記帳ブログの文中にある言葉が引用されています。また、私がこの日記帳ブログで、他の日に取り上げた「飛鳥会事件」のことも、次のサイトで紹介され、「これこそ公正・中立の立場」と高く評価してくださっています。
しかしながら、私が自分の5月22日・23日付けの日記帳ブログで書いているとおり、下記サイトでの高い評価への感謝の思いと、このサイト運営者がネット上で大阪市の問題に対していろいろ取り組むことに敬意を表しつつも、どうも私とは基本的なスタンスがちがうように感じていますし、そこには「誤解」もあるように思います。だから、上記サイトからこの日の投稿分にアクセスされた方は、ぜひ私の5月22日・23日付けの文章も読んでいただければ幸いです。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。