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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

茨城・取手の中3自殺の調査委「解散」の話に思うこと。

2017-06-04 21:47:46 | 受験・学校

この取手市のいじめの調査委員会解散に関する件、おとといの夜、ニュースで見てからずっと気になっているんですが・・・。

茨城・取手の中3自殺、第三者委の解散決定(TBSニュース、2017年6月2日22時32分)

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3069725.html

あらためてTBSニュースのテキストを読んでみて、ますます気になっています。

まあ、そこを気にするのは私くらいなのかもしれませんが。

記事のなかで具体的に気になるのは、ここの部分。

「教育委員会は今後、両親の意向に沿う形で新たに第三者委員会を立ち上げることにしていて、これまでの調査結果は引き継がないとしています。」

気になる点は、次の3点。

(1)両親の意向に沿う形で新たな調査委員会を立ち上げるのはいいとしても、「さて、この件を引き受けられるような委員候補者、いるんかいな?」ということ。前の調査委員会がぐちゃぐちゃにひっかきまわしたあと、そのゴタゴタを一定整理しつつ、本来あるべき方向で調査・検証作業を進められるくらい力量ある人、関東圏で誰かいますか??

(2)しかもこの取手市の解散する側の調査委員会には、精神科医の高橋祥友氏が委員としていたそうな。高橋氏は文科省の子どもの自殺予防の有識者会議の委員(たしか座長でもあったかと)だし、彼が自殺の背景調査の指針づくりにも、文科省のすすめる自殺予防教育にもかかわっていたはず。なので、この再調査・検証の作業は、当然のことながら、高橋氏がかかわっていた解散する側の調査委員会に対しても一定、「なんでこんな調査のしかたになったのか?」を検証せざるをえない。そして、高橋氏が委員であった以上、その解散する側の調査委員会の作業を検証することは、論理的には、文科省の自殺予防のあり方まで検証することになってしまいますね。・・・実はこのこと自体、文科省も取手市教委も、あまりよくわかってないんじゃないかなあ? で、(1)にさらに(2)が加わることで、ますます「関東圏でそういう力量のある人、いますか?」と思うわけです。

(3)そして「これまでの調査結果は引き継がない」ということの意味ですね。これ、ひとつまちがうと、今まで解散する側の調査委員会が集めたデータ類全部「廃棄」される恐れがあります。で、新しい調査委員会が「一から、全部」調べ直すことにもなりかねない。ということは、この「調査結果は引き継がない」というプロセスで「事実隠し」つまり「隠蔽」も可能になるし、また、数々のデータ類を「廃棄」することで、再調査の委員会の取り組みを「妨害」することも可能になります。このあたりへの危機感をもって、早急に誰か「今までの調査に関するデータ・資料類、全部残せ!」と取手市教委に言わなきゃいけないのですが・・・。

ということで、「こんな話を、誰かがご遺族の支援にあたっている弁護団や取手市教委自体に伝える必要がある」って私は思うんですけど・・・。


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