毎年5月末~6月はじめにかけてのこの時期の土日に、全国学校事故・事件を語る会の大集会(全国集会)が神戸で開催されます。昨日・今日と、今年も大集会が開催されました。
さて、私は今回は2日目、つまり今日のシンポジウムの「全体のまとめ」を担当しました。そこで私がしゃべったことの要点整理をしますと、だいたい、次のとおりです。
(1)この十数年のあいだ、被害者家族・遺族など、当事者たちの粘り強い働きかけもあって、重大事故・事件(重大事態)の事後対応の問題点について、何かとマスメディアが動き、行政が「指針」をつくったり、「いじめ防止対策推進法」や「学校保健安全法」といった法律もできたりした。また、研究者・専門職、市民、学校や教育行政の担当者の関心も、徐々にではあるが当事者の側を向きつつある。
(2)ただ、そうなってくると…。
・「オールドタイプ」の事後対応の問題。要するに従来どおりの「あったことをなかったことにする」「事態の沈静化」「事実の隠蔽」のような対応の問題。
・「ニュータイプ」の事後対応。一応、法令や国の指針の流れに沿いつつも、調査・検証作業に失敗したり、あるいは被害者家族・遺族の関心と調査委員会の意向とのすりあわせができてなかったり…という対応の問題。
この2とおりの問題が生じるようになってきている。
(3)事後対応における「危機管理とこころのケアを疑え」ということ。すなわち「どっちの方向を目指しての危機管理なのか?」「誰のため、なんのためのこころのケアなのか?」ということを問う必要があるということ。
(4)少なくとも「被害者救済・支援」という観点から重大事態発生後の事後対応のあり方を考えるときに…。
・亡くなった子どもや深く傷ついた子どもの名誉や人権を守るということ。
・被害者家族・遺族の二次被害、特に風評被害を防ぐということ。
・その2つのことを前提とすると「できるだけ正確に事実を把握し、その事実経過等を公表することが必要不可欠」になる。
・そして、この「できるだけ正確に事実経過を把握する」ことができたなら、それが再発防止策を検討・実施することの大前提になる。
こうしたことを、今後も積極的に当事者サイドから情報発信するとともに、調査委員会などに入る研究者・専門職などもよく理解する必要がある。
(5)まだまだ学校での重大事態に遭遇したあとの被害者本人および被害者家族・遺族の直面する諸課題(訴訟の問題も含む)について、この社会では知られていないことが多々ある。そのことについて、ある学習会の参加者が100%理解してくれるなんてことは無理としても、せめて毎回3分の1くらいは理解してくれた、なんてことを蓄積して、地道に活動を続けていくしかない。
ざっと、こんな感じのことを話しました。
他にもいろいろ、言いましたけど、ひとまず以上のとおり要点整理をしておきます。
※なお、昨日の1日目の様子については、NHK大阪放送局が関西ニュースの動画として配信している記事があります。下記で見ることができますので、紹介します。
NHK関西NEWS WEB 「いじめ自殺など 遺族ら意見交換」
06月02日 19時44分