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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「体罰」が背景にあると言われる大阪市立のある高校での子どもの「自殺」に関して

2013-01-08 23:16:55 | ニュース
http://digital.asahi.com/articles/OSK201301080022.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_OSK201301080022
(朝日新聞デジタル2013年1月8日配信:市立高校の生徒自殺、背景に体罰か。大阪市教委調査へ)

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000199281.html
(大阪市教委報道発表資料:2013(平成25)年1月8日)

また悲しい事件が起きてしまいました。しかも、いま、なにかと話題の大阪市において、です。
亡くなった子どものご冥福をお祈りします。
また、ご遺族の心中、さぞかしおつらいことかと思います。お悔やみ申し上げます

さて、この件に関して、まずはいくつか、言っておきたいことがあります。
それは、次のような橋下市長(知事時代を含む)ご本人の「体罰」容認発言を含め、「この際、徹底的に、大阪市の教育界に根強く残る「体罰」肯定的な教育観に対して、きちんとモノ申す」ような、そのような強力な調査実施の体制をとっていただきたい、ということ。
また、そのためには、この当該高校で起きた子どもの自殺や、その背景にあったと考えられている「体罰」の調査に対しては、市長及び市教委からできるだけ独立し、公平・中立的な第三者委員会を立ち上げる必要があること。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-03/2012100304_01_1.html
(しんぶん赤旗2012年10月3日付け:橋下氏、体罰あおる。「大阪市独自の指針必要」)
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201202060045.html
(朝日新聞デジタル2012年2月6日付け:「体罰」場合によればOK? 橋下氏ら問題提起)
http://www.asahi.com/special/08002/OSK200810260045.html
(朝日新聞2008年10月26日付け:橋下知事「手を出さないとしょうがない」体罰容認発言)

少なくとも、上記のような意識の持ち主である橋下市長の強い意向を受けて組織された調査チームには、亡くなった子どもに起きた「体罰」の深刻さを小さく見積もったり、あるいは、「体罰」と「自殺」との間に「因果関係なし」などという結論を導き出そうとするバイアスがかかりかねない危険性があります。そして、今回の子どもの自殺のような深刻な場合は問題だが、「体罰」も「ちょっとくらいならいいだろう」というような、そういう結論を出すような調査チームでは、かえって事態をこじれさせてしまう危険性もあります。
以上のようなことから、この子どもの自殺については、「徹底的に亡くなった子どもの側にたった事実経過の解明作業を行い、そこから必要な再発防止策の確立に向けて、学校や教育行政、さらには市長に対してきっちりと、厳しいことを言う」という立場に立つ調査チームを作っていただきたい。
そのためには、橋下市長に対してはっきりとものを言うことのできるような人たちで調査チームの人選を行うことを、私としては強く希望します。

なお、あわせて、2012年7月16日付けのこのブログの記事も、ここに掲載しておきます。
ほんとうに残念なことであり、悲しいことですが、大阪市内では去年7月にも2人、子どもの自殺が起きています。
それ以降の約半年間、大阪市として、市教委として、子どもの自殺防止についてどんな取り組みをしてきたのかが問われています。そのこともぜひ、橋下市長には重く受け止めていただきたいところです。
http://blog.goo.ne.jp/seisyounenkaikan/d/20120716

<追記>
下記の毎日新聞の配信記事にあるとおり、「いじめや体罰などの問題が起きた際に、市長が教育委員会に指揮命令を出せるような条例案」をつくりたいなどというのは、まさに「惨事便乗型教育改革」。亡くなった子どもも遺族も、いま、学校に通っている子どもも現場教職員も、そういうことは何も今は望んでいない。まずは、「何があってこの事態に至ったのか?」という、事実関係の解明作業ではないでしょうか。
http://mainichi.jp/select/news/20130109k0000m040060000c.html


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