いろいろ書きたいことが多々あるのですが、今日もまたあまり時間が取れそうにないので、ひとつ、最近読んだ本のなかから印象に残った詩をひとつだけ、紹介しておきます。
売ったらあかん 岡部伊都子
売ったらあかん
友達を 売ったらあかん
子どもらを 売ったらあかん
まごころを 売ったらあかん
本心を 売ったらあかん
情愛を 売ったらあかん
信仰を 売ったらあかん
教育を 売ったらあかん
学問を 売ったらあかん
秘密を 売ったらあかん
こころざしを 売ったらあかん
大自然を 売ったらあかん
いのちを 売ったらあかん
自分を 売ったらあかん
自分を 売ったらあかん
(以上、岡部伊都子『遺言のつもりで』藤原書店、2006年、275~276ページ)
人権教育のこれからがどうのとか、子どもの人権論がどうだとか、あるいは、解放教育の現状がどうだとか、いろいろ、議論はされている。
でも、人権や差別の問題を考えていくときに、結局、いくつくところは、この詩の訴えようとしていることになるのではないのかな、という気が、このごろしている。
ついでにいうと、「人権文化の構築」なる掛け声をあちこちで言う人がいるのだが、このような詩を次々に生み出すような人たちが育っていくことこそ、ほんとうの意味で「人権文化の構築」では?
空疎な掛け声を唱え続けることよりも、ほんとうに私たちひとりひとりが、自分自身を振り返り、他者を見つめ、社会や文化を深く掘り下げて考える中から、わが身と誰かの心を串刺しにするような鋭い言葉を発すること。そのことのほうが、よっぽど「人権文化の構築」につながるのではないかと思う。
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