角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

田舎のお盆行事。

2011年08月14日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
ブルーと黄色の組み合わせは、若者向けの爽やかさがありますね。降りそうで降らない湿度の高い日には、尚のこと気持ちよく見えました。

夏の終わり、悔いを残さないようにと言わんばかりの太陽が照りつけています。今日の最高気温も33℃ほどになったでしょうか。実演席の温度計は31.7℃を表示しました。
今晩から明日にかけて雨の予報で、これがまた少し気温を下げてくれるでしょう。ただし喜んでばかりいられないのは、当地のお盆行事が目白押しなんですね。

今晩は旧田沢湖町の「わらび座夏祭り」。午後八時からの花火が見もので、娘たちもこの花火だけは観たいと言います。
明日15日は角館の中心部で行われる「送り盆」。当地に古くから伝わる「ささら舞」があります。
16日は旧中仙町の「どんぱん祭り」。どんぱん節発祥の地が、どんぱん節に燃えます。こちらもラストを飾るのは花火です。
17日は旧西木村の「戸沢氏祭り」。中世時代にこの土地を治めていた、戸沢氏を奉る行事です。

今日のお客様の様子では、帰省ついでに遊びに見えた方は多いのですが、いわゆる観光客の姿は少ないと思いました。これは致し方のない現実ですから、せめて帰省された方々、そして地元民で夏の行事を見送りたいものです。
暑かったこの夏も、もう間もなく過去になろうとしています。

おっと、大事なことを忘れておりました。能代商業高校、甲子園三回戦進出おめでとうございます。秋田県勢にとって甲子園の勝利は十数年ぶりですから、地元能代市のみならず全県挙げて大喜びでしょう。
こちらだけはまだ“過去”にせず、もう少し楽しみたいですなっ。
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それぞれの墓参。

2011年08月13日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
昨日の「今日の草履」とベースが一緒で、組み合わせをエンジのいらかに替えた姉妹品的な配色ですね。昨日は粋に見えた草履が、今日はとてもお洒落に感じます。

お盆の十三日を迎えました。公開実演をお休みした今日は、朝から仏壇の掃除やお墓参りの準備など、いかにも日本のお盆を過ごしています。こうして神仏にかかわっているひとときに、なんとも言えない癒しを感じますね。これも加齢に因るところが大きいのかと思いきや、わが家の次女などは『神社とかお寺って、なんか好き』と小さな頃から言ってました。

昨日仙台市からお越しのご夫婦は、ご年齢を推測するに80歳ほどと思います。共にお元気に見えるのですが、奥様がリューマチを患っていて足裏にもときに不快感があるそうです。『こういう草履を試してみようかなぁ』と独り言のように呟くと、『買ってあげるから選びなさいよっ』とご主人。

すかさず奥様が、『あらっ、お父さんのほうこそ足がむくむって言ってるんだから、お父さんが履けばいいわよっ』。ご主人は『俺はいいんだよ。あなたが履きなさい』の一点張りで平行線です。
すると奥様、『もう少し長生きさせてあげようって言ってるのに…』。この言葉でご主人もようやく承諾、仲良くご夫婦で履いてくださることになりました。

このあとご夫婦とのおしゃべりは、震災が話題となりました。同じ仙台でも津波とは無縁の立地で命拾いしたとは言え、ご夫婦もあの惨状は未だに胸が痛くなるとおっしゃいます。
若くして命を絶たれた人があれだけいたと思うと、ご夫婦で長生きの話をしていられる普通の環境が、とても幸せなことに思えますね。

以前のブログにも触れましたが、今日八月十三日は実父の命日です。30年前の今朝、私の帰省を待たずにこの世を去りました。死に目に会えなかったのを悔やんでもはじまりませんが、叶うものであれば家族というもの、永久の別れにはその枕元に居て欲しいし、居てあげたいと思うのが当たり前でしょう。

東日本大震災から五ヶ月が経ち、亡くなられた方々の新盆です。弔いができた故人はもとより、未だ発見されない五千名に近い家族の心中はいかばかりでしょう。太平洋側10箇所で同時に打ち上げられた花火の映像を観ると、身内に被災者の有無など関係なく胸が熱くなりますよ。

日本人ひとりひとりが、それぞれに想いを寄せる墓参り。自分自身が元気に生きるために、墓参というものがあるような気がします。津波で家族や大切な人を失った方々の思いは、推して分かりきれるものではないでしょう。他人が好き勝手を言わせてもらえば、この新盆が少し前に進むきっかけになってくれればと、切に願います。

角館の草履職人にとって、お盆は今日一日限り。実父や昨秋他界した叔父を供養したら、明日からまたお客様を迎える草履職人として復帰します。
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お盆、そしてお祭り。

2011年08月12日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
紺系おまかせにもってこいの今日の草履は、和柄と和柄の競演です。こんな浴衣を着たら、さぞ粋に見えるでしょうね。
「今日の草履」は出来上がってすぐ、東京からお越しのおじさまがお持ち帰りです。

先日の夏祭りでは、私も浴衣を着ました。準備作業に汗を流したあと、郵便局の駐車場で浴衣に着替えていると、知人の女性とバッタリ。ちょうどパンツ一枚に浴衣を羽織ったところを見た女性は、『浴衣似合うんシなっ』。
どうせならちゃんと着たところを褒めて欲しかったですなぁ。

暑さが続いています。元来暑い土地ならいざ知らず、秋田県あたりが連日の真夏日では、なかなかツラいものがありますね。節電も日を追うごとに声高になっています。そりゃあそうでしょ、東北が東京に電力を融通してもらっているんですから。

それでも昨日と今日の雨で、気温が若干下がったうえに風が強くなっています。この風が体感温度をさらに下げてくれますね。久しぶりに気象条件で「心地よい」と思えました。
もっとも立秋を過ぎて今日で四日、お盆なんてわけもなく通り過ぎるでしょう。そうなれば当地は一気に秋色が見えてきます。そして角館の話題は、次第に「お祭り」となるわけですね。

角館のお祭りは九月七日から九日までの三日間、今年の曜日は水から金となりました。お祭りが終わってすぐ週末というのは、人によってビミョーですね。
お祭り見物に首都圏からお越しの方は、JR東日本大人の休日倶楽部の乗り放題チケットが嬉しいと思います。ちょうどお祭りに乗り放題期間が当たっていました。

双子が県外に暮らし始めたわが家は、今年からお祭り事情が大きく変わりそうです。学校の関係で、お祭り期間は角館に居られないんですね。お祭りに踊らないばかりでなく、角館にいないなんていうのは、彼女たちの十九年間の人生で初めてでしょう。
というわけで、今年のわが家の踊り子は三女ひとりとなりました。おそらくこんな楽なお祭りは初めてと、カミさんは思っているでしょうね。

南相馬市から暫時角館で暮らしているKさんご夫妻も、角館のお祭りを楽しみにされていました。いろんな人のいろんな思いが、これからのお墓参り、大曲の全国花火競技会、そして角館のお祭りに込められているのだと思います。

いずれにしても、もう少し涼しくなってくれると嬉しいですかね。
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会えて良かった。

2011年08月09日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
連日の猛暑続きでは、ときにこうした草履を編みたくなります。ベースは涼しさを連想させるブルー、そして木立を想わせる緑を組み合わせてみました。するとやっぱりお客様も、こうした配色を待ちかねていたのでしょう。すでに展示バネルから姿を消しています。

青森ねぶたや秋田竿燈といった東北の夏祭りが終わり、次のお盆帰省ラッシュまで少し中休みといった角館です。とは言っても、やっぱり夏祭りの人出は多くありませんでした。予想してはいたものの、あらためて原発事故が恨めしく思えますよ。観光業の風評被害に対し、秋田県は賠償地域にないようです。どこかで線引きが必要でしょうから、ひとまずそれは分かりました。でも北東北がこれほど寂しくなったのは、原発事故以外のなにものでもありません。

そんな中でも出会いだけはしっかりあるものです。ツアーでお越しくださった埼玉県富士見市のおばさまは、はっきりと角館草履をめがけてお出ででした。私を見つけるなり開口一番、『テレビに出てた草履屋さんですよねっ?』。

もう一年近くもなる「ちい散歩」。おばさまは番組を観て、角館に行ったら必ず立ち寄ることを心に決めていたと言います。定番配色①のオーダーは、明日の便で出発しますからね~。
『会えて良かったですぅ』。お帰りの際のおばさまの言葉に、ひとつの旅の目的を無事果たせた安堵が伝わってきました。

実演席でお客様から言われる言葉は数々ありますが、「会えて良かった」はさすがに大勢から聞かれるものではないですね。それだけこの言葉は重いものであり、また価値があるとも思うんです。

それにしても久しぶりに「ちい散歩」を思い出しましたよ。収録日が9月1日でしたから、ほんとに一年に近いんですね。9月20日・21日の放送後、角館にははっきりと人影が増えたものです。
震災の二次被害で苦労している角館に、有名な旅番組が来てくれませんかねぇ。
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女の子のヒッチハイク。

2011年08月08日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
赤系おまかせにもってこいの「今日の草履」は、ベースは御殿まりプリント、組み合わせにはいらかプリントです。綺麗なだけではない、「和」がしっかりと生きていますね。個人的にはかなり好きな配色のひとつです。

大きなリュックを背負ったお若い女性がお越しでした。小麦色に日焼けした顔には未だ幼さが残るのですが、風貌をみるだけなら「ヒッチハイク」でもしてそうな雰囲気です。実演を興味ありげに見ていたので丸太椅子に招くと、『見てていいですかっ?』。やはりあどけなさが印象的です。

『学生さん?』と訊ねると、『はいっ、大学一年です』。あらあら、わが家の双子と同い年じゃありませんか。『ひとり旅してるの?』と訊ねると、『はいっ、ヒッチハイクしながら東北一周してますっ』。
第一印象が間違ってなかったと喜んでいる場合じゃありません。19歳の女の子がひとり旅、しかもヒッチハイクですよ。同い年の娘を持つオヤジとしては、なんとも複雑な心境です。

『お父さんとお母さんは知ってるの?』と訊ねると、『お父さんは単身赴任してますから、旅行のことも知らないと思います。お母さんは東北旅行だけは知ってますけど、ヒッチハイクは教えませんでしたぁ』。
屈託のない笑顔でこれを話されると、草履職人のおっさんは苦笑いするしかありませんでしたよ。

その後30分くらいおしゃべりしたでしょうか。大学の話や震災の話、将来の夢なんか話していると、第一印象がウソのようにしっかりしているのが分かりました。
旅の費用は半年間のアルバイトと言います。30万円を貯めて半分を預金に、残りの15万円を約一ヶ月間の旅で消費するんだそうです。一日予算は4500円、確かに交通費や宿泊代を普通には払えませんねぇ。

ふと思ったのは、お母さんはもしやこの子なら、ヒッチハイクくらいするかも知れないと思っているんじゃないですかね。きっと年齢以上の信頼関係が、母娘間に出来ているんじゃないかと思いました。
お母さんへ履かせてあげたいと言った角館草履は、お母さんの誕生日か母の日にネット通販を利用するそうです。旅の予算ではとても無理ですからね。

わが家の娘と同い年の女の子が、ヒッチハイクでひとり旅。何度も言うようですが、オヤジとして心境は複雑です。でも今日の彼女と出会って、すくなくとも「女だてらに…」の言葉は忘れようと思います。それが心から旅を愉しんでいる彼女に対する、「敬意」というものでしょう。

ときに実演席では、若者から元気を与えられますよ。
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夏の最後。

2011年08月05日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
青銅色の唐草は暫時仕入れた今夏限定でしたが、10足ほどを売り上げてほぼ終わりに近づいています。老若になかなかの人気で、今日の草履も黄色を組み合わせた若者向けにしたのですが、早速お選びくださったのは名古屋のおじさまでした。もちろんお似合いでしたよ。

暑さがとまりません。今日の午後、実演席での今夏最高33.5℃を記録しました。蔵の中と外気で2℃~3℃違うでしょうから、外から入ってすぐは『さすがに蔵の中は涼しいですね』と言われます。すかさず私が室温をお教えすると、『えっ、そんなにあるんですかっ!?』。
エアコンの設定温度が同じでも昼と夜で体感が異なるのは、こうした錯覚なんでしょうね。

どちらからお越しかでも体感は異なるようです。いつものように『暑いですねぇ』とお声を掛けると、『・・・それほどでもぉ』。訊いてみると大阪市からお越しでした。お言葉を借りると、当地は湿度が低い上に木陰が多く、街の景色にも隙間が多いと言います。それだけ風の通りが良く感じられて、大阪の暑さとは質が違うようですね。

閉店間際に入って見えたのは、釧路市からお越しのおじいちゃんと孫娘さんの二人旅。女の子は小学校3、4年生でしょうか。おふたりとも立派なカメラを首から提げて、ちょっとしたカメラマンといった印象でした。女の子はこの旅で、もう1000枚以上撮影しているそうですよ。

おじいちゃんに、『釧路と比べたらかなり暑いでしょ?』と訊いてみると、『今さっき女房へ電話したんですよ。そしたら釧路は20℃ですって。そっちは何℃くらいあるのって訊かれたから30℃は超えてるって言ったら、いや~、死んじゃうんじゃないの!? って言われましたよ』。

この暑さもあと僅か、お盆に近くなると最高気温が30℃以下になる予報でした。明日は私たち角館あきんど塾が主催する「夏まつり」です。夏の最後、暑さの最後を愉しく見送りたいものです。
お近くの方、ご都合の許せる方は、ぜひ遊びにいらしてくださいませ。午後6時~9時、立町ポケットパークが会場です。
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あえて今の東北へ。

2011年08月03日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
角館草履の中で「シブさ」を問えば、今日の草履はトップクラスと思います。茶の唐草そのものがシブいですから、これまでは組み合わせに比較的明るい色を利用して、老若可とする無難な配色にしていたものです。それが今回は、思いっきり「シブさ」を求めてみました。ときにはいいと思います。

角館にまた夏が来ました。ここしばらく秋を体感していたためか、30℃を越えたらもう暑いです。考えてみれば今は八月上旬、本来ならば梅雨が明けて最も暑い時期なんですから、おかしいのは今年の気象と私たちの感覚でしょう。
それでもお盆まであと十日、当地の夏は平年でもまずお盆までです。

今日から秋田竿灯祭りがスタートしました。青森ねぶた祭り、盛岡さんさ踊りも始まっていて、いよいよ東北の夏真っ盛りといった印象です。ただ角館へのお立ち寄りは、予想よりも少ないですね。武家屋敷通りは一定の人出があった話を聞きましたが、本来であれば西宮家のある外町(とまち)へもそれなりの流入があるものでした。

東京からお越しのご夫婦旅。ちょうど一年前にも角館を訪れ、角館草履の実演をご覧くださったそうです。そのときはなんとなくご購入に至らなかったのが、帰宅してからずいぶん気になったとおっしゃいます。今年は早速にお訪ねくださり、ご夫婦それぞれのほかに娘さんへのお土産もお買い上げくださいました。

こちらのご夫婦に、『今年はいつもの年より人が少ないでしょ?』とお訊きすると、『あっ、やっぱり!? 去年もこんな感じだったかなぁって、ちょうど話してたとこなんですよ』。
震災の影響をお伝えすると、『そういえば、息子にも東北へ行くのか?って言われましたよ』と苦笑いのご主人でした。

今日も福島県や宮城県のお客様と出会いました。娘さんがお買い上げくださった仙台からお越しの母娘ペアさんは、津波ではないにしても被害があったそうです。そして先のご夫婦のように、東北以外からあえて今の東北を旅する方々がいます。
ほんとに角館を愉しんで欲しいと、心から願いますね。
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子どもも疲れる!?

2011年08月02日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
おかめ・ひょっとこプリントを赤で統一してみました。目に刺さるようなケバい赤とは違い、元気をもらえるような楽しい赤と思います。夏には涼しげな青系も魅力ながら、辛い食べ物が欲しくなるのも夏。やはり赤は通年好まれますね。

北秋田市鷹巣からお越しのご家族。小学校低学年の男の子に、お父さんとお母さんの仲良し親子プチ旅行です。男の子が実演に高い関心を示し、お父さんとお母さんが米蔵の中へ行こうとしても動こうとしません。お母さんの『草履見せてもらう?』の問いかけに私も頷くと、男の子は安心したように実演を見始めました。

10分ほど経ってお父さんたちが戻ると、わが子が真顔で実演に見入る姿に感心しています。実はこうした光景は実演席で珍しくありません。ずいぶん前のブログでも触れた気がしますが、今の世の中で人の手によってナニかが出来上がっていく過程を見る機会は、まずほとんどないと言っていいでしょう。デパートでもホームセンターでも出来上がったモノは巷に溢れていますが、今まさに作っている最中というのはなかなか見られなくなってしまいました。

角館草履へ次第に関心が出てきたのがお母さんです。素材やら健康効果をご説明する中で、『土踏まずの刺激が疲れを取ってくれますから、ちょっと試してみません?』とお勧めすると、すぐに飛び込んで来たのが男の子でした。ずーっと見ていたのは俺だから、最初に履く権利も俺にある!と言わんばかりのスピードでしたね。

一番に試し履きをした男の子が発した一言、『あぁ~、疲れが取れる~』。お父さんやお母さんばかりでなく、一緒にお話を聞いていた福島県いわき市のご家族も大笑いでした。
結局男の子のサイズにも合う23cm草履をお選びになり、笑顔でお帰りです。おそらく帰宅後一番に履くのも男の子でしょうね。

仙台の看護学校に進学した次女が帰省し、少し久しぶりの実家暮らしです。一人暮らしと違い炊事や洗濯はカミさんがしますから、夏休みを自由に過ごしているかと思いきや、持って帰った問題集の厚さときたら「電話帳」並みでした。

そのうえ二年生になればさらに時間がないと教えられ、帰省した翌日から自動車学校に通っています。正味一ヶ月弱で免許を取得するためには、こちらも休まず通わなければいけません。夏休みのほうがよほどスケジュールびっしりですね。

鷹巣の男の子が言った通り、疲れているのはなにも大人や社会人ばかりではないのかも知れません。
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第三回かくのだて絵燈籠夏祭り。

2011年08月01日 | 地域の話


角館あきんど塾が仙北市商工会青年部と合同主催するようになって、第三回を数えます。開催日は八月第一土曜日、今年は8月6日となりました。

先月上旬から会議を重ね、今年も充実した内容で展開できそうです。「よさこいダンス」「飾山囃子」「空手演武」「子ども絵燈籠」、飲食露店もこれまでで最大規模となります。
短い角館の夏を、浴衣を着て愉しんで欲しいと願っています。

一昨日の土曜日にお休みをいただいたのは、丁内会の行事のためでした。十五年ほど続いている「生ビール大会」は、丁内会会員30人以上で食べる野外夕食です。独居世帯が多くなる中で、賑やかな夕食もときには良いのでしょう。毎年欠かさず出席してくれるお年寄りも複数です。

今年はその中に、先ごろ誕生したばかりの赤ちゃんがいました。赤ちゃんのお父さんの実家がわが丁内にあって、現在千葉県に暮らしています。お盆を前に赤ちゃんとお母さんだけが一足先に帰省したわけですが、お母さんの実家ではなく角館に帰った理由が原発事故にありました。赤ちゃんのお母さんの実家は福島市、乳児を連れての帰省に不安があったと云います。
角館で思いがけず丁内会のバーベキューに参加したお母さん、愉しんでくれたのなら嬉しいですね。

7月25日のブログでご紹介した南相馬市で商いをされていたおばさまは、いっとき息子さんが暮らす首都圏に生活したそうです。ペットのワンちゃんの夏バテが当地を選ぶひとつの理由だったのですが、もうひとつが地域のコミュニティと云います。首都圏では誰も多くを語らず、また被災の状況を訊く人もなかったそうです。それはもしかしたら、人によっては「親切」に映る場合もあるでしょう。

それが当地では、まるで身内のように言葉を掛け、話を聞いてくれると言っていました。私も何気に口にしたのが、『自分に置き換えたら、ほんとにどうしようかと思いますよねぇ』。おばさまは、『そう、東北の人たちは自分に置き換えてくれるでしょ。それが私たちにとっては、見捨てられていないって感じることができるんですよ』。

「第3回かくのだて絵燈籠夏祭り」には、角館を暫時の生活場所としている福島県のみなさんへご案内状を送ります。もちろん会場でご紹介するとか、ご挨拶をいただくなどというものではありません。短い東北の夏を、一緒にビールでも飲んで過ごしていただければ、主催スタッフのひとりとして嬉しい限りです。
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