角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

評価の基準も十人十色。

2011年08月19日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
絣を想わせる紺のベースが、純和風をイメージさせます。組み合わせのエンジは相性バッチリですし、いらかのプリントがさらに「和」を引き立たせますね。私もかなり好きな配色です。
とんぼに麻の葉が美しいベース生地は、こちらになります。



茨城県鹿嶋市からお越しのご夫婦旅。駅からレンタサイクルを利用して街散策、その一軒目が西宮家でした。奥様がことのほか角館草履を気に入ってくださり、娘さんへのお土産を含めて2足のお買い上げをいただきました。ご主人がその様子を見ながら、『まだ一軒目だっていうのに、またそんな買い物して…』。

ご主人もお買い上げに反対しているわけじゃないのですが、奥様がこの買い物の“正当性”を主張するための理由としたのが、「西宮家でしか買えない」という点でした。それまで角館草履の素材やら健康効果をご説明したのですが、こちらの奥様が最も高く評価されたのが、他のどこにも売っていないということだったんですね。

草履と限らず人の評価は実に様々です。私が加齢に従い心掛けているひとつが、「評価すべき点を見つける」なんですね。人でもモノでも、あるいは行事や慣習でも、まず世の中万物に一長一短があります。ひとたび短所が目に付いてしまい、きっと持っているであろう長所を見失うことが、若かりし頃には確かにありました。これをいつしか、自身の「了見の狭さ」と思えるようになったわけです。

わが家の三女、おかしなところが親に似るもので、ひとたび自分に合わないと思えばもうダメですね。食べ物然り、衣類然り、人然りですよ。ですから三女によく話すのは、ひとつがダメだから全部ダメということはない。きっと良い面があるから、それを見つけ出すのも技量のうち、ということなんですね。

先日卓球の試合で、他市へ宿泊したときです。帰宅しての夕食時に三女が言うのは、『泊まったホテル、何年前に建てたのよ?っていうくらい古いっけ。あれ、地震くれば倒れるんじゃね!? でも朝ごはんの味噌汁が美味くて、あんな美味い味噌汁食べたごどねぇな!』。
私もカミさんも驚いたのは、朝の味噌汁なんて日ごろ自分からはゼッタイ飲まないからなんですね。

私はそのホテルの詳細を知りませんが、値段が安いとか景色が良いとか、他にも長所がきっとあったと思うんです。でも三女は「味噌汁」に最大の評価を見つけた。評価のひとつとしてこれも有りでしょう。
先の鹿嶋市の奥様が、角館草履が他で売ってないの理由でお買い上げくださったのも、評価のひとつとして当然有りだと思いますね。
コメント
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