角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

娘から母へのプレゼント。

2011年08月22日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
歌舞伎場面プリントに、エンジのいらかを組み合わせてみました。予想通り少し賑やかですが、こうした楽しい配色こそ中高年のおばさまがお選びくださいます。
「今日の草履」もそんなセオリー通り、仙台市からお越しのおばさまがお持ち帰りくださいました。

こちらのおばさまは、娘さんお二人とお孫さんの四人でお越しです。最初はさほどの関心でもなく角館草履をご覧でしたが、いろいろお話しているうちに試し履きまで進みました。そして結果は、ご一行様四足のお買い上げ、誠にありがとう存じます。
おひとりの娘さんが思わずもらした言葉が可笑しかったです。『あれっ!? いつのまにかみんな買ってる…』。

栃木県からお越しの母娘さんペア。娘さんは二十歳代半ば、お母さんは五十歳代前半とお見受けしました。娘さんが草履を気に入ってくださり、ニコニコ顔で配色選びです。私がお母さんに『お母さんも話のタネに試し履きしてみませんか』とお勧めすると、『えっ、あたし!? そうねぇ…』と言いながら試し履きした直後、しっかり配色選びの体制に入ってましたね。すると娘さん、『あたしがプレゼントしてあげるわよっ』。

実演席でときに見る光景が、娘さんからお母さんへ目の前でプレゼントする姿なんですね。そのときのお母さんのお顔を何人も見てきましたが、そりゃあもう天にも昇る喜びようですよ。それはもちろん角館草履に限ったことではなくて、最愛の娘さんが買ってくれたことに意味があると思うんです。

こちらの母娘さんがお帰りになって間もなく、秋田市の美術短大で学ぶ学生さんが研修に立ち寄られました。少し時間があったようで何人かが実演席に残ったのですが、みなさん女性ばかりなんですね。
角館草履の特徴をご説明したあと、『いつか思い出したらでいいんだけど、母の日にお母さんにプレゼントしたら、とっても喜ぶよ』と付け加えました。

先の栃木県のお母さんは、娘さんのプレゼントの申し入れに、『あなたお金あるの? なんだかあとが怖いわねぇ』。
素直じゃないようにも聞こえますが、嬉しい余りの照れ隠しであり、母の愛なんでしょうね。
コメント
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