角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

土地の想い出〔千葉編〕

2008年02月20日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズLグループ25cm土踏まず付き〔4500円〕
三回連続でベースは同じ、今日は合わせが青です。こちらも若干年齢層がお若い印象でしょうか。このベース生地は以上3足でおしまいです。

昨夜から重い雪が降っていました。夕方に近い現在はやんでいますが、また積雪が増えましたね。今晩また降るようですが、湿った雪は解けるのも早いです。やはり春は近いでしょう。

今冬はなぜか「千葉県」とご縁があります。年の暮れメールでのご注文は船橋市の女性、先日わが家をお訪ねのおばさまは松戸市、そして今日お電話でご注文は八千代市のお母さんです。
かつてギフト業を生業の一部としていた頃、タオル製品の仕入先に千葉県横芝町の会社がありました。草履職人となった今も、粗品タオルの注文があったときだけお世話になっています。

先日これまで扱っていない商材を依頼され、こちらの会社へ電話で問い合わせました。電話に出られた社長夫人と仕事の話が済んだ後、『私は福島出身なもんで、東北の方と話すのがなんか懐かしいんですぅ』。これまでFAXのやりとりばかりですから、こうしたおしゃべりは初めてでした。

かつてサラリーマン時代に横芝町を何度か訪問していることや、ついでに「角館草履」もお教えすると当地へ旅行経験があるとのこと。翌日問い合わせの続きをお電話したら、『ホームページ見せてもらいましたぁ、またじっくり見ますねっ』。人の縁というものは、いつでもどこでも転がっている気がします。

現在闘病生活をしている私の叔母というのは、埼玉県三郷市に自宅がありました。常磐自動車道三郷インターが目の前という環境でしたから、サラリーマン時代の北関東や南関東の出張は、叔母宅を宿舎にして顧客を回っていたんです。千葉県もそのコースのひとつでした。

当時お得意先のあった土地は、我孫子市・市原市・市川市・印西市・鎌ヶ谷市・木更津市・佐倉市・佐原市・館山市・千葉市・銚子市・東金市・習志野市・成田市・船橋市・松戸市・茂原市・八街市・四街道市、ほかに郡部で少しありましたね。
樺細工を仕入れてくださる職種は実に多彩で、中でも「お茶屋さん」は筆頭です。日本国内お茶屋さんのない土地はまずありませんから、お得意先も都会ばかりでなくありました。

千葉県の「人」で特段印象の強い方は想い出にありませんが、とにかく秋田との環境の違いだけは鮮明に憶えています。東京で雪が降っても千葉は降らないというくらい温暖な土地でしたね。
あとちょっと意外に感じたのが「言葉」でしょうか。千葉市や船橋市といった大都市では感じなかったのですが、特に茨城県に近いほうははっきり「訛り」があるんです。まぁ秋田県人がよそ様の「訛り」を言えた話じゃないんですけど、そんなことで変に親しみを感じるものでした。

十数年前地図を広げ車を走らせた土地に、今は「角館草履」を履いてくださる方が何人もいらっしゃいます。「縁」とは実にありがたく、また不可思議なものですね。

コメント (2)
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