世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

ぼんやり病と雨

2006年10月23日 23時12分33秒 | Weblog
雨の月曜日。

「♪ダバダ~」とコーヒーを片手にし、窓辺でぼんやりしたくなる。
…勿論、肩からカーディガンを羽織り、椅子はロッキングチェア。

そう、私は暇があればいつもぼんやりしている。
ぼんやり病なのかもしれない。そういう病名があれば。

おそらく、これは祖父の影響である。

母方の祖父は、寡黙で優しい人だった。
そして、いつもぼんやりしていた。
硫黄島での戦争体験を時々ボソっと話してくれたり、遊びに行くと必ず本を買ってくれた。

7年前に他界するまでの数年間は、老人ホームに入所させられていたんだが、これは彼にとって苦痛を伴う日常だったらしい。
一人でぼんやりすることを好む祖父にとって、大人数で食事をしたり、決められた就寝時刻に従うことは、本当に耐えられなかったんだと思う。
屋外に出てては、以前は吸わなかった煙草をすぱすぱ吸う祖父の姿は、どこかなげやりで痛々しかった。

ただそれを見つめることしかできなかった、自分。
非力な孫に一体何ができただろう。
今、「祖父の幸せ」を考えてみても、あのときの私にはどうすることもできなかったと思う。
しかし、心の中で祖父の悲しそうな目を反芻するとき、指先に刺さった棘のような痛みを感じるのも事実である。

祖父は、ぼんやりしながら、いつも何を考えていたのだろう。
何を見ていたのだろう。
今、天国からぼんやりする孫娘を観て、どう思っているんだろう。

今日みたいな雨の煙る日は、祖父のぼんやりとした面影が一滴一滴、空から降ってくるような気がする。

…脈略もなく、帰宅途中の私は、そう思った。
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