同居

　葡萄の粒間引き作業も続行中です。
マスカットオブアレキサンドリアに振り回され大忙しの毎日。葡萄の育つガラス室内は環境もよいのでついトマト・きゅうり・ゴーヤなどの夏野菜の早い収穫を狙い植え付けております。同居家族の一員です。
　このところは夫と葡萄の手入れ作業です。
　それぞれのマイバック持参でそれぞれの車で葡萄室に向かいます。マイバックにはそれぞれマイラジオ・水分補給マイボトル・作業用マイハサミを持参し積極的に自分の位置を決め作業開始です。
　ラジオ局の選択は先手勝ちのため夫の選局です。」関西ノリのお笑いやプロ野球ファンには到底ついて行けないおばさんはこっそりマイラジオを取り出しイヤーホンで聴いております。
退職後の夫はますますオバサン化して時おり、オイチャンはマイバックからアメチャンを取り出しダイエット中のおばさんに勧めてくれます。オイチャンの魔法のバッグですか・・・。
せっかくの厚意を断りきれずおばさんの志も打ち砕かれているのです。
　野菜も葡萄もオイチャンもおばさんもみんな同居人です。

　　＜　優しさと 甘さに挫く こころざし　＞
　

栗の花

　白い栗の花がサワサワと風にゆれる頃になると梅が収穫期をむかえスモモも熟し始める。
このあいだ袋を掛けた早生桃もお目見えし夏へと季節も変わりゆく。
　母は60年以上も美味しい果物に恵まれたこの地で暮らして来た事になる。今は苑のベッドの生活も3年目となった。
　今日は部屋替え引越しをして二度目の訪問でした。眠ることが多くなった母です。
　”ご機嫌いかが？”とたずね、最近はあまり多くの会話はしない。ましてや”私はだぁーれ？”だとか”分かる？”などの質問はしないことにしている。
　誰だっていいし、混乱させてしまう事もどうかしらと思えるようになったから・・・。分かろうが分からないだろうが何かひとつだけゆっくり話すことにしている。家の事、季節の事、家族の事・・・何かひとつ。
　今日の会話のキャッチ度は９０パーセント。いくつもの言葉が返ってきたわけではないのですが、喜びの感情がウルウルと顔に表れポツリ発したひと言で充分伝わってきたのでした。

　　＜　ひと時は 季節の知らせ 手土産に　＞
　

六月

　夕方、そろそろ仕事もおしまいにしましょうか・・・と思っていたところにメールの音。　
　近くにいた夫の携帯にも公平にメールが届いていた。
　夫は日頃からメールをしようともしないし、出来ないのだろうと思うのですが。
長女から”夕食は二女の誕生パーティー”との知らせで時間に間に合うように・・とのメールでした。
もちろん私は即刻ふたつ返事で絵文字付きで返信ですが、夫ときたら座り込んで今時の若者のように携帯ポチポチやっていたんです。
ずいぶん難儀をしていた様でありましたが嬉しいメールをもらったお陰でひとつ勉強できたようです。メール送信。
　今日の主役の二女、出生時3960グラムの巨大児の誕生は私にとってはかなり難儀でした。
しかし、よろこびいっぱいシアワセな6月の誕生パーティーにお腹も心も満腹です。

　　＜　嬉しさに ヤル気満々 六の月　＞

朝一番

　＜ラジオあさいちばん＞を聴きながら、朝一番の作業は玉ネギの収穫です。
　それにしても不作です。ひとつひとつ抜き取り、丁寧に根を切り落としていったのでした。
　ラジオ放送は、時の話題のコーナーへと進み＜介護にかかわる相談員の成果＞を語っていました。
　母がお世話になっていることもあり興味深く聞き入っていました。相談員の配属が全ての施設にあるというわけでもない事を知り、母は体制の整った苑でお世話になることができ改めて恵まれているんだと感じたのでした。
そして我々利用者家族とのパイプ役を果してくださるいつもの相談員さんが浮かんできたのでした。
　いつも細やかな状況説明、”何か気になることはありませんか？”の声掛けに苑と家族の距離の近いことに安心できるのです。
　ラジオ放送を身近な事として聴いているうちに玉ネギが不作なんて・・・これで充分と思えるものです。

　　＜　早朝に 喜びひとつ みぃーつけた　＞

乾杯！

　数年前、我が家のビール好きを知った友人が”趣味で創りました。二人でどうぞ！”とペアのビアグラスをくださいました。
　今日は、葡萄の手入れ作業も私のエリアだけは友人の応援の甲斐があり終了いたしました。
しかし、夫はまだ範囲も広く、孤独な自分ひとりの仕事ですからいつまで続きますやら・・・。
　ひと足お先に打ち上げの”カンパーイ！”をいただきました。
大きなグラスに麦の穂が刻まれ、湧き立つ泡が”ご苦労様”と労ってくれます。
明日からは少しだけ夫の応援に向かいましょうか。
　仕事を山ほど抱えた夫は、勿論ひと足お先に飲み干しておりますので・・。

　　＜　飴と鞭 自分に与う 農繁期　＞

お力添え

　”山陰へ行ってきました”とお土産をいただきました。陣中見舞いとお受けして早速、仕事の合間のおやつに頂戴いたします。
　開けてビックリ！
　並んだ並んだほっかぶりのオトボケ顔がぎっしりです。山陰銘菓どじょう掬い饅頭。
お饅頭と贈ってくださった友の底抜けに明るいキャラが重なり年甲斐も無く笑い転げたあげくパクリと美味しくいただきました。
それにしても面白いデザインと愛嬌と好物の白あんに幸せ気分でございます。
　愉快で優しいお力添えにパワーアップし作業に専念いたしました。”アラーエッサッサ・・・”

　　＜　手土産に 笑い飛ばした 疲労感　＞ 　

ひと休み

　来る日も来る日も葡萄の粒間引きの毎日です。
　ハサミ片手に老眼鏡での根気の要る作業にいささか疲れ気味です。お手伝いしてくださる人とおしゃべりしながらなら救われるのですが、今日は一人ぼっち。
　不仲でも冷戦中でもないのですが、夫とは基本的に同じ場所で作業をしないのがわが家流です。
各々が自分の持ち場で働きながらもお互い目指すものも育てるものも同じでありますから・・・。ストレスの無い作業法ともいえます。
　十時の休憩も今日はひとり。ドッサリお茶にお菓子は用意していますが・・・。
せっかくなので携帯電話を取り出し”お茶しませんか？美味しいバームクーヘンだってありますけど・・・”と夫を誘った。
家族割引の通話無料だからというわけではないのですが、やはりお茶は一人より二人でしょうか。
何事にも軽い夫は”ハイヨーッ！”とわざわざ車で駆けつけて来た。
　ティータイムもあっという間で”解散”宣言。
　
　　＜　ケイタイで 労をねぎらう ワンコール　＞