栗の花

　白い栗の花がサワサワと風にゆれる頃になると梅が収穫期をむかえスモモも熟し始める。
このあいだ袋を掛けた早生桃もお目見えし夏へと季節も変わりゆく。
　母は60年以上も美味しい果物に恵まれたこの地で暮らして来た事になる。今は苑のベッドの生活も3年目となった。
　今日は部屋替え引越しをして二度目の訪問でした。眠ることが多くなった母です。
　”ご機嫌いかが？”とたずね、最近はあまり多くの会話はしない。ましてや”私はだぁーれ？”だとか”分かる？”などの質問はしないことにしている。
　誰だっていいし、混乱させてしまう事もどうかしらと思えるようになったから・・・。分かろうが分からないだろうが何かひとつだけゆっくり話すことにしている。家の事、季節の事、家族の事・・・何かひとつ。
　今日の会話のキャッチ度は９０パーセント。いくつもの言葉が返ってきたわけではないのですが、喜びの感情がウルウルと顔に表れポツリ発したひと言で充分伝わってきたのでした。

　　＜　ひと時は 季節の知らせ 手土産に　＞