晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『吉原裏同心(二十二)夢幻』

2021-10-17 | 日本人作家 さ
ここ一月ほどずっと連続で「あきない世傳金と銀」と「吉原裏同心」のルーティーン。だってまとめてドカンと買ったのだから仕方がありません。さすがにこのルーティーンで今年の投稿が終わるなんてことは、たぶんありません。きっとありません。

頑張ります。

さて、このシリーズも二十五巻で一旦終わる(続編シリーズがありますからね)ということで、残りあとわずか。

「未決」「髪結」「遺文」と三巻通してひとつの話という、ひょっとして最後までぶっ通しで行くのかしらと思いつつもとりあえず終わって次の話へ。
木枯しの吹く夜、吉原の廓内に住む按摩の孫市は、豆腐屋の親方の揉み療治をやってお土産に油揚げをもらってぱくぱく食べながら家に帰ろうとしたところ、人の気配が。「どなたさんで」と訊ねても返事はなく、孫市は息絶えます。

翌朝、神守幹次郎と汀女の夫婦が住む家に吉原会所の金次がやって来て「按摩の孫市さんが殺された」と報告。幹次郎は急いで吉原に駆け付け、殺害現場へ。「蜘蛛道」と呼ばれる入り組んだ細い裏道を抜けると「天女池」という池があり、そのほとりで背中から斬られたような状態で絶命した孫市が。孫市は吉原で女郎相手に金貸しをしていたようなのですが、悪どい金貸しではなく、どちらかというと人助け。借金をしていた何者かの逆恨みの犯行とは考えにくく、金目的の犯行か。

会所に報告すると、「何か気になることは」と訊かれ、幹次郎は、孫市が持っていた食べかけの油揚げの匂いの他に、鬢付け油のような匂いがしたのを思い出します。

孫市は、なぜ吉原に住んで按摩をやることになったのか。彼の素性は。調べていくと、孫市はたまに吉原を出て深川の寺に墓参りをして、そのあとに駄菓子屋に寄っていたことが分かります。駄菓子屋のお婆さんに「孫市の話を聞きたい」と話しかけると・・・

江戸時代、幕府は視覚障がい者の保護政策の一環で、組合を形成して按摩や鍼灸の独占事業を容認していました。彼らの中には金貸しをしていたものもいたそうで、そのトップの位「検校」とかになりますと時代小説ではたいてい「悪者」として出てきますね。

なんといいますか、とても悲しい話ではありますが、物語としてはとても良いです。

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