晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『夢にも思わない』

2010-11-08 | 日本人作家 ま
たしか、去年あたりでしょうか、この『夢にも思わない』を買って、
読み始めてそうそう、じつはこれは「今夜は眠れない」という作品の
続編なんだということがわかり、それじゃあ前編を買ってくるまでは
ストップしておこうと思ってから、だいぶ時間が経過してしまい、
ようやく、「今夜は眠れない」を読みました。

で、『夢にも思わない』を読み終わって、ああ、前編を先に読んでおいて
よかった(ごく当たり前の感想)と思ったのであります。

主人公の語り手は「ぼく」、雅男という中学生。東京の下町に住み、
ごくありきたりな“普通の”中学生。
とはいっても、こちらもごく普通に恋などをしていて、同じクラスの
クドウさんに目下片思い中。

そんなクドウさんが、近所の庭園で開催される「虫聞きの会」という
風流なイベントに行くことを知り、雅男は親友で将棋部の島崎(彼は
前編「今夜は眠れない」で雅男の巻き込まれた事件の究明に協力して
くれた)も誘ってみますが、将棋の大会が近いことと、雅男のクドウ
さんに対する想いを知っていて「それならひとりでいけ」と言います。

ひとりで参加することになった雅男は、庭園内にいるはずのクドウさん
を探していると、遠くから悲鳴が聞こえ、なんと、中学生くらいの女の
子が殺されていると・・・

急いで駆けつけてみると、そこには、雅男の知っているクドウさんの印象
とはだいぶかけ離れている、派手な服装で、しかし、顔を見てみると、
それはどう見てもクドウさんだったのです・・・

意識を失ったようで、気がつくとそこは病院。話を聞くと、被害者の女性
はクドウさんではなく、なんと、クドウさんの親戚だったのです。
ところが、この事件がクドウさんを困らせることに。なんと「亜希子ねえ
ちゃん(クドウさんは歳の近いこの親戚をそう呼んでいた)」は、都内に
暗躍する売春組織に関わっていたということが週刊誌に載り、心ないクラス
メイトたちは、血縁であるクドウもひょっとして・・・などと噂したり
するのです。

雅男は必然、立ち上がって、島崎とともに、この事件のナゾを解明しようと
するのですが・・・

前作「今夜は眠れない」は、こういってはなんですが、大した「事件」は
起こらないのですが、『夢にも思わない』は、殺人からはじまり、第二の
殺人も起こり、さすがにこれには中学生が気安く首を突っ込むわけにも
いきません。

前作では「いけすかなさ」「可愛げのなさ」ぶりを出した島崎ですが、
今作でも、まあ冷静沈着で可愛げのないところは変わりませんが、それでも
ここが宮部みゆきの「巧さ」といいますか、子どもが大人をむこうに立回り
を見せると、周りの大人が子ども側に合わせて(譲歩して)、それが全体的に、
登場人物がみんな幼く感じてしまうのですが、島崎は「大人ばりの思考では
あるけれども、大人ではない」というスタンスで描かれます。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マイクル・クライトン 『失... | トップ | 宮部みゆき 『日暮らし』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本人作家 ま」カテゴリの最新記事