晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

北村薫 『空飛ぶ馬』

2020-07-17 | 日本人作家 か
この作品は北村薫さんのデビュー作ということで、文庫のあとがき解説でよく説明されていて、いつか読もういつか読もうと思っていまして、このたびようやく読んだという次第。

主な登場人物は女子大生の(私)と、落語家の春桜亭円紫さん。不倫関係ではありません。円紫さんは(私)の通う大学のOBつまり先輩。
「推理小説」「ミステリ」となってはいますが、刑事や探偵は出てきません。殺人事件も起こりません。時刻表トリックもありません。じゃあどういう設定なんだという話ですが、基本的には(私)の見たり聞いたりしたちょっとした不思議な現象や謎を、円紫さんに相談、円紫さんは現場を見たわけではありませんが(私)から聞いた情報をもとに謎解きをします。

戦国時代の武将、としてよりは茶人として有名な古田織部の絵が・・・という「織部の霊」
とある喫茶店で女性客がテーブルの上に置いてある砂糖の入れ物を・・・という「砂糖合戦」
旅先で出会った子どもが・・・という「胡桃の中の鳥」
歯医者で聞いた赤頭巾の話・・・という「赤頭巾」
幼稚園の庭に植えられた遊具の馬が・・・という「空飛ぶ馬」

謎解きができたからといって犯人が逮捕されるわけでもなし、(私)がモヤモヤしていたのが晴れたといいますかそんな感じなのですが、ここが北村薫さんの上手さといいますか、読んでるこっちもスッキリします。構成といいますか演出の力ですね。

ふたりのやりとりの端々に落語が出て来て、「こんな話である」といった具合にあらすじ説明がありますが、この話にこの落語を登場させるというチョイスもいい感じ。

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