晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

パトリシア・コーンウェル 『証拠死体』

2009-12-04 | 海外作家 カ
『証拠死体』は、前作のデビュー作『検屍官』のシリーズもので、
主人公の検屍官、ケイ・スカーペッタと、前作では“うま”が合わず
お互い忌み嫌いあっていた警部補マリーノが、リッチモンド市内で
起こる殺人事件を解決していきます。

前作を読まなければ分からないような話の引っ張り方や回想は
少なく、この作品から読み始めても人物相関などはけっこう把握
できるくらい親切で、『証拠死体』では、ケイとマリーノはそこそこ
心が通じ合ってきたというか、ナイスコンビに仕上がってきつつあ
るといった状態。

バージニア州リッチモンド在住の売れっ子作家、ベリル・マディソン
が、自宅で惨殺されていると通報が入ります。
彼女は以前から何者かに脅迫されており、殺される前の数ヶ月間、
フロリダに逃避していたのですが、何か理由があり帰宅して、犯人
に殺されたのです。
家はアラームを一度解除して犯人を家に上げた形跡があり、顔見知
りの犯行とみた警察は、以前から契約問題でベリルと揉めていた、
ベリルの小説の師匠でもあり親代わりでもある、ケーリー・ハーパー
という作家を疑いますが、アリバイがありシロ。
そんな中、ベリルの弁護士であるニューヨークのスパチラーノが、彼女
が書き残した原稿を要求、検屍局が紛失したと騒ぎたてます。
そして、ケイの元恋人で弁護士のマークも、この件に絡んできて、事態
はベリル殺害事件の解決だけではなくなります。

そんなごたごたの中、最初に疑われたケーリー・ハーパーが、飲んで
帰宅したところを何者かに殺されてしまい・・・

なぜベリルは脅迫を受けていた場所へ帰ってきたのか、なぜ殺されなけ
ればならなかったのか、犯人は・・・
マークはこの件にどう絡んでいるのか。ケイを裏切るのか味方か・・・

結末は、よくも悪くもアメリカ的サスペンスのネタだなあと感じました。
なんていうか、心の病気が多すぎ。
日本でも心の病気の問題は少なくありませんが、それを小説のネタに
してしまうと、結果「なんでもあり」みたいになってしまい、思わず唸る
ような結末の小説には出会いにくくなっている現状があります。
構成力とか人物描写は非常にクオリティが高いなとは思うのですが、
読み終わって考えさせられるサスペンスというほどではなかったです。

この検屍官ケイのシリーズはまだまだたくさん出ているので、十二分に
期待しつつ、次作を読むことにします。

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