晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

海堂尊 『極北ラプソディー』

2018-08-19 | 日本人作家 か
この作品は、いちおうシリーズとしては「極北編」という
括りにはなっていますが、バチスタシリーズも関係してく
るし、「バブル3部作」という括りの、ドラマで話題にな
った「ブラックペアン1988」の登場人物も出てくるし、こ
れを読む前にいろんな作品を読んでおくと、より深く理解
できると思います。

さて、「極北」とは、北海道にある架空の街「極北市」。
第3セクターの失敗により巨額の財政赤字を抱え、ついに
自治体として経営破綻。・・・と見ると「ああ、メロンで
有名なあの」と思い浮かべますが、架空。

「極北クレーマー」では、極北市民病院に大学から派遣
されてきた今中という医師が、赤字病院の運営、地方医
療の現実、そして医療事故裁判という難しい問題に関わ
りますが、今中が所属する大学の医局から戻ってこいと
命令があったのですが、戻らず市民病院で医師を続けま
す。

そんな市民病院の新しい院長に「地方医療の再生請負人」
の世良という人物が就任します。大胆なコストカットと
リストラで一時期は注目を集めますが、患者数の減少や
救急の受け入れをしないなど各方面からの不平や不満が
湧き出てきて、そこで世良は、今中を隣の雪見市にある
救命救急センターに派遣することに。

ここで登場するのが、元・東城大付属病院の救命救急医
「血まみれ将軍(ジェネラル・ルージュ)」こと速水。
速水は雪見市の救命救急センターの副センター長になっ
ています。なんで東城大の医師が北海道に、というのは
「ジェネラル・ルージュの凱旋」に書かれていますが、
まあいろいろあって北海道にやってきます。

救急医としての腕は素晴らしいのですが、なにせあだ名
が「将軍」というくらいですからワンマン独裁で、周り
の医師やドクターヘリ会社の人たちとうまくいってない
様子で・・・

ちなみに、世良は「ブラックペアン1988」に登場した、
当時はまだ研修医。で、ここに大学生として出てくる
のが、バチスタシリーズでおなじみ田口、放射線科の
島津、そして速水。

医療費未払い患者を受診拒否し、その人が急死すると
いう事件が起こり、メディアの姿勢や医師の厳しい現
実を描いています。

クレーマーやバッシング体質も良くないですし、一方
の医師側の隠ぺい体質もまた良くないですし、この
「甘やかすな」「甘えるな」のやりとりが続けば医療
が良くなるとは思えませんが、他者に厳しくではなく
自分たちに「甘やかさない」「甘えない」に変われば
いいですね。

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