晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『おちゃっぴい』

2018-08-09 | 日本人作家 あ
毎日毎日暑いです。立秋になると天気予報で「暦の上では
もう秋ですね」なんて言いますが、なんの気休めにもなり
ません。

さて、宇江佐真理さんです。この作品はあとがきによると
デビュー間もない頃に書かれた短編集です。

「町入能」は、大工の初五郎の話。
初五郎が長屋に帰ると、そこには大家が。長屋の住人を集
めると、御城内で行われる能を江戸の町人たちが招待され
て見物することができる「町入能」に、この長屋の住人が
招待されたというのです。大工として御城内をいつか見て
みたいと憧れていた初五郎は喜びますが、なにせ貧乏長屋
だもんで、御城に着ていく上等な着物なんて誰も持ってま
せん。そちらは借り着で済ますとして、初五郎は同じ長屋
に住む花井という浪人に能について聞きますが・・・

表題作「おちゃっぴい」は、札差のお嬢さん、お吉の話。
武士が支給される俸禄米を換金したり、その米を担保に
金貸しもやる札差「駿河屋」のお嬢さん、お吉は朝から
不機嫌。というのもお吉の父が再婚するのです。ふたり
目の母なんていらないと家を飛び出すお吉。それを追う
のは駿河屋の手代でお吉の見守り役の惣助。お吉は惣助
も気に入りません。というのも父がお吉の将来の婿とし
て惣助を見込んでいるのです・・・

「れていても」は、薬種問屋「丁子屋」の長男、菊次郎
の話。
風呂屋の二階にある座敷で菊次郎は浮かない顔。それと
いうのも、父親が病気で店の跡継ぎになったはいいもの
の店の帳簿を調べると赤字続きで倒産寸前。そこで同業
から「持参金つきでうちの娘を・・・」という縁談話が。
しかしその娘の容姿がどうにもこうにも。それよりも、
菊次郎にはお龍という書の先生に片想い・・・

「概ね、良い女房」は、「町入能」の長屋に新しく引っ
越して来た夫婦の話。
前に住んでいた花井という浪人の夫婦が引っ越して、そ
こに新しく入るのもまた浪人夫婦とのこと。無口だけど
慕われていた花井さんのような人だといいねなどと井戸
端で女房だちが話しているところに挨拶もせずずかずか
割り込んでくる女が。女の名はおすま、亭主は浪人。
ものすごく世間知らずな亭主と図々しいおすまという、
変わった夫婦ですが・・・

「驚きの、また喜びの」は、岡っ引きの伊勢蔵の話。
正月。起きると外は大雪。家には娘はいません。女房
に聞くと、お友達と初詣に出かけたとのこと。伊勢蔵
は家の外の雪かきをしていると、キャッキャはしゃぐ
娘とその横には男が見えます。男は鳶で火消しの龍吉
で、しかし長くこの界隈の岡っ引きをしている伊勢蔵
は知らない顔。さっそく火消しの頭のところに行って
龍吉のことを聞くと・・・

「あんちゃん」は、ふたたび「れていても」の菊次郎
の話。
さて、なんだかんだで(いわくつき)の女房をもらっ
た菊次郎。今日も行きつけの風呂屋の座敷で顔馴染み
とだらだら世間話。するとそこに噺家と名乗る男が。
それからどういうわけかその「あんちゃん」と呼ばれ
る噺家は菊次郎の周囲に現れるように・・・

全体的に、コメディータッチです。あとがきによれば
ずばり「テーマは(笑い)」だそうです。

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