晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ディーン・R・クーンツ 『ストレンジャーズ』

2010-08-27 | 海外作家 カ
前に、クーンツの「ミスター・マーダー」という作品を読んで、その
あとがき解説で、「冒頭で主人公の作家が、自分で書いた記憶のない
文章がタイプで打ってある云々が、『ストレンジャーズ』に似ている」
と、自身の作品のオマージュというか、そういうのが上手だ的なことを
書いてあったのですが、確かに、カリフォルニアに住む作家ドミニック
、通称ドムは、ある朝目覚めると「おれは恐ろしい、おれは恐ろしい、おれ
は恐ろしい・・・」とタイプで打ってあり、もちろんこんな文を打った
記憶はドムにはない、といった始まり。

さらに、ドムは、これだけではなく、重度の夢遊病で悩んでいたのです。
起きたらガレージだったりクローゼットの中だったり。そして、手には
包丁、護身用の銃などを持っていたのです。

この悩みは、処女作の小説が、出版権の争奪戦で高額になり、有名作家に
なってしまったプレッシャーからなのか、じっさい、精神科医を訪ねてみて
も、そのようなカウンセリングをされるのです。
睡眠薬や安定剤を処方されて、それを飲むと一応は落ち着くのですが、また
いつ悪夢がぶり返すかわからず怯えます。

しかし、同様の悩みで苦しんでいるのは、ドム以外にもいたのです。
ボストンに住む、女性医師のジンジャーは、ある日デリカテッセンに居合わせた
眼鏡、黒い手袋の男を見て、恐怖に襲われます。息も苦しく、歩調も定まらず、
逃げるようにして家に帰ります。
しかし、将来を有望視されている若手医師ジンジャーは、先輩医師からの信頼も
厚く、手術をすることに。しかしジンジャーにはあの時の恐怖があり、もし手術
中に危なくなったら・・・そして、心配は的中。手術を終えて、何者かに襲われる
幻覚を見たのか、暴れ叫んで意識を失うのです・・・

さらに、ラスベガスの母と娘、シカゴの神父、ネヴァダのモーテル経営者の夫、
彼ら彼女らも、何かしらの恐怖に怯えているのです。
そして、その恐怖には、ある共通点があるのです。それは「月」。

いったい彼らに、夜に見上げればそこにある月が何をしたというのか。彼らの
恐怖とは。そして、彼らが「見た」ものとは・・・

文庫で買って、上巻は、それぞれの人物が味わう恐怖の状況を描き、じわじわと
謎が分かっていくかと思えばまた謎は深まっていき、の繰り返しで、正直読み進む
のが遅かったのですが、後半、とうとう謎が解明されつつある状態になってきて、
こんどはやめられなくなるくらい引き込まれて読み進むのが早い早い。

相変わらずというか、ホラー、スリル、サスペンス、ミステリー、SF、ロマンス、
なんでもありのごった混ぜ、それでも最終的には上手にまとめて、また別のクーンツ
作品を読みたくなる、ここが魅力ですね。

スティーヴン・キングをして「これは最高傑作だ!」と言わしめるほどです。

コメント
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