晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ディーン・R・クーンツ 『バッド・プレース』

2010-08-13 | 海外作家 カ
スティーヴン・キングとディーン・R・クーンツといえば、かたや
「モダン・ホラーの旗手」、こなた「B級ホラー全開」。同じホラー
でも評価が違うのですが、記憶が正しければ、お互いがお互いの作品の
ファンだそうですね。

キングより先にクーンツにハマり、なんでもアリなストーリー展開で
読み出したら止まらない魅力があるのですが、どうにも今回読んだ
『バッド・プレース』は、その勢いがなかったというか、文中にのめり
込めなかったのです。
作品自体の問題なのかわかりませんが、訳者がいつもと違う方で、初めて
お目にかかった、ということが一因なのか・・・
だからといって、英語での原文はとてもではありませんが読む気力は無い
ので、訳者の「せい」にはしたくはないのですが、とにかく、クーンツ作品
にしては、読了までに時間がかかってしまいました。

静かな夜、男は突然、目を覚まします。しかし、今いるところ、自分は何者
なのか判然としません。
ようやく自分の名前を思い出す男。フランク・ポラード。
他に思い出すのは(暴風のなかに蛍の群れ)と、奇妙なフルートのような音。

とにかく、今いる場所から逃げたほうがいいと感じるフランク。路上駐車して
ある車を盗み、出ようとすると、いきなりブルーの閃光がフランクを襲い・・・

なんとか逃げおおせ、車を走らすポラード。どうやら、自分はカリフォルニア
にいて、しかもこの地域の地理は知っている様子。そして、手元にあった鞄を
空けてみると、中には大量のドル札と、知らない名前の身分証明書が。

何者かに追われているという恐怖心にとらわれたままのポラード。鞄にあった
知らない人の身分証明でモーテルに泊まり、目覚めると、ポラードの顔からは
血がしたたり、シーツは血まみれ、傍にはみたことのない奇妙な虫、そして
なぜか手には黒い砂・・・

どうにもならないポラードは、ある私立探偵社に依頼します。「ダコタ&ダコタ」
というボビーとジュリー夫婦が営むこの探偵社に、自分の存在と、金の出所、
虫と砂は何なのか、調べてもらうことに。

はじめジュリーは何となくこの調査に乗り気ではなかったのですが、人の良い夫
ボビーの説得で受けることに。

たんなる記憶喪失でもない、からかっている様子もない、とりあえずポラードを
入院させて、検査をしてもらいます。
探偵社の社員からひとり、日系のハル・ヤマカタを見張りにつけていたその日の夜、
強く風が吹いて、どこからかフルートのような笛の音が。
そして、ハルの目の前で、ポラードが消えてしまったのです・・・

軽いネタバレとして、ポラードを追うには、弟のキャンディで、ポラードは実母を
殺し、母を崇拝していたキャンディは兄を憎み、双子の妹も長兄を憎みます。
そして、兄の行方を捜し、兄に関わる者はみな殺しにしてゆくのです。
この兄弟姉妹には、ある「特殊能力」があり、ポラードが突然消えるのもそうですが、
風とフルートのような音の正体は、キャンディが近づいてくるときに出る音なのです。
なぜポラードは母を殺さなければならなかったのか・・・

そして、ジュリーの弟で、ダウン症で施設で暮らすトーマスは、どういうわけか、
このキャンディとコンタクトを取れるのですが・・・

ホラー、ミステリー、サスペンス、SF、そして人間ドラマもあり、もう寄せ鍋
というか、闇鍋のような状態で話は展開され、最終的には、シメの雑炊とでも
いいましょうか、ああ、これでこそクーンツの世界だよ、と満足。
コメント
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