1975.5.25/6.1 ヴィーン・コンチェルトハウス
ピアノ:フリードリッヒ・グルダ
指揮:クラウディオ・アバド/ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団
プロブラム:モーツァルト/ピアノ協奏曲第25番(6.1)
/ピアノ協奏曲第27番(5.25)
花見は数日先に残して、グルダのモーツァルトを聴いてゐました。
1975年ヴィーン芸術週間での、素晴しいライブの模様のテープです。
30年以上前のテープですので、ひたすら保存してゐたのですが、
高音がきついテープでしたが、音は綺麗に残ってゐました。
グルダ、アバド共に40代半ば前後。
結局、4曲の録音しか残さなかった組み合はせ。
グルダ独特の、結晶のやうなモーツァルト!
低音域から高音へと伸びる音の素晴しさ!
アバド/ヴィーン・フィルの、完璧なまでのバック。
ある意味、冷たく硬質なモーツァルトですが、奇跡のやうな演奏です。
25番は、ただならぬ気配の中で演奏が進んでゆきます。
グルダの演奏は勿論ですが、ヴィーン・フィルの演奏が余りにも素晴し過ぎるくらゐ、です。弦の旋律、管のひと吹きがすべて息づいたものになってゐる。
小生は勘違ひしてゐたのですが、グルダ自作の「アリア」が演奏されたのは
この25番の後でした。
騒然とした拍手にせがまれて、突然、グルダは「アリア」を弾き始めます。
氷柱のやうにシンプルで、けれど、祈りを感じさせる、まったき美しいアリア!
27番の演奏は、常にグルダのハミングのやうな声が聞こへてゐて、
モーツァルト死の年の協奏曲云々のエピソードを払ひ除いた、
浄化された音の連なりだけが聞こへてきます。
こと27番に関しては、この演奏がよいのかも知れません。
加へるものも、削るものも一切ない曲ですからー。
それにしても、やはり、グルダの死は早すぎた!
(写真は、ジャケットから)