やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ヨッフム/バンベルク響来日公演

2006-04-15 | 古きテープから

1982年9月16日.東京文化会館
指揮/オイゲン・ヨッフム/バンベルク交響楽団
プログラム:ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
                /交響曲第7番


第6番の出だしから、引き込まれてしまひました。
フッと息を抜いたやうな、ゆるやかなテンポで始まります。
少し名のあるオーケストラでしたら、「田園」くらゐは指揮者なしでも充分演奏してしまふと思ふのですが、この演奏は、晩年のヨッフムの、指揮者としての存在感がありありと伝はる演奏になってゐます。

ほぼ45分の演奏時間ながら、聴き終はった後の印象は、もっと時間がかかってゐるやうな、とても大きな「田園」になってゐます。
設定された遅めのテンポが、途中でだれることなく、後半の嵐の場面でも、前のめりせず、悠々たる演奏です。
せかせかと前半を飛ばし、後半に山場をつくるやうな、小ざかしい演出はせず、曲の最後の場面でも、ゆっくりと消へ入るやうに、大団円のやうに曲を閉じてゐます。

プログラム後半の、交響曲第7番は、テンポはそれほど遅くせず、正攻法で演奏してゐますが、正直、6番よりは面白みに欠けてゐました。
後半の楽章は、堂々たる石造建築のやうな演奏でしたが、前半の楽章がすこし大人しい感じです。
オーケストラの、少し地味な音色がさうさせてゐたのかもしれません。


ヨッフムが逝って20年近くになりますか。
同じく、バンベルク響と録音した同じ時期のモーツァルトがとても素敵だっただけに、かういふ正攻法の指揮者がいなくなってしまったことに改めて気が付き、残念な思ひのみがわいてきます。



(写真は、ジャケットから)