やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

嗚呼 ショルティ

2005-05-31 | 音楽を
日曜日の夜、
ゲオルグ・ショルティ/ウィーン・フィルの演奏がNHKで流れてゐました。
1994年、約10年前の来日公演の一部です。
ベートーヴェンの七番の交響曲に聞きほれてゐました。

LPの時代には、ショルティのベートーヴェンやマーラーはよく聴きましたが
(当時の、デッカのスッキリ、クッキリの録音に拠る所も大きかったですがー)、
最近は左程聴いた覚へが無く、少し前に中古のCDで第九の再録音を買った位でした。

ところで、放送されてゐた演奏。
素晴しいベートーヴェンでした。
世界随一の名器、ウィーン・フィルの演奏ですから悪からうはずもありませんが、
歳のせゐか、少し頬のこけた、けれど如何にもハンガリー人といふ風貌から
紡ぎだされる第七番は、奇をてらふことなく、妙な新しさを求めることなく、
正統派の演奏そのものでした。
ウィーン・フィルの、やはらかく、決して音割れしない音色に支へられた
強く、芯の入った演奏は、ベストの組み合はせに依る証明でした。

晩年に、こんな見事な演奏を繰り広げてゐたのは、ひとつの驚きでした。

ifで云へば、晩年のショルティ/ウィーン・フィルの組み合はせで
モーツァルト、ブラームス、シューベルト、ベートーヴェン等の
古典的な作品を、”正統”な演奏で聴きたかった!
当時のプロデューサーは、何故、アバドとかの組み合はせで、
毒にも薬にもならないやうな録音を作り出していったのか!?
 (`0`)ノ"

デュフィの絵

2005-05-30 | 絵をみる
デュフィ(DUFY)の絵がとても好きです。

数年前に、秋田の美術館で「デュフィ展」があり、
三時間をかけ、峠を越へて見に行きました。

北フランスに生まれ、それ程恵まれた人生ではなかったやうですが、
デュフィのどの作品も、洗練された色使ひと洒脱なテーマに溢れてゐます。
絵を描くことへの渇望と、それを叶へる才能の証しでせう。

悲惨な人生が、辛い作品を生むとは限らない。
恵まれた人生が、豊かな作品を生むとは限らない。
そんな、ひどく当たり前のことの証明をしてゐるやうです。

地域や、小生のやうな凡庸の人間がそれを出来ないのであれば、
せめて、楽しむ余裕は持ち合はせてゐたい、と常々思ってゐます。

(*^-^*)


庭拝見 其の弐

2005-05-29 | やまがた抄

お客様の処へ再訪する楽しみのひとつに、
季節ごとに見られる庭先の花や樹があります。

先日、雹に見舞はれたお客様の処もさうです。
山芍薬(ヤマシャクヤク)です。
タイミングが悪く、花が落ちてしまったところでしたが、
風情が残ってゐたので写真を撮らせて頂きました。

竹垣の蔭で、静かに、けれど凛と白い花を付けるさまは、
いつも丹念に手入をされてをられる坪庭の中で、
ふだん得ることのできない静謐な時間を与へて呉れます。

5月27日 雪?

2005-05-28 | やまがた抄

所要が出来て、昨日の御庭に二日続けて行きました。
途中の道すがら、道路の隅が白くなってゐる、と怪訝な思ひで伺ふと
写真の雪景色(?)でした。

小生の、「雪ですか?」といふ的外れな驚きに、
「雹(ひょう)ですよ、物凄い勢ひで降ってきてー」と
奥様が話されてゐました。
確か、5mmが雹(ひょう)と霰(あられ)の境目だったと思ひますが、
庭先には1cm近くもの雹が解けかかり、
時ならぬ雪景色に変はらうとしてゐたところです。

新緑萌ゑる坪庭の珍風景は、雪国山形ならではのものと、
携帯の写真に収めてきました。(*'-'*)

庭拝見 其の壱

2005-05-27 | やまがた抄
 
県南のお客様の、玄関先の庭です。
山形でも名のある作庭家が作られたといふ、落ち着いた庭です。

以前、ある施設で県内の作庭家が一堂に会しての作品展がありました。
その中で、目にとまった庭がありました。
京都に学び、京風な瀟洒な庭を作られてゐる方でした。
その方の作と聞いて、お伺ひするたびに覗かせて頂いてゐます。

ご夫婦で庭や花を愛される素敵なお客様で、
写真を、と云ったら、折角だから水を打たうと撒いて頂きました。

写真にはありませんが、小さな宇宙の入口に、
エビネが花を付けてゐました。(*^-^*)

カラヤンのモーツァルト

2005-05-26 | 音楽を
何と、無残な演奏なのだらうか。
聴き終はると、さう思ってしまふ。

写真はウィーン・フィルを指揮した1960年代初めのころのCDですが、
後年のベルリン・フィルを指揮したものはもっと酷いものになってゐる。

カラヤンほどの指揮者が、何故か、モーツァルトは心を震はせない。
特に、ベルリン・フィルの演奏は、残響をたっぷりと入れた録音がマイナスしてか、
音を長く伸ばし、隅々まで練り上げ、磨き上げてゐるのに、
聴き終はると、いつも他の指揮者のものを聴かないと気がすまない気になる。

うん、今日はカラヤンを聴きたい、といふ日は滅多にないのだけれど、
例へば、チャイコフスキーやメンデルスゾーンみたいに、
まったく惚れ惚れとする程美しく、優雅に演奏するのに、
モーツァルトやブラームスやバッハは、悲しいほど詰まらない。

徹底した人工美(スーパーリアリズムのやうな)は、
初めて見たときにはその精密さに驚くけれど、
二度目、三度目にはすっかり感激は薄らいでしまふ。
積み重ねてきた辛さのやうなものが見へて来ないから、なのだと思ふ。

コデマリ

2005-05-25 | 雑記
新しいカテゴリーを作りました。
仕事の移動は100%車ですし、仕事がらデジカメはいつもバッグの中です。
静物や景色だけでなく、気に入った場面を切り取れたらと思ってゐます。

ある施設の駐車場で、コデマリが咲いてゐました。
バックに、山藤が下がってゐたのですが、映らなかったやうです。

置賜盆地

2005-05-24 | やまがた抄

川西町(米沢市の隣り)のお客さんへ行くのに、小さな峠を越へます。
途中で、高畠から米沢にかけての田園風景が望めます。

明治の初め、イザベラ・バードが見た景色です。
旅行家なのか、宣教師なのか、有閑婦人なのか、調べたこともないのですが、
彼女が「エデンの園!」「アルカディア(桃源郷)!」と、
妙にベタ褒めしたといふ景色です。

まだまだ江戸の名残が残ってゐたころの話でせうから、
そして、貧しい頃の日本を見ての話でせうから、
少し、眉唾ものですが、
姿そのものは、百年を過ぎた今でも、穏やかな景色を見せてゐます。



キース・ジャレット/スタンダーズVol.1

2005-05-23 | 書棚のジャズアルバムから


ジャズ関連の本を読んでゐて、ふと聞きたくなりました。

キース・ジャレットのトリオによる録音は、
この後の「星影のステラ」、「スティル・ライブ」、「イン・ノルウエイ」
等々の方が有名なのかも知れませんが、
久しぶりにこのVol.1を時間を忘れて聞き終へました。

巷間云はれるやうに、キースのマルチぶりは有名ですが、
やはり一連のトリオによる演奏は(近年は、ややマンネリ?)素敵です。
彼のモーツァルトやバッハも聞きましたが、何となくなぞったやうな演奏で
録音は綺麗でしたが、演奏そのものはインパクトのないものでした。

このVol.1の1曲め「ミーニング・オブ・ザ・ブルース」の
出だしのピアノの音色と入り方が、その後の快進撃を象徴してゐます。
手垢にまみれた有名曲を、自分とメンバーの感性をのみ信じたやうな
独特の解釈の演奏が、20年前、電気化に走り疲れてしまったジャズが
アコースティックで息をふき返す小さなきっかけになったやうな気がします。




蔵王のブナ

2005-05-22 | やまがた抄
蔵王のブナの樹です。

ふと目にとまった一本の幹を撮ったのですが、
PCに取り込んでみると、その存在感に感心しました。

山中の、誰の助けもない、誰の歓心も貰はない(一人ゐますがー)
ブナの、この堂々とした姿は如何ばかりでせう。
おもはず、自立、の二文字が浮かんできました。

木を見て森を見ず、といふ話がありますが、
やはり一本一本の樹の姿が美しくなければ、
森全体に美しさも凄みも感じられない。

最近、知人やお客さんとよく話すのですが、
天変地異や事故ががいつ起こるかわからない世の中で、
それに遭遇したときに自分の力で三日間は生き延びなければならない、
そのための知恵を持っていなければならない。
泥水でも飲む、食べられる野草を知ってゐる、等々。

五センチほどの積雪に、NHKのニュースで雪の道の歩き方を特集するやうな
ひ弱な、ばかばかしい世の中を、森の中のブナの樹は
笑ってゐるやうな気がします。(`0`)ノ"