ルドルフ・ゼルキンのブラームスのピアノ協奏曲を聴く。
1番と2番が収められてゐて、1番はセル指揮/クリーヴランド管、2番はオーマンディ指揮/フィラデルフィア管、といふ往来の豪華な顔合はせである。
ともに1960年代の後半に録音されたもので、ゼルキン自身も60代の頃である。
録音がさう多くないといはれるゼルキンの、特に集めたわけでもないのですが、彼のシューベルトのソナタやモーツァルトの協奏曲は時たま無性に聞きたくなる逸品の演奏です。
ブラームスの協奏曲は、きっと、さほどはなく、バックハウスとポリーニの演奏くらゐきりなかったはずです。
そのなかで、やはり、ゼルキンの演奏は、如何にもブラームスに似合ひの、無骨で、時に豪快に、時に感傷的な演奏で、ブラームス像の一面を創ってゐます。
ともにバックのオーケストラも当時の最強の実力が前面にでてゐて、奇しくも、東欧出身の音楽家たちの渾身の合作ともいふべき演奏になってゐます。
彼のモーツァルトも、余りにも朴訥としてゐて驚くほどですが、暫らくするとまた聞きたくなる、不思議な演奏でした。