草餅 2010-05-31 | 大岡山界隈 孫の要望に応へて、老母が草餅を作ってゐた。 ずゐぶんと久しぶりに作ったはずで、不恰好なその姿に、愚息は、”餃子のやうだなー”と悪口をいふ。 孫の要望を受けて、急いで近くの畦からヨモギを取ってきて作ったその草餅は、けれど、青臭ひかほりと餡の甘さが程よく混ざって美味しかった。 餓鬼のころ、初夏の草餅と十五夜の饅頭は、一年にさう多くはない貴重な手作り和菓子の季節だった。 そんな記憶が、ヨモギのかほりから蘇る。
ヴァルターのモツ・レク 2010-05-26 | 音楽を 先日、カラヤン/ヴィーン・フィルのDVDでモーツァルトのレクヰエムを聴いてみたら、 結局、矢張りダメでした。 何故か、棚には、カラヤンのモツ・レクはベルリン・フィル盤とヴィーン・フィル盤があるのですが、ともにカラヤンの美学は聴けるけれど、モーツァルトの音楽は聴けない。 棚を探ってゐたら、ヴァルター/ヴィーン・フィルの古いライブ盤があった。 老ヴァルター80歳の時、だといふ。 まるで遺品のやうに、アメリカ西海岸で、臨時のオーケストラでステレオ録音を始める前の、稚拙な音のモノーラルですが、頭の部分から、その音に心をえぐられる。 ピリオド奏法に席巻された昨今では、ヴァルターの音作りは余りにも時代がかってゐるけれども、小生のやうなオジさんには、時折、その甘味さがたまらなく愛しいときが出現してしまふ。
季節に抜かれて… 2010-05-25 | 大岡山界隈 変則的なシフトの一週間で、時間に追はれてゐたら、いつの間にか、季節にも追ひ抜かれて しまひました。 雑多に植ゑた花々も、心持ちよく混ざってきました。 嗚呼、タケノコを採りに(盗みに!?)ゆきたいなぁ!!
山寺遅春 2010-05-20 | やまがた抄 山へ行くために休みをとってゐたのですが、生憎のしっかりとした雨で、中止にー。 雑用を済ませて、山寺へゆく。 里桜の名残りの花を散らせながら、すでに山は萌え始めてゐて、平日なのに、意外にも観光客は多く、それでも暫し静寂な時間を持てました。
帰省 2010-05-17 | 大岡山界隈 紆余曲折の果てに、昨年秋、自分を見つけるために、東京での生活を始めた娘が半年振りに帰ってきた。 遅番続きのシフトだったため、たいした話も出来ず、食事も一緒にできなかったが、短い時間の中で、娘はなにか得心をしたやうに再び東京へ向かった。 親に似てか、妙に頑固なところがあるゆゑ、暫くは静かに見守ってゆくしかないのですが、まあ思ひ起こせば、小生も若いときは親に逆らひ、反発だらけの月日だったやうな気もする。 庭先で、椿の落花が続いてゐる。
エディ・ヒギンズ 2010-05-16 | 書棚のジャズアルバムから エディ・ヒギンズの『恋のためいき』。 ピアノ・トリオですが、ドラムスの代はりにギターでのトリオ。 それゆゑの”軽み”が、とても、いい。 片意地はって、難しい顔をして聴くジャズではなく(そんな、ジャズ喫茶の雰囲気も、今は昔の話、です。小生がよく行った新宿のジャズ喫茶は、壁に埋め込まれた馬鹿でかいスピーカーに、この身を壊してくれ、とばかりにタバコの煙の雲の中で、長髪の、小生も肩までの長髪だった! 若者がテーブルを見つめながら音に身を沈めてゐた…)、こころがすっと軽くなるやうな、けれど下品ではない、稀有な音楽です。 きっと、小生は、この種類ばかり聴いてしまふと飽きてしまふのですが、ここしばらく続いてゐる心の痛みには、新緑の若草色同様に、理屈なくこころ救はれる。
我が家の”葵”は… 2010-05-12 | 大岡山界隈 TVのワイドショゥで、アフヒが減少しつつあると報じてゐました。 京都の葵祭りでも、飾りつけ用の葵が足らなくなってゐる、とのことでした。 ウム? さう云へば、我が家の葵はどうなってゐるかしらん、と庭先で探してみましたら、 大丈夫! 夏椿の根元で、ひっそりと生きてゐました。 まったく、生存能力には欠けた植物で、自分の力では数百メーターも動けないし、繁殖も出来ない。成長もとても遅くて、我が家の関東葵(ある日、主人様の勝手な理由で五百キロを移動してきたのですがー)も、二十年ひと昔の姿で、ほとんど大きくなってはゐない。 それでも、近くの、繁殖力豊かなホスタを横目でみながら、日陰の人生を楽しんでゐるやうに、さして美しくもない花を、意地をみせるやうに立派に咲かせてゐた。
ミケランジェリのベートーヴェン 2010-05-09 | 音楽を ミケランジェリによるベートーヴェンのピアノ協奏曲5番を聴く。 初めて聴くCDです。 バックは、ジュリーニ/ヴィーン響で、1980年代後半のライブ。 ミケランジェリに対しては、決して熱心なファンではないので、ドビュッシーがあったくらゐだったと思ひます。 驚異的なピアノの美しさに満ちた演奏です。 当初、競演の指揮者はクライバーだったらしいのですが、喧嘩をしたらしく(共にキャンセル魔として有名ですがー)、ジュリーニに替はったらしいです。 それかあらぬか、確かにピアノの音色は研ぎ澄まされてゐるのですが、オーケストラが漫然と鳴ってゐるやうな気がする。 ライブらしく、前後に長い拍手が録音されてゐますが、演奏後の拍手は、何が儀礼的感じがしないでもない。
植木市 2010-05-08 | やまがた抄 周囲の山々が萌え出し、櫻の花が染井吉野から山櫻になってそれらの山を上り始め、来週のかすみ櫻の櫻行きで本年の華は終りですが、今日から三日間、山形市の植木市です。 幸ひに、休みと重なったので、赤子や老母等々で散策してきました。 植木屋さんや造園屋さんの出店よりも、出店の数が上回ってしまってゐて、県の方では由々しきことだ、と騒いでゐましたが、そんなに堅いことも云はずに、ハレのお祭りだ、としてしまへば別の形でもっと賑はひがでるやうな気がするのですがー。 所詮、祭りや伝統とは、さうした曲折のなかで流れてゆくものでせうからにー。