やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

中島みゆき

2016-11-26 | 音楽を


11月なのに、関東ではそれなりの積雪があったとかで、でもまだ山形ではとても冷え込んだ日が続いてゐます。
なんとか、漬物用の大根を掘り、いつものやうに干してみました。
サイズ色々ですが、まあ素人はそんなものー。



先日、NHKのSONGSで中島みゆきを特集してゐました。
新聞のコラムなどでも、たかく評価してゐましたが、小生も視てゐて久しぶりに感動しました。

確か、初期のころの、一寸暗く、傷つきやすい女性像をとてもセンシティブな歌詞で歌ひ上げてゐたLPやCDはいくつかあったやうに思ひますが、SONGSでの彼女の姿は、まるでドラクロアの戦ふ女神のやうに、強くメッセージを放ち、人生の応援歌をケレン味なく歌ひ上げてゐます。

はて、いつからこんなにチェンジしてしまったのかしらん、と思ってもゐましたが、その豊かなメロディを堂々と歌ふ姿には、オジサンもすっかり感動してしまってゐます。

中島みゆき #09「宙 船 (そらふね)」[最高最強のデュオ]【HD】




♪エルガー:チェロ協奏曲ホ短調Op.85 / ジャクリーヌ・デュ・プレ

2016-10-07 | 音楽を
公私ともの忙しさに追はれ続け、三段跳びのやうに10月になってしまひました。

10月になっても金木犀の花が落ちなかったり、この時期でもまだ稲刈りが終ってゐないところも見受けられ、この冬は、思ひやられさうです。


ジャクリーヌ・デュ・プレの名演奏を披露してゐるサイトがあり、久しぶりにエルガーの協奏曲を聴く。

♪エルガー:チェロ協奏曲ホ短調Op.85 / ジャクリーヌ・デュ・プレ(vc),ジョン・バルビローリ指揮ロンドン交響楽団 1965年8月19日録音


LPでも、CDでも持ってゐるものですが、最近は棚から探すのが大変で、いとも簡単に動画サイトで見つけて聴いてしまふ。

映画にもなった、天才チェリスト・ジャッキーをいきなりトップの存在に押し上げた名品です。
まだ、20歳ころの録音ですが、エルガーの悲壮な世界をあますところなく描いて、いつ聴いても感銘し、同曲のCDも沢山ありますが、右に出るものは見当たりません。

この悲劇的なチェリストは、10年余りの演奏活動の果てに病気になり、結局,40歳代で亡くなってしまひますが、その無念さを先取りしたやうに、弦の音色は重く、暗く、切ないー。



大滝詠一  夢で逢えたらストリングス・ミックス

2016-09-02 | 音楽を
大滝詠一  夢で逢えたらストリングス・ミックス


先日、月山からの帰りの車中、突然、家人が大きくため息をついた。

”なに?”と聞くと、
”SMAPも解散しちゃうしー”と唐突にいふ。
”この曲、キムタクのドラマの曲でせうー”と付け加へた。

車中で聴いてゐたのは、大瀧詠一のCDでした。
なるほど、丁度”幸せな結末”が流れてゐた。

超有名だった、かのドラマは見たことはなかったけれどそのテーマ曲であることは、小生でも知ってゐました。
先日も、女子会で、往来のアイドル歌手のコンサートへ出掛けた彼女は、いたく興奮気味に感想を話しまくってゐましたが、あるひは、”青春帰り”が始まったのかー。

とまれ、以前、仕事の同僚がいたく大瀧詠一のファンで、小生も送ればせながら、彼のあふれるまでの才能を今、感じいってゐます。



見直し、ました

2016-07-08 | 音楽を
ベートーヴェンの9曲の交響曲のうち、3番だけは昔から苦手でした。
4番以降の、すべてに充実した作品群は勿論のこと、初期の1、2番も初々しさがそれなりに素敵で、けれどその狭間の3番だけは、勿論色々な名演には感動するものの、作品としては妙に頭でっかちな感じで、ずっとさう思ってゐました。

ところが、英国のBBC放送のドラマをみてすっかりウロコが落ちました。

Beethoven's Eroica - A film by Simon Cellan Jones - BBC 2003 (HD 1080p)


一時間半ほどのドラマが、ほとんど同時間的に進行する。
ベートーヴェンが、パトロン達の前で、3番の交響曲を初披露をするといふドラマです。

45分ほどの曲は、一切の省略なく演奏されます。
英語の(当然ですがー)セリフがとても早くて難儀しますが、でも嬉しいことに英語のテロップがでるので、なんとか話はわかります。

ベートーヴェン役の俳優が容姿ともにとても素敵で、また、きっと世界で最初に3番の交響曲に立ち会った人たち(パトロン達であったり、伯爵であったり、執事であったり、館のメイドたちであったり、そして、最後にはハイドンがでてきますがー)の、驚きやこころの揺らぎの演技がとても素敵です。

そしてなによりも、演奏を提供してゐるガーディナー指揮のオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックの演奏がぶっちぎりで素晴らしい!

まさに、出来立てホヤホヤの3番の、斬新さと不完全さを鮮烈にさらけ出してゐます。

ガーディナーといふ指揮者の演奏に逢ふと、必ずウロコが2、3枚が剥がれますが(バッハしかり、モーツァルトしかり、ベートーヴェンしかり、ブラームスしかり、シューベルトしかりー)、この演奏も当時はかくあらんといったスタイルでとても楽しませてくれます。

興味のある方は、ぜひ一見をー。



ヤコブ・ファン・エイク:涙のパヴァーヌ / フランス・ブリュッヘン

2016-05-07 | 音楽を
ヤコブ・ファン・エイク:涙のパヴァーヌ / フランス・ブリュッヘン,アンナー・ビルスマ,グスタフ・レオンハルト


F・ブリュッヘンの録音を集中的に流してゐるサイトに出会ひ、まったく久しぶりに《涙のパヴァーヌ》を聴いた。

レコードはあったけれど、確か、何故かCDでは買ひ替へなかった記憶がある。
40年も50年も昔の録音だと思ふ。

当時、クラシック音楽を聴き始めたころ、V・エイクなんて作曲者は知りもせず、といふより、そのレコードに収まってゐたバロック初期の作曲家の名前なんて、だれひとりとして知りもしなかった。

ただ、リコーダー(といふより、小学生の当時、確かスペリオパイプとか云ってゐた、白黒のチャチなたて笛、それをランドセルの隅に挿してゐた記憶があるー)一本から、おもひもよらない多彩な音色が広がってゐたのに驚愕した憶へがあります。

いかにもオランダ人といふ風貌のブリュッヘンは、やがて指揮者になり、その名も画期的な18世紀オーケストラを設立し、今のピリオド奏法ムーブメントのまったく魁をなしてゆきますが、小生は、その組み合はせのモーツァルトやベートーヴェンをほとんど買ったのにもかかはらず、あまり好きにはなれなかった。

今にして思へば、ホールやCDで聴きなれたモダン・オーケストラの響きとのあまりにも違ふ、乾いた音色やドラスティックな演奏のせゐだったのかもしれない。

昨今は、ピリオド楽器やピリオド奏法でなければクラシックにあらず(特にバロックや古典派の音楽は)のやうに席捲されましたが、その原点を開拓したのがまさにF・ブリュッヘンやその仲間たちでした。

その彼も、2年前に亡くなり、一緒に録音してゐたアルノンクールやレオンハルトもまたすでに鬼籍にはいり、G・マーラーや江戸時代の日本画家の若冲のやうに、”やがて私の時代がくるー!”と確信してゐた先駆者の凄みに感服しないではゐられません。





Bach Matth�・uspassion, BWV 244. VFCO Thomas Quasthoff Verbier Festival 2015

2016-04-17 | 音楽を
はるかに昔、深夜、酔いどれて帰宅し、何故か頭が冴えてゐてFMをかけると、その酔った身体に染み込む音楽が聞こへてきた。バッハの、『マタイ受難曲』だった。
番組ではすでに物語りは始まってゐて、けれどそのまま、三時間近く金縛りにあったやうに聞き続けた。
気がつくと、茫々の涙を流してゐた。

それ以来、『マタイ』中毒になって久しい。

市販のCDや動画で常に演奏を調べてゐる。


Bach Matth�・uspassion, BWV 244. VFCO Thomas Quasthoff Verbier Festival 2015


何かのフェスティヴァルでの演奏らしかった。
大きなホールで、結構な大人数で、物語は始められた。
誰の指揮だらうー? その姿は見へにくかった。

画面が変はったときに、はっと驚いた。

なんと、トマス・クヴァストホフ、だった。

さうか、サリドマイドの病の影響か、声楽をやめた、といふやうなことは知ってゐた、
なるほどでも、指揮といふ選択をしたかー。

彼のバッハ、ずっと以前、小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラで松本での渾身の『マタイ』の演奏がありました。
小生、小澤はあまり好きではないのですが、堂々とした演奏でした。
そのときのイエス役がトマス・クヴァストホフ、でした。

その小さな身体からしぼりだす、威厳のあるバスの声がとても素敵でした。
まさに、イエスの声が神の声に変はってゆきました。

それ以来、ある意味、色々な『マタイ』を聴いても、彼の声がひとつの指針となるほど強烈にこころに刻まれました。

指揮での演奏は、(調べましたら、スイスのユース・オーケストラのやうですが)それほど強烈に物語を作ってはゐませんが、幸いなことに主たる声楽の方々がどれも見事で、全体を引き締めてゐました。

演奏が終るや、やはりその苦労に報いるやうに、大きな拍手が途切れなく続いてゐましたがー。




ヘブラーのモーツァルト

2016-03-07 | 音楽を

ひと頃(結構前ですがー)、女性ピアニストでモーツァルト弾きといへば、イングリト・ヘブラー、でした。

勿論、リリー・クラウスなんて方もをられました。
勿論、クララ・ハスキル(なんてチャーミングな名前でせう!)の、マルケヴィッチとの20番の協奏曲やグリュミオーとのデュオは、小生の中でも最愛のCDです。およそハスキルの演奏してゐたCDはほとんどあるはずで、深く、でも軽妙なモーツァルトは小生にとってひとつの指針でもあります。

ヘブラーの演奏では、協奏曲の全集が棚のなかにありますが、すこやかでケレン見のない演奏は好ましいのですが、バックのオーケストラのなんとなく野暮ったい感じと、インパクトの少ない演奏ゆゑ、日常聴く事は少なくなってゐました。

でも、このモーツァルトは、とても素敵でした。

モーツァルト: ピアノ・ソナタ 第9 (8) 番 イ短調 KV310(300d) イングリット・ヘブラー 1986


モーツァルトのピアノ・ソナタのなかで唯一の短調ゆゑ、悲劇的に激しくかたち作る演奏が多い中で、このさりげない姿は如何ばかりでせうー。
まるでお洒落な和食の膳のやうに、凛とした姿で、でもこまやかなところまで気持ちがこもった奥ゆかしい演奏です。

歳のせゐか、疲労のせゐか、最近はこんな演奏がこころに沁みてきます。







L'Amour d'Un Jour - Jos�・ Reyes & Los Reyes

2016-02-19 | 音楽を
ジプシー・キングスの音楽に衝撃を受けて以来、彼らのCDを求め漁り、今でもよく聴く。

ただ、全盛期の圧倒的な音楽から、やがて、音をいぢくり始め、こねくり始めたころからすこし腰が引けた。
集めた彼らの代表的な名盤のなかに、初期のものが一枚ある。

皆が集まって、ワイワイガヤガヤと録音した、みたいなCDですが、でもとても好きです。

Youtubeに流れてゐるこの曲も、きっと、そんな彼らのまだ陽の目をみる前のものです。

L'Amour d'Un Jour - Jos�・ Reyes & Los Reyes


冴えないジャケットから流れてくるのは、でも、なんと胸を打つ音楽なんだらう。

街角で、その頃の彼らの音楽を聴いて、ひとり名優のチャプリンが涙を流し続けた、といふエピソードは余りにも有名ですが、きっと、同じ血を感じたのでせう。

その独特な歌唱法と歌声は、すぐに彼らのルーツが中東付近であることがわかります。
インド北西部といふ説もありますが、きっとはるかな昔、故郷を棄て、土地を棄て、財産を棄て、家族を棄て、愛も棄て、きっと、今のシリア難民の方々のやうに、海を渡り、山を越えて生きる糧を欧州に求めた。

たどり着いたところで、おそらく、手にしたものは何もなかったのかもしれないが、でも、歌ふことは出来た。

過酷な昨日と、見へない明日でも、今日はしばしの間、歌ってやり過ごす。
そんな、途方もない絶望と希望が、初期の彼らの音楽にはあった。


次々にー

2016-02-08 | 音楽を
年末・年始に、好きな音楽家が次々に亡くなってゐる。

指揮者としてのピエール・ブレーズだったり(高名な現代作曲家でもありますが、だうも、現代音楽といふものは、よくわからないし、単純に楽しめないー)、歌手のナタリー・コールだったり、そして最近モーリス・ホワイトが亡くなった。

彼らのバンド、「Earth, Air & Fire」がまだjazzっぽい音楽をしてゐる頃からずっと聴いてゐますが、圧倒的にファンになったのは、やはり次々にヒットを飛ばすファンクっぽい音楽になってからです。

彼らの全盛期の音楽は、その演奏映像は今見ると一寸笑ってしまふやうな時代観はありますが、その音楽のもつ楽天性は突出して楽しく、力強く、そして、美しい。

Earth, Wind & Fire - Boogie Wonderland



こころ、安らかに…

2016-01-17 | 音楽を

いつも、フォーレの音楽には、こころ慰められてきた。
幾十年にも及ぶ。

ピアノ曲であったり、室内楽であったり、歌曲であったりー。
けれどやはり、白眉は合唱曲であり、そしてその集大成たるレクヰエムに尽きます。

フォーレの音楽に初めて逢ったのは(スター・ウォーズではないけれどー)はるか昔、コルボの演奏のLPでした。
その後、CDを買ひ、再録音、再々録音等も求めましたが、やはり最初の演奏がいちばん素晴らしい。


少年合唱団が紡ぎだす、すこし不安定な、たゆたふやうな安らぎの世界に幾度も落涙しました。

Faure? : Requiem, Corboz / Bern Symphony Orchestra フォーレ:レクイエム コルボ指揮 ベルン交響楽団



その後、棚にはレクヰエムのCDは溜まりだし、幾十枚あるかもわかりませんがー。


いまのところ、Youtubeにも、いくつかの素敵な演奏が流れてゐます。


オランダの演奏家たちによる、弦楽とオルガンだけによるシンプルで、芯の強い演奏ー。

Gabriel Faur�・: Requiem - Mogens Dahl Chamber Choir



やはりオランダの指揮者で(この人のマタイ受難曲やモーツァルトのレクヰエムもとても面白く聞きましたが)、ピーター・ヤン・ルーシンクのすこしゴツイけれど、意外に好演のライブの演奏ー。

Faur�・ Requiem - Bach Choir & Orchestra of the Netherlands, Pieter Jan Leusink (Concertgebouw, live)



そして、コンセルト・ヘボウの大ホールで演奏された、けれど、とても慎ましやかな演奏ー。

Gabriel Faure - Requiem - Part 1/3 (Intro�・t et Kyrie, Offertoire)


Gabriel Faure - Requiem - Part 2/3 (Sanctus, Pie Jesu, Agnus Dei et Lux Aeterna)


Gabriel Faure - Requiem - Part 3/3 (Libera me, In Paradisum)



あら、みんなオランダの演奏でした。
さういへば、オランダの合唱団って、素晴らしいのがたくさんあるのです。