昨年末から、ショパンを改めて聴いてゐました。
ポリーニの、超絶的な演奏の練習曲集は、LPでもCDでも聴いてゐましたが、
それ以外は、座を正して聴く事は左程なかった気がします。
師走からは、夜想曲を聴いてゐましたが、
手元にある、5、6種類の盤に、ハタッ! と感じるものはさほどありません。
唯一、ニキタ・マガロフの、少し時代かかった、でも、心にしみるやうな演奏が好み、でした。
しかし、ピリシュの演奏が、決定盤、でした。
彼女の、若い頃の才気走ったやうなモーツァルトも素敵でしたが、
ひと頃、腕の病気とかで活動を中断した後のすべての演奏が素晴しい。
そして、この、ショパンの夜想曲。
人が加齢する、とは、かういふことだ、といはんばかりの、みごとに深い演奏。
甘くもなく、さりとて、妙に神経質なところもなく、
くっきりと響き渡るピアノの音が、革命児としてのショパンの強い意志を感じさせてくれます。