初夏からずっと、この置賜盆地が望める小さな峠を幾度か越えてゐました。
故あって、40年近く携はった建築の仕事と別れ、今は、生涯2種類目の仕事に就いてゐます。
(とは云っても、採用側は当然前職を考慮してをり、通常の仕事に慣れた最近では、建物のメンテナンスや庭の管理に関する仕事も増え、最近は”神丘さんへのお願ひノート”なるものが出来、日々、色々な依頼が列記されてゐますー)
補修や小さなリフォームの依頼は受けてゐましたが、再度大きな建築の仕事に携はることはないと思ってゐました。
けれど、世間は狭く、その仕事場で小生の姿を見かけたある医院のスタッフの方が院長先生に伝へたところ、その院長先生から”元気にしてゐるのか!?”と連絡を頂いた。
そして、実は3回目の医院の改装を計画してゐるのだが、ちと行き詰まり、貴方に連絡をしたのだ、といふ。
その医院の1回目、2回目の改装は小生が手がけさせて頂いたもので、小生にとっても思ひ出多い現場でして、とてもありがたいお話に感謝ー。
一も二もなく承り、幾度かの打ち合はせの末、先日プランを完成し、図面を提出しました。施工が可能な環境にはすでにないので、今回はプランニングだけでした。
その図面を提出する道がてら、すこし時間があったので、熊野神社に立ち寄り、最后の仕事をくださった先生と世間の偶然に感謝し、なんだかとてもすがすがしい気持ちで長い石段を降りてきました。