やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

年の瀬、です

2009-12-28 | やまがた抄


年内は大晦日まで仕事ですので、今日の休みは貴重な一日。

ここ数日で狙ひすましたやうに狂ひだした各所の時計の電池を交換し、
キッチン周りの掃除をすませ、年賀状の印刷をし、
新年会の餅つき用のもち米を買ひに街へでる。

すでに休みに入ってゐる方も多いのか、スーパー等はかなりの人出で、
なるほど、年の瀬、です。

ホームセンターの花屋にゆくと、シャコバサボテンが安く売ってゐた。
残りのひとつだったので、正月用に買ふ。先日、お客さんのところで見たものと同じで、残り物に福があるやうにと思ひながら、ことしもあと数日です。


『砂の器』

2009-12-27 | 雑記


『砂の器』

この名作映画を酷評するひとも多い。
確かに、原作の内容の冷徹なイメージとは違って、余りにも叙情的な作品に変はってしまってゐる。
また、冒頭の秋田での不信な人物のエピソードが尻切れとんぼになってしまひ、容疑者をめぐる女性関係も原作とは大きく違ふ。

この映画は、映画館、TV、ヴィデオ、DVD等で、おそらく数十回はみてゐると思ひますが、それでもやはり、そんな批判を覚悟しながら、やはり話の筋をすっきりとし、人間ドラマとして描くには大胆なカットは仕方がなかったのだらう、と思ふ。

後半のクライマックスである父子の放浪のシーン(まったくこの映画は、このシーンのためにあるのですがー。原作では、ほとんど数行程度)と音楽は、幾度みても胸つまる思ひがあります。

そして、この映画で主演男優は、少年時代を演じた(一切のセリフはない)子役だらうと思ひます。その眼が、理不尽な差別や世の中の非情さに矢を突きつけてゐる。
(それに較べると、加藤剛の稚拙な演奏シーンや、現千葉県知事の下手くそな演技は眼を覆ふばかり、です)


紹介のサイトがありました。こちら、です。

X’マス!!

2009-12-25 | やまがた抄


暫らく続いてゐた悪天候もひと区切り。

穏やかに晴れ渡った、X’マス、です。


街角で、除雪された雪の上で、タマツバキの実がなってゐました。

和風の、クリスマス・カラー、です。


我が家でも、夜には子供達もあつまってささやかに、クリスマス!

でも、何故か、ケーキとチキンと、赤飯とカキフライと茶碗蒸し、です

雨雪(あまゆき)

2009-12-21 | やまがた抄


大雪の余波が、内陸にも入ってきて、本格的な雪になりました。

昨年と同じやうな降り方で、年があけると、また小雪になるのかしらん。

それにしても、昨夜はこの時期としてはめずらしい雨雪で、気候の変動のせゐなのだとつくづく思ふ。

今年もあと十日あまりー。
さして進んだものも、余りない気もするがー。




一寸の楽しみ

2009-12-19 | やまがた抄


先日、お歳暮の品を買ひに市内を周ってゐて、お酒のほかにもう一品と考へあぐねてゐたとき、鮮やかな風船のアーチが目に付き、入ってしまひました。

確か、以前から小さな洋菓子屋さんがあったところですが、店を増築してのリ・ニューアル・オープン、とか。
ファンが多いらしく、沢山の女性の方が買ひ求めてゐましたが、小生は、イチオシといふシュー・クリームとロール・ケーキを包んでもらった。

何か、とてもよい気持ちになって、ヒマな時には、何の目的も持たず、町を歩いてみるのも面白い、とキッカケをつくってくれた店、でした。

冬のかをり

2009-12-17 | 大岡山界隈


先日、東京の友人から、柚子が送られてきた。

嬉しくて急いで箱の封を切ると、何ともいへないかをりが漂ふ。

冬のかをり、だった。

鍋奉行の小生としては、何かに重宝で、何よりのものだった。

休日だったので、御礼のメールを送ると、今、山口へ向ってゐる、とのことだった。忙しい、友人である。


本日、数センチの雪らしい初雪、でした。
庄内や秋田の方では数十センチ単位の大雪になったやうですが、
寒さが本格化するこれから、鍋を作って柚子のかをりを楽しみたい、と思ふ。

プレヴィンのモーツァルト!

2009-12-14 | 音楽を




N響アワーで、アンドレ・プレヴィンのモーツァルトを報じてゐた。
この秋から、N響の首席客演指揮者に就任した、といふ。

一時間の番組で、40番の全編と39番の一部が見られた。

素敵な、モーツァルト、でした。
すっかり歳もとった風貌でしたが(80歳になるといふ!)、久しぶりに穏やかで
節度あるモーツァルトの演奏を(それもN響で…)聴いた想ひです。

中音域をとても大切にした曲想になってゐて、張り切り過ぎない、走り過ぎないモーツァルトの演奏がまだあった! といふ嬉しさです。
サントリーホールでの演奏のおかげもあったのでせう、音がとてもやはらかで、眼を閉じて聞くととてもN響とは思へないつんだ音でした。

プレヴィンのジャズ・ピアニストとしての「キング・サイズ」や「マイ・フェア・レディ」のアルバムも棚にありますが(あれらも、達者な演奏でした!)、老いて今、こんな素晴しいモーツァルトを自然体のやうに生み出した彼の音楽に脱帽です。


(画像は、番組のTVから)

やはり、暖冬ーか!

2009-12-10 | やまがた抄


来週には、流石に、雪が落ちてきさうですので、主だった樹を雪囲ひをし、自分の車だけワックスをかけ(他の家人の車は、まあ、天候と気分次第、です…)、気がつくとヒマラヤユキノシタが咲いてゐた。

それも、気まぐれな咲き方ではなく、結構しっかりと開花モードの咲き方、です。
確かに、近くにはクリスマスローズがありますが、お前は早春に咲けばよい、となだめながら、やはり、今年も暖冬なのでせう。

『父の遺産』

2009-12-07 | 本や言葉


直木賞作家の高橋義夫先生が、フィリップ・ロスを高く評価されてゐた。
ひと時、それを中心に創作会を立ち上げたが、事情があってすぐに頓挫した。

ロスの作品は幾つか読んでゐるが、改めて読み直すことにした。

『父の遺産』(柴田元幸訳/集英社文庫)
難解で饒舌なロスの作品とは思へない、感動作! です。
ロス独特の小説技巧があるので、私小説らしく描いてありますが、果たしてそのたうりか否かはわからない。

でも、すっきりと、腫瘍になった高齢の父と、その息子との死までの一年余の時間を、軽妙に、細密に、感動的に綴ってゐる。
日本語訳もとても読みやすく、この訳者のおかげもたぶんにあります。

一気に読んでしまったのは、小生の父親との別れとがダブってゐたからかも知れません。


レオン・フライシャー

2009-12-06 | 音楽を


NHKで、レオン・フライシャーの演奏会を放映してゐました。

レオン・フライシャー? ずゐぶんと昔、確か、セル/クリーグランド管とのベートーヴェンのピアノ協奏曲の録音を聴いたことがありましたが、すでに引退をされたものと思ってゐました。

が、否、右手の難病のために活動中止を余儀なくされ、左手での演奏や後進の指導で活躍されてゐたとのこと。

近年その右手が回復されつつあり、積極的な演奏活動が再開されてゐたといふ。

ことしの10月、東京での演奏会の模様でしたが、感動的でした。

前半のプログラムのバッハが素晴しい!!
あんなバッハは滅多に聴かれない。
すでに曲はバッハの時代を離れ、バッハの手元からも離れ、レオン・フライシャーの指先からのみ紡ぎだされてゐる!

一曲めのコラール「羊たちは安らかに草を喰み」の、なんと心安らかな演奏か!
フーガも見事で、前半のクライマックスは「シャコンヌ」。ブラームスが最愛の人クララ・シューマンのために編曲したヴァージョンだといふ。クララが手を傷めてゐたときのために編曲したものらしい。
左手のみの演奏で、少しくすんだ曲想になってゐましたが、面白いものでした。
(それにしても、この「シャコンヌ」といふ楽章は、周知のやうに無伴奏パルティータ第2番の最終楽章、なんと壮大な世界を内に秘めてゐることか! 生きる意志や死ぬる覚悟、希望と絶望、憧れと諦め、悔恨と復興、etc)

後半は、シューベルトの最後のソナタ21番。
大河の源流の一滴が落ちるやうに始まったその演奏は、80歳といふ高齢とその朴訥とした演奏技巧を遙かに凌駕して、まったくこころに沁みてくる演奏でした。

まさに、巨人ここにあり、の演奏です。