やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

『ガス室に消えた画家』

2010-09-30 | 本や言葉


『ガス室に消えた画家-ヌスバウムへの旅-』(大内田わこ著/草の根出版会)といふ小さな本を図書館で借りてきました。

ヌスバウムの生涯やその絵を追ったものですが、激しく不安や恐怖や隠された怒りを込めたその絵には、少なからず言葉を失ひます。

ただ、きっと、アウシュビッツで殺された画家、といふことよりは、その尖鋭的な画風がもっと再評価されしかるべきでせうし、ヌスバウムを密告したとされる近所の少年を描いた作品は、その少年の屈折した心情が暗い画面から溶け出して、心を揺さぶる。

『モダン・アート』/アート・ファーマー

2010-09-28 | 書棚のジャズアルバムから


アート・ファーマーのLPはかなりの数があったはずです。

ただ、プレイヤーが壊れて以来、時をり彼の音を聴きたいと思っても叶はず、安いプレイヤー・セットで聴いてもつまらないし、とないないづくしの時間でした。(あの膨大なLPは一体いつになったら再び音になるのだらうか…!)

CDで『モダン・アート』を聴きました。久しぶりです。一番好きなのはワン・ホーンの『アート』ですが、このアルバムも嫌ひではありません。

ベニー・ゴルソンのサックスが♪夜霧よ、今夜も有難う♪風なので好きではありませんが、ビル・エヴァンスのピアノが素晴らしくて、余りあります。
1958の録音。天才は、やはり、最初から天才といふ証左でもあります。

そして、アート・ファーマーは、すでに革新性も実験性も斬新さも何もなく、けれど、妙な媚やてらひもなく、その伸びやかな音色を披露してゐる。

後年、フリューゲル・フォーンを多用し、その中にも素敵なアルバムも何枚かありますが、すこし甘すぎる音色になった感じに較べると、この頃のリリックな音色とスタイルの方が今聴いてもやはり新鮮な印象がのこります。

劇的に、秋…

2010-09-26 | 大岡山界隈


一ヶ月前の酷暑が夢だったかのやうに、山形市ではすっかり冷へ込み! 、朝や夜は10度近くになってゐます。

それほど下がらなくても、と人間は、如何様にも勝手に考へますが、これから、大雪が噂されてゐる、冬に向かってまっしぐら、かー。

いつの間にか、すっかり群生となってゐる秋海棠が、如何にも心地よささうに咲いてゐます。(彼らは、姿、形に似合はず、生命力旺盛、です…)

『汝の目を信じよ!』

2010-09-24 | 本や言葉



『汝の目を信じよ!』(徐 京植/みすず書房)

美術関連の文章をまとめたものだといふが、憑かれたやうに、ドイツ表現主義周辺の作品を求めた多くの頁の部分が圧巻です。

読んでゆくと、小生も、ドイツ表現主義周辺の作家の絵を求めて見てゐたことに改めて気づく。

コルヴィッツ。
ノルデ。
オーットー、ディックス。
グロッス。
キルヒナー。
…等々、時に鎌倉で、時に東京で、時に福島で、時に仙台で。

それらの絵は、確かどれも、戦争やナチスや時代の恐怖の不安に溢れ、見るものを締め付けるものでした。

本の中で、ヌスバウムといふ作家を知りました。
少し調べてみやうと思ってゐます。

葉山

2010-09-20 | 再び、山…
天候は余り良くなかったが、葉山に登る。

”軟弱者”の小生は、十部一峠から林道を入ってラクチンコースでー。
といふよりも、別の目的でしたのでー。

六月に逝った妹の納骨が来月に予定されてをり、その前に、葉山の頂きに妹の写真を埋めに行きました。

甲州の山々は望むことが叶はないので、山形市からいつも望める葉山の頂きに、その面影を残して来ました。


山は、ブナの林が美しい(けれど、ブナ枯れもひどく、悲しい思ひです)ところでした。








































西村智実の<シェエラザード>

2010-09-19 | 音楽を


以前聴いた西村/ブタペスト・フィルの<新世界>に続いて、<シェラザード>を聴いてみましたが、一寸残念、でした。

<新世界>と同じ感想、です。

ブダペスト・フィルは、とても魅力的な音をだし(当然、以前よりずっと素敵な音になってゐます、以前バルトークばかりを録音させられてゐた頃とは、ひと肌剥けてゐます)、きっとそれを導き出した彼女の素晴らしさなのでせうが、全体像にあまり色気が感じられない。

細かな音色は魅力的なのですが、この、うねるやうに展開される楽曲の、音楽のうねりが感じられない。


公式サイトがあります。こちら、です。

『もう一人のメンデルスゾーン』

2010-09-18 | 本や言葉


まう一人のメンデルスゾーンがゐた。
姉の、ファニー・メンデルスゾーンだった。

『もう一人のメンデルスゾーン』(山下剛 著/未知谷)

弟を上回る才能を認められながら、ユダヤ人への偏見や差別、高名になってゆく弟への配慮から、ささやかな歌曲集を出版して42歳の若さで逝った姉の姿が美しい。

詳細に調べあげられたその日常も面白かったですが、弟フェーリクスの活動の全体像の中で彼女がどんな関はり方があったのかがより具体的にわかると、嬉しかったのですがー。

小生も以前、モーツアルトの息子たちのその後を調べたことがありました。
ほどほどの音楽家になった弟のクサヴァーよりも、音楽への志を断ち切って、ミラノの役人として静かな生涯を終へた兄のカルルの姿がとても好きでした。
彼の家には、父が使ってゐたハンマー・クラヴィールがあり、時をりそれを弾いてゐた、といふ。

土産

2010-09-16 | やまがた抄


娘夫婦が、静岡の友人宅へ遊びに行き、土産を持ってきた。

ウム? 何で? と聞きなほした。

これ以外に、アジや他の魚の干物が沢山ある横に、燻りがっこも数種類あった。

聞けば、友人の親御さんが秋田へ遊びに行き、そのお土産なのだといふ。
特に、燻りがっこは不得手なので、あらかた持たされた、といふ。

B級グルメで有名な焼そばは、近々食べにくるのでそれまで開封するな、と勝手な土産を置いていった。

『父と暮せば』と…

2010-09-15 | 映画雑感


先日、『父と暮せば』を再び見て(4、5回目かしらん)、やはり、とても素晴らしい映画、です。
そして、また『明日』も再び見ました(これも、3、4回目)。

ともに、黒木監督の戦争三部作の作品です。

映画としては『父と暮せば』が圧倒的に素晴らしく、原作としては『明日』が凌駕してゐる。特に中篇の『明日』は、激しい小説群が多い井上光晴氏の中でも、その視点の低さと、決して来ることのない、戦時中の人びとのささやかな明日への希望を描いて胸を打たれる。

映画では、傘を広げすぎた感があり、以前NHKで放送されたドラマの方が良かった記憶があります。
『父と暮せば』は、宮沢りえの圧倒的な演技に感服するだけです。
まさに、女優の王道を進んでゐます。



秋、始まる

2010-09-14 | やまがた抄


歴史的な激暑も何とかやり過ごして、台風も来て、雨がきて、すっかり秋になりました。

ことのほか、雲の合間の空が蒼い。

例年ですと、彼岸ころの稲の刈り取りも、既に頭を垂れた稲穂に急かされて、きっと今年は早めになりさうです。