やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

新潟へ…

2008-01-19 | 雑記

仕事で、新潟に四日間行ってきました。

山形市では、左程雪はなかったのですが、
県境の峠では、滝も凍るやうな景色、でした。




早めに出発したおかげで仕事に入る前、時間の余裕が出来たので、
新発田市のお城を見にゆきました。
以前から、一度見ておきたいと思ってゐたところでしたが、
ひとっこひとりゐない付近を、散策して新潟市へと向かひました。

平城ですから、天守閣のやうなものはなく、
敷地の隅の大きな楼が見事なものでした。
敷地内部は自衛隊が使ってゐるからと、けんもほろろの但し書きが門前にあり、
ぐるっと堀周りを見て、お仕舞ひ、です。












堀部安兵衛の出生地、なのださうです。
知りません、でした。



特攻隊の…

2008-01-14 | 本や言葉
たまたま、特攻隊についての本を続けて読みました。

一冊目は、『戦艦ミズーリに突入した零戦』(可知 晃著/光文社)。



その艦上で、歴史的な敗戦処理の手続きが行はれた戦艦ミズーリの側面に、不自然な凹みがあった。そのことに注目した著者は、やがてそれが、零戦の特攻攻撃の残滓だと知る。そして、その勇敢なパイロットは誰だったのか? といふ過去を求めての作業が始まります。
著者は、一機の特攻機に対して、3000発以上の機銃の発射があったはずだ、と書く。表紙の写真にあるやうに、それを潜り抜けて片翼を艦船にぶつけ、パイロットは機共々砕け散る。
肉片となったパイロットの遺体は、しかし、乗組員たちの怒とうを押へた時の艦長のはからひによって戦闘のなか、白地に赤丸を印した布に巻かれ、見事に水葬に付された、といふ。まさに、敵ながらあっぱれであったそのパイロットへの、見事な”武士の情け”であった、といふ。


二冊目は、『陸軍特攻・振武寮/生還者の収容施設』(林えいだい著/東方出版)



用意された特攻機のトラブル等で、あるひは恐怖にかられて、引き返してきてしまった特攻隊員たちの、表には出されなかった一種の再教育の施設の所在と実態を求めての著者の過去への探求の話、です。

凄まじい中身が続きますが、周囲の非情な扱ひに自殺を考へる隊員をよそに、当の幹部や参謀たちはフグ刺しとチリ鍋に舌鼓をうってゐた、といふ。
そして、戻ってきた隊員には「貴様ら、何で帰ってきた!」といふばかりであった、といふ。


そして、そして、
見へてくるものがあります。

一見平和である今の世も、大して変はらない。

大胆なビジョンや戦略を打ち出せない首相や政治家たち。
その場限りの戦術をひねり出し、それが無理や失敗となると、見事に責任は取らず、まるで他人の顔で退職金をもらって姿を消す役人たち。

父と、母と、同胞たちと、数時間後の出撃を前にして撮ったであらう写真を見ると、確かに二十歳前後ながら、その凛とした眼差しは、間違ひなくよき日本の未来を見つめてゐたのだらう思ふと、彼らの死が、愚将たちの酒の肴になったことが許されない思ひです。



フェルメールの…

2008-01-12 | 絵をみる
昔から、ラ・トゥールフェルメールは好きでした。

ラ・トゥールを見たのは、30歳前後、だったかー。

フェルメールの絵は、残念なことに、今だ見たことがない。
このとし、東京に6点ほど来るとのことですが、見に行く時間と余裕があるか、否かー。

ここ数年、俄かにフェルメール・ブームのやうで、本が沢山でてゐます。
いくつか、読みました。







ずゐぶんと以前に、再度求めたスウィットナーのモーツァルトも、フェルメールの絵で飾られてゐました。
(ついでに、改めて聴くと、やはり極上のモーツァルト、です。
 東ドイツの崩壊と共に指揮を引退し、一説には認知症とも、という話を聞く   と、この旧東ドイツの名指揮者が受けたであらう時代への絶望に、涙しない訳にはゆきません)



そして、DVDで『真珠の耳飾りの少女』をみました。
すばらしく、美しい映画でした。

ストーリー自体はたいしたことでもないのですが、フェルメールが生きてゐた時代のオランダ、デルフトの街と人々の息遣ひが肌に伝はるやうな、精緻な画面でした。
少女役のイギリス人が、まったき、見事な美しさです。

映画紹介のサイトがまだありました。こちら、です。

のだめ…

2008-01-07 | 雑記


のだめカンタービレ、面白かった、ですね。

リアルタイムで放送されてゐたときは、1/3程度しか見られませんでしたが、
お正月の三が日、全編を再放送してゐました(山形だけ、だったのかしらん?)。

今回の、inヨーロッパ編は、都合4時間を越える話しになってゐたせゐか、
少しテンポも間延びした感じもあり、漫画チックな演出も少なかったやうですが、
それでも、以前からの絶妙のキャスティングで楽しく見ました。

そして、そして、スメタナ・ホール(市民会館)の、なんと美しいこと!
ああ、ここで”プラハの春音楽祭”が開催されるのだ、と関心しきり、でした。

のだめの恋の行方への心配もさることながら、画面に響くブラームスやベートーヴェンの音の、なんと心を揺さぶることだったでせう。

TVでは、今回の分で終ってしまふのでせうか!(涙)。

『家族』

2008-01-05 | 映画雑感

続けて、佐藤忠男氏の『日本映画史』(岩波書店/全4巻)を読んでゐて、幾度か、山田洋次監督の『家族』への高い評価に遭ひました。

ずゐぶんと昔、劇場で見た覚へはありましたが、再度DVDで見てみると、結構昔の映画でした。
家族(1970) - goo 映画

やはり、とても、よい映画です。
ドギュメントタッチの画面から、家族の面々の切羽詰った心情が染み出てきます。

長崎から北海道へと向ふ旅路の中で、一家は、わが子を失ひ、父を失ふといふ、
余りにも非情な設定ですが、何よりも妻役の倍賞知恵子の見事な演技に驚嘆する。

いち市井の人間としての、喜びや、グチや、希望や、絶望が、細いその体から見事に出てゐる。
もちろん、「寅さん」でのサクラ役も常に見事でしたが、この『家族』での、まったき自然の演技には感動します。

山田監督は、最新作で、吉○小百合を主演にしてゐますが、とても(常にワンパターンな)彼女には演ずることの出来ない倍賞知恵子の妙演、です。

彼女の主役って、余りなかったやうな気がしますが、山田洋次監督にとっては、
キャナボウ!
オニニ、キャナボウ!
の存在だったのでせう。


クリュイタンスの第九

2008-01-03 | 音楽を
年末のTVには、第九の終楽章のメロディを使ったCMがかなり流れてゐました。

さうさなァ、たまには第九も良いか、と目にとまったクリュイタンス/ベルリン・フィルのCDを(ずゐぶんと久しぶりにー)聴きました。



1950年代末の録音。
ベルリン・フィルにとって初の全集。

小生は、この全集からは、6番と9番より持ち合はせてゐませんが、
とてもよいベートーヴェン、です。

何よりも、出だしから、ベルリン・フィルの音が、いい。
のちに、カラヤンによって、ニスを重ね塗りしたやうな音になる前の、
(最近読んだ本で、ある評論家が、将来にはカラヤンのディスクは、その美演な  がらも、精神性の欠如ゆゑ、消えてゆくかもしれない、と書いてゐました。
 むべ、なるかな)
豪快で、一種粗野な部分さゑ残ってゐるベルリン・フィルの音です。

ゆったりめのテンポで作り出される第九の世界は、それ程に熱狂的にならないくらゐの、けれど小生には、年末のひと時を過ごすに充分な演奏でした。


新年、です

2008-01-02 | やまがた抄
        迎春



悪天候の年末年始と予想されてゐましたが、
それでも、元旦の朝、雪雲の間から青空が覗いてゐました。
嬉しい、限りです。
今年は、少しの、よいことがあるかもしれません。

家人の、”箱根駅伝”重視の判断で、
例年は2日か3日の初参りを変更し、元旦の昨日、護国神社へ行ってきました。

山形に移り住んでから、
初参りはいつも高畠町の亀岡文殊、と南陽市の熊野大社でした。
ともに、由緒ある建物です。

近くでありながら、護国神社を避けてゐたのは、その成り立ちと、何となく薄っぺらな感じの姿からでした。



降りしきる雪の中、善男善女の列について柏手をうってきました。


夜には、さしたる見たいTVもなかったので、
ヴィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサート。

すっかり、好々爺の笑顔になったジョルジュ・プレートルが、国際都市ヴィーンを象徴するやうなプログラミングで、楽しいひと時、でした。

”ヴィーンでは、馬もポルカを躍る”、といふ映像は面白かったですが、
それにしても、
サーヴィス満点な、国立歌劇場の団員達の姿と共に、
衛星中継の画面からこぼれ出てくる聴衆の面々のなんと幸福さうな顔、顔、顔!

好き嫌ひ、良い悪いはあるにせよ、
あの姿には羨望あるのみ、でした。


そして、また、一年が始まります。

皆様に、ご多幸あらんことを!