やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

『スティル・アンフォゲッタブル』

2009-11-28 | 音楽を


確かに、ナタリー・コールの『アンフォゲッタブル』を聴いた時は、感動的でした。彼女がデビュゥした頃には、幾枚かのアルバムを聴いた。
歌はすでに上手かったけれど、どこか、偉大な父親の光と影を払拭したい、そんな切ない気持ちも見へ隠れしてゐた。

それ以降、彼女の歌を聴く事もなかった。
スタンダードを歌った『アンフォゲッタブル』のアルバムは、その伸びのよい歌声と、完璧な歌唱力とで一気に聴き及んだ。
そして、ラスト曲。
最初は、何が起こったのかわからなかった。
嗚呼、父親とデュエットしてゐる!!
完璧なまでのミキシングで、ナタリーの声が、亡き父親の声に寄り添ってゐた!

1990年代の初めだった。

その後、『テイク・ア・ルック』もよかったけれど、確か、同じやうなアルバムがでてゐた。

『スティル・アンフォゲッタブル』といふ新しい彼女のアルバムを聴いたけれど、
さうかなー、といふ思ひがでてしまった。

相変はらず歌は上手いけれど、悲しいかな、声に張りがなくなってゐる。
そして、もっと悲しいのは、彼女もディレクターも十二分に解ってゐるはずなのに、父親とのデュエットが一曲入ってゐる。

名作『アンフォゲッタブル』は、そのままにしておいてほしかった。

冬支度

2009-11-26 | 大岡山界隈


残ってゐた2台の車のタイヤ交換も済ませ、雪囲ひは来月にするとして、気が付くと気の早い老母が「雪がくる、雪がくる」と畑の作物を掘りあげてゐました。

今年も、色々な野菜を食べさせてくれた畑からの、今年の終りの収穫です。
人参がやたらに多いのですが、それでも甘味が充分で何に使っても美味しいです。

さあ、今年の雪はいつ頃かー。

『フリードリヒへの旅』

2009-11-23 | 本や言葉



『フリードリヒへの旅』(小笠原洋子/角川学芸出版)。

著者は、憑かれたやうに、フリードリヒの絵画とそのモデルになったらしき風景を求めて欧州の荒地を訪ね歩く。

憧れをもって見るやうなその景色は、しかし、フリードリヒの絵画そのままに、見るものを拒絶するやうな荒涼とした静けさと神秘に満ちてゐる。


小生がフリードリヒの絵に逢へたのは、1978年、国立近代美術館の『フリードリヒとその周辺』展。
余りの衝撃に、1週間ほどして再び見に行った。
けれど、それ以来、彼の絵に逢ふことは叶ってゐない。ドイツの国内で慎重になってゐるのか、確か数点は来てゐたはずですが、大きな企画展はなされてゐない。

貧乏な毎日の暮らしながら、是が非でも彼の絵をも一度見たいと思ってゐる。


じっくりと見られる海外のサイトがあります。
こちら、です。

こんな紹介サイトもありました。こちら、です。


甲州行き

2009-11-21 | 大岡山界隈
妹が病を得てしまひ、甲州へ見舞ひにゆく。

急ぎATCを装備し、久しぶりの東北道~首都高~中央道の道のり。
先日立ち寄った、東京の友人の話が参考になり、山手通りの下に出来た新しい幹線もスムーズに運転できて、それでも、その地下高速の出口が西新宿の高層ビルの足元で、その強引な計画とダイナミックさに、出羽のジイはやたら驚く!。


見舞ひをすませた翌日、再度の面会までの時間がかなりあるので、甲府の善光寺へ早期回復のお参りにゆく。
この寺を訪れたのも20年ぶりくらゐかー。
堂々とした立派な寺である。

確か、地下に堂内めぐりのやうなものがあって、闇の中にあった卒塔婆小町の木像を戦慄をもって見た覚えがある。性(サガ)の果て、といった趣きのその木像は、能の卒塔婆小町そのままに、生きながらへる激しさと無常さが混在してゐた。



境内の一角にあった大きな仏像にも、お願ひをしてきた。




時間が余ったので、富士をみにゆく。
まともに富士と再開したのも20年ぶりくらゐだらうか。

以前は九十九折りを上っての御坂峠だったが、今は途中から直線のトンネルができ、スコーンと河口湖を従へた富士の姿が現れる。

余りに端正すぎて富士好きな人には敬遠される姿ですが、それでも小生はいたく喜んでゐた。





夜には、せっかくだからと、はうとう料理の店で南瓜はうとうをご馳走になる。
以前は左程旨いと思った記憶がないのだけれど、トシのせゐか、至極旨く、近々作ってみることにした。



貧乏でしたが…

2009-11-16 | 大岡山界隈


少し早いけれど、今週遠出をするので、タイヤを交換しました。
以前のやうに、一日で4台を交換するのがすこしシンドクなったこともあります。
(まぎれも無く、トシ、です)

週末に友人が来てゐました。
青森への出張の帰路でした。

新幹線の時は別にして、前回来たときにはGT-R、今回はで、我が家の老母はタマゲテゐました!

小生が仕事でしたので、夜からのささやかな酒宴はあっといふまに時間が去り、翌日、小生の出勤のあとに帰ってゆきました。

同窓会をしたといふ話で一気に昔話になり、地道に役所の要職に就いた同窓らの話をきくと、フーテンのやうに彷徨ってゐる小生は忸怩たる思ひでしたが、ともに関東の貧しい農家の昔の姿の話になると、たいしたものも食べることが出来なかった餓鬼の時代の、それでも妙にアッケラカンとした(今、TVで盛んに取上げてゐる貧困層とはまるで違った意味でー)貧乏時代が蘇ってきます。

ナチュラリスト!

2009-11-11 | やまがた抄


現場を見に伺ったときに、「もしかして、さうかな?」と思ってゐました。
して、見積書をお出しした時に「失礼ですが…」と伺うと、やはり!さうでした。

著名な、朝日連峰の登山口にある山小屋のご自宅でした。
ずっとA新聞に連載をされてゐて、確か県外の方ですが、興味をもって伺ふと、山小屋を管理し始めて、もう30年にもなる、と笑ってをられました。

以前は電気も電線もないところなので(電話回線は今もないやうです)、HPの管理や更新も自宅まで戻ってやってゐる、と話されてゐました。

並々ならぬ尽力で、でも30年なんとか食べてきました、といふ爽やかな笑顔が、でも自信にあふれてゐて、凡人には及ばない姿でした。

最近だした本です、と見せて頂いたものを携帯で撮らさせていただきました。


アプローチの長さでは日本有数の山なだけに、おそらく縦走すれば3泊4日かー、これから先も訪ねることはないのかもしれません。
まあ、さう云はず来てください、と励まされましたが、せめて小屋までは行ってみたいと思ってゐます(確か近くに、幻のオオヤマザクラがあったと思ひます)。


苦労されてゐるといふHPは、こちら


『山桜』

2009-11-10 | 映画雑感

                                              (蔵王の冬桜)


『山桜』をDVDで見る。

確か、ずっと以前に原作も読んでゐたはずで、映画の作りも原作に添って静謐な気持ちのよい仕上がりです。

主人公たちが、すこし美男美女すぎるかしらん、とは思ひますが、まさに藤沢周平好みのテーマであり、その世界を淡々と再現してゐる。
藤沢周平の、そぎ落とされた文章を具現化すると、あるひは、本来はこの映画のやうになるのかも知れません。

薄倖の女を田中麗奈が不器用にまったく不器用に演じてゐて、でもそれゆゑに主人公自身の不器用な生き方がにじみ出てくる。
ラスト近くの、自分のこれからの生き方にひと筋のひかりを見つけたときに演じたうれし泣きのシーンは名演、でした。

東山紀之演ずる武士は、まあ、あれでもよいのでせうが、ラストも結末を霧のなかに投げ入れてゐてそのシーンもよかったのですが、あんなに無口な男であっては今時では逆の三行半にされてしまふかもしれません(奥方は、怖いですからー)。

とまれ、軽妙さも激しい話の展開もありませんが、まさに山の桜のやうに、楚々とした映画になってゐたのは嬉しい限りです。


公式サイトがありました。こちらです。

山寺残紅

2009-11-09 | やまがた抄
時間が空いたので、天童の足湯に行きたい、といふ老母を乗せて、その前に山寺の残りの紅葉を見に行く。

先週末がピークだったのか、色は薄れかけてゐたが、高速千円の影響か月曜日にもかかはらずかなりの人出で驚く。

写真を撮ってゐると、「登り口はどこですか?」と聞いてきた盛岡から来たといふうら若い女性達に、出羽のジイは懇切丁寧に教へる。ついでに、雪の頃が一番良いですよ、人は好んで来ませんがー、といふと面食らった顔をしてゐた。久しぶりに若い女性に声をかけられたもので、遺憾、すこし調子にのりすぎたー。


















メータ…!

2009-11-08 | 音楽を


風邪を引き込んでの、加へてキツ~イ仕事のシフトでしたので、疲れた一週間でした。

その間に、紅葉もすっかり里まで降りてきてをり、本当は今年最後の山行きの予定でしたが、体調不十分で取り止め…。

そんな日に限って、抜けるやうな秋の空ー。


金曜日の夜でしたか、テレビのリモコンをクルクルしてゐると、ズビン・メータの姿が映ってゐました。
ウム? と聴きだすと、ベートーヴェンの7番を演奏中。新聞のテレビ欄を探すのも面倒でそのまま聴いてゐましたが、オーケストラがどこなのかわからない。
ただ、音の練り具合は抜群で乱れもない。ヴィーン・フィルか、シカゴ響あたりかと思ってゐたら、演奏が終ったところで9月のヴィーン・フィル来日公演の模様だといふ。
むべなるかなん。

その後のアンコールの激しいポルカ2曲がとても面白く、けれど、前半に放送されてゐたバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を見逃したのが残念至極。

ズビン・メータも70歳をすぎ、すっかり見事な風貌のマエストロになって素敵でした。ヴィーン・フィルも年齢層がすっかり若くなった感じでしたが、かつて、ブラームスやマーラーでの見事な演奏を残してゐるマエストロ・メータに、若い団員たちが嬉しそうに握手を求めてゐた姿が感動的でした。