やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

三姉妹

2011-01-24 | 本や言葉


NHKの大河ドラマの初回がとても面白かったので、幾つか本を読みました。

三姉妹の長女(茶々)に較べると、次女(初)や今回のドラマの主人公の三女・江に関する本はまだ少ないやうですが、それでも、読み終はると、凄まじい時代の中で翻弄され、生きながらへていった彼女たちの勁き生き様に感動します。
(それぞれの本も、割と最近の歴史観にそってゐるので、以前の映画やTVドラマのやうなステレオタイプの解釈を避けてゐる)

長女は大阪で、家康の攻めにあって悲劇的に自刃しますが、その家康の息子である将軍の正室にまで上りつめた江の、その姉の悲劇を江戸で聞いたであらう心情を思ふと、胸が詰まります。

NHKのドラマでは、それなりのキャスティングで考へられたのでせうが、如何せん、実際は十数歳だったはずの年齢をすでに大人の女優たちが演じてゐるのは流石に違和感があります。
城の廊下を猫背気味で歩く江の姿が、のだめとダブってしまふのも、ちょっとー。

とまれ、あの、のだめの怪演技をみせてくれた上野 樹里さんですから、やがて快演をみせてくれることでせう。
また、宮沢りえさんが、キッとした淀様をみせてくれるだらうこともとても楽しみにしてゐる処、です。



寒ブリ、を頂く

2011-01-20 | 大岡山界隈


数日前、ブリ、を一本頂く。

とてつもなく大きい発泡スチロールでしたので、ヰルカでも入ってゐるのか(!)と思ひましたが、90センチほどのブリでした。

老婆が以前鮮魚店に勤めてゐたので、やをら当時の包丁一式を探し出し、下ろし始めましたが途中でギブアップ。小生が交代して何とか切り身にまでー。
生まれて初めて、大きな魚を下ろしました。

新鮮なので、とりあへず二柵を刺身にして食す。
美味なのは、いはずもがなでした。

後日、ブリ大根にしましたが、小生の「ところで、この魚、ハマチだよね?」の話に、家人は「ブリでせう! 今が旬の寒ブリでせう!」といふ。老婆が加はり「違ふ、違ふ! 何ていったけ、別の魚だ!」と、けれどあとは老人性健忘症で名前がでてこない。

改めて調べなほしたら、なんのことはない、同じ魚でした。
いはゆる、出世魚でした。恥ずかしながら、この歳になるまで、知りませんでした。
さうなると、以前酒田で食したイナダのお造りもブリだったわけだ!!

作曲家の映画は…

2011-01-18 | 映画雑感


ふたりの作曲家をテーマにしたDVDを見ました。

『シャネル&ストラヴィンスキー』 と、『クララ・シューマン/愛の協奏曲』
『シャネル&ストラヴィンスキー』の公式ブログは、こちら
『クララ・シューマン/愛の協奏曲』の公式サイトは、こちら

偶然にも、どちらも、面白くない映画でした。
どうして、かう、作曲家をテーマにした映画って、面白くないのだらう?!

マーラーを描いたケン・ラッセルの映画も不愉快なほど面白くなかった。唯一、『アマデウス』だけかしらん。

『シャネル&ストラヴィンスキー』では、映画のやうな事実関係はよくわかりませんが、シャネルの姿は兎も角、ストラヴィンスキーの覇気のない描写にウンザリー。
唯一、冒頭の《春の祭典》の初演の再現シーンを、なるほど!、と思って見てゐました。あの踊りでは、ブーイングが出るのかも知れません。
また、初演指揮者である、小生敬愛のピエール・モントゥーに関してのカットも少し欲しかった、ですなあー。

『クララ・シューマン/愛の協奏曲』は、もっと見るべきものがなく、ブラームスの末裔の方が映画監督なのださうですが、あの素っ頓狂な青年ブラームスの姿はなんでせう?!
貧しいけれど、才能に溢れ、プライドも矜持もひと壱倍強かった若きヨハネスの一端も見ることができなかった。そして、深々とクララを愛し続けてゐたヨハネスの苦悩の欠けらもでてこなかった。
ラスト・シーン、ブラームスのピアノ協奏曲1番を弾くクララの姿を映して、”成る程、これで愛の協奏曲!”と思はず笑ってしまひました。

悲しくなって、ゼルキンの豪快なピアノ協奏曲1番を聴きたくなりました。



卯の年、熊野神社へ

2011-01-16 | やまがた抄
娘が帰省したので、ウサギを見つけに、赤湯の熊野神社へゆく。
(吉方が南西、でしたのでー)
山形市あたりとはうって変はって、雪塊の街の果てに神社はある。

孤軍奮闘の東京生活も、少し落ち着いたやうで、更なる計画をぽつりぽつりと話してゐた。

悪天候にも関はらず、TVで紹介されたのが影響してか、ウサギを探す参拝者の姿が多かった。










こちらの彫刻の面に、三匹のウサギが彫りこまれてゐるさうです。
すべて見つけられると、幸せになれる、とかー。
以前も、二匹までは見つけたのですが、三匹目は解からず、その時宮司さんに確認したら、意味ありげな笑ひでしたので、あるひは、三匹目は、見るものの心に見つけるものなのかもしれません。
(あるひは、リピーター狙ひかー?!)



熊野神社のサイトは、こちら


赤湯に来たら、と辛味噌ラーメンを食べに行きました。
本店は長蛇の行列が予想されたので、神社の近くの支店へー。
一寸、本店と味が違ひますが、充分美味しいスープでした!



お店のサイトは、こちら



江戸のアヴァンギャルド

2011-01-13 | 本や言葉





《江戸のアヴァンギャルド画家》といはれる(辻 惟雄氏)中でも、岩佐又兵衛伊藤若冲、そして、長沢芦雪の3人がとてもすきです。

もちろん? 以前は日本画など、興味もわかなかったのですが(若い頃、南画をすこし学んだことはありましたがー)、十年くらゐ前でせうか、円山応挙展でまとまった彼の作品に対峙出来たことと、同じ頃、仕事でお世話になった指物師の方が応挙派の絵を描いてゐたのでその作品を拝見し、その頃から日本画の面白さが少しわかってきました。
(充分に、加齢のせゐもあるのでせうがー)

2冊の本を読みました。
『岩佐又兵衛/浮世絵をつくった男の謎』(辻 惟雄/文春新書)、  『異能の画家/伊藤若冲』(狩野博幸/新潮社)。

若冲はすでに、今やすっかりメジャーの存在になってゐますが、岩佐又兵衛はまだまだ解からない部分も多いやうで、小生も初めてまとまった岩佐又兵衛の本を読みました。

その絵巻の、オドロオドロした描写は、数多の日本画家のなかでも随一のものでせうし、一寸漫画チックな悪党の姿などもとても現代的な感覚です。




初まゐり

2011-01-10 | やまがた抄
今年の初まゐりは、寒河江市の八幡宮にしました。

昨年から陰陽道を調べてゐて、(現在の日本の行事や風習の多くがそれに関はってゐたことに改めて驚き、調べてゐます)小生の壱月の吉方が西北とのことで決めました。

初めて境内へ入りましたが、立派な建物です。
もともと由緒ある神社でして、鎌倉の八幡宮の分かれの神社です。
以前、仕事でお世話になった方の先祖が警備の武者として出羽の地へ来られた、といふ話をされてゐました。

ご祈祷もお願ひし、本殿の中で家人とお祓ひをして戴きました。

生まれてこのかた、初めて女性の神官の方にお祓ひをして戴きました。
久しぶりに感激、感動をしたものです。
気さくな神官の方で、興味をもった神社の歴史を話されて戴きました。

凛と冷え切った堂内によく響き抜ける祝詞の声に、遥か古代、卑弥呼を奉った人々の気持ちを感じたものです。神の声は、女性のものなのかもしれません。







寒河江八幡宮のサイトは、こちら、です。


せっかく寒河江市に来たのでと、有名なラーメン店へ行きました。
小さな店ですが、11時半に入ったのに、すでに60番目といふ繁盛ぶりの店です。
超有名なワンタン麺を頼みました。
久しぶりに感激したラーメンでした。





紹介のサイトは、こちら、です。

キース・ジャレット/『生と死の幻想 』

2011-01-09 | 書棚のジャズアルバムから


こころが詰まってくると、時をり、このアルバムを聴きたくなる。

『生と死の幻想 』

『残氓』とともに、70年代のキースのカルテット(+アルファ)の代表的な名作ですが、そんなことよりも、原題の「死と花」よりも日本版タイトルのイメージ通りの甘美な世界が素晴らしい。

久しぶりに聴いたけれど、その鮮度は少しも落ちてゐない。

キースの演奏には、2度出逢ったことがあります。
スタンダーズ・トリオでの演奏と、新日本フィルだかとの競演。

トリオの演奏は言はずもがなの快演でしたが、確かモーツァルトのピアノ協奏曲は「なんで?」といった印象の残演でした。
彼ほどの人が、しゃっちこばったモーツァルトを奏でても、何も面白くはなかった。
そこには、キース・ジャレットも居なければ、モーツァルトも居ない。
小生の棚には、そのたぐいのアルバムはありませんが、2、3度聴いた記憶があるバッハも、「なんで?」といふ印象で、ただただ美音が流れてゐただけでした。

とまれ、若きキースの才能に改めて脱帽しながら、降り続く雪の日の夜を楽しむ。




ラフマニノフは、雪景色かー

2011-01-08 | 音楽を


年末、棚を整理してゐて、久しぶりにリヒテルのラフマニノフのピアノ協奏曲の2番を聴いた。

ラフマニノフの曲自体がさう滅多に聴きたいとは思はないし(年に一度くらゐだらうーか)、春から夏にかけては意趣に合はない感じですし、晩秋にでも聴いたら死にたくなるやうな曲もある。
さうなると、冬の、それも陰々とした雪の景色のなかでは、妙に調和されて抵抗がない。
雪の景色がなかったら出来なかっただらう曲が多い。

ピアノ協奏曲は、確か、アシュケナージの新旧の全集と、他の演奏が4、5枚はあったやうな気がする。
もっとも気軽に聴けるのはアシュケナージの旧録音で、若きプレビンが薄味のよいバックをつけてゐる。
それに較べると、リヒテルの演奏は(まともに聴いたのは10ぶりくらゐか)対極で、全体の姿もピアノの音色も暗く、重い。
この曲のひとつの名盤ですが、50年ほどの前、まだソ連から出られない偉大なピアニストの西側陣営への挑戦状ともいへる、半端な軽みは踏み潰すといはんばかりの演奏です。

初温泉

2011-01-05 | やまがた抄


老婆が、「足が痛いので、温泉へつれて行け」といふので、今年の初温泉は、昨年の秋に山形市内に出来た『辻ヶ花』といふ日帰り温泉へ行きました。
日帰り温泉にしては、高級な着物の生地の名前をつけてゐるくらゐですから、何か拘りがあるのでせう。

山形市西部の田園地帯にぽつねんと出来たもので、入浴料350円にしては、ふたつの内湯(温度差2度といふ微妙さー)と寒風さらしの露天風呂、かなりの数の洗い場スペース、個室もあるやうで、お得な場所です。
お湯の具合は、地域的にあっさり系の場所なので、サラッとした湯質です。

家からでも15分もあれば行ってしまひますので、これからはちょくちょくお世話になるかもしれません。

お陰で身体は暖まりましたが、それでも、晴天続きの野面をなめてくる露天風呂は寒かった…。

思ひもよらず…

2011-01-02 | やまがた抄


二日続けての穏やかな好天で、なんだか、気持ちもすっかり緩んで、だら~とした、けれど心地よい正月を久方ぶりに過ごしてゐます。

年末に訃報が伝はった女優・高峰秀子さんを偲んで『喜びも悲しみも幾歳月』のDVDを借りてきた。よき時代の映画である。
『乱れる』、そして『浮雲』を偶然DVDで見て以来、この頃の彼女の映画をずゐぶんと見ました。

気持ちの迷ひの果てに、山形の銀山温泉へ逃げた女のラストの彷徨(『乱れる』)、鎖縁のやうな、腐れ縁のやうな関係を清算できず、道行のやうに南の島へ果ててゆく男と女(『浮雲』)。
圧倒的な名演でした!

凄まじい数の映画にでられてをりますが、追従を許さない方でした。 合掌


詳細なサイトがありました。こちら、です。