やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

「前略 おふくろ様」、を思ひ出す

2006-04-03 | 雑記



先日、このブログを書いてゐて、名作ドラマ「前略 おふくろ様」を思ひ出し、無性に見たくなり、近くのレンタルショップへ行ったのですが、DVDはおろか、ヴィデオもなく、近いうちに、まう少し大きな店にゆかう、と諦めました。

倉本聡の秀作ドラマ、でした。
まう、30年近く前の放映です。

最近終了した「優しい時間」は、倉本節のマイナス面ばかりがでてゐて、話の途中で見るのも止めてしまひました。
何故って、やはり、基本的な生活設定がまるで夢物語のやうにあやふい印象です。
森の中の珈琲屋、なんて、やはり、非現実的な気がします。
隠とん話、ではないのですからー。
生活をする、といふことは、もっと過酷な毎日の連続、のやうに思ひますしー。


「前略 おふくろ様」は、まだ、倉本聡が在京時代、軋轢に苦しんでゐたころの脚本のはずですが、見事に、人と人の付き合ひの機微を描いて、色あせがありません。生地のしわがゆっくりとほぐれてゆくやうに、見る者の気持ちに入ってきてゐました。

当時としても、蒼々たる出演者ばかりで、主人公サブ役の萩原健一(この時の洒脱な演技と、黒沢監督の映画にでた、狂気寸前の武田勝頼役は、彼の双璧だと思ってゐますが)や、海ちゃん役の桃井かおり(ある意味、彼女の女優度は、ロマンポルノにでてゐたころからこのドラマくらゐまでがピークか?)、その父親役の大滝秀治(きっと彼は、この時の演技で今があるやうな気がします)、取り巻き役の室田日出男や川谷拓三…。

コミカルに描かれながらも、山形から出てきた青年板前が、下町の狭い世界で、日々の生活を紡いで行く日常が見事に表現されてゐました。

今でも、海ちゃんとその父親が葛藤の末、再開するシーンは、(サブたちは、状況におろおろとするばかりでしたが)そのバックに流れてゐたラフマニノフのピアノ協奏曲のかぶせと共に、忘れられないシーン、となってゐます。


やはり、DVDのレンタルショップへ急がないと!