『敗者から見た明治維新』(早乙女貢著/NHK出版)
以前、NHKで放送されてゐた内容の、単行本化したものです。
関東から山形に移り住んで、見方が大きく変はり、以来調べてゐることのひとつに、”明治維新”と”戊辰戦争”があります。
会津に散在してゐる、古木の江戸彼岸を求めて毎年のやうに歩くので、その過程で、戊辰戦争に関はる史跡や史実にぶつかります。
確か、会津若松市と山口市で友好関係の修復ができたのは、十年にも満たない、つい最近のことだったはずです。
会津若松市の再建された城内に立つと、怨嗟の声が聞こへてくるやうです。
会津の知人の娘さんが、「白虎隊ばかりで、ウンザリ…」と云ってゐたのも、現実的な話ですが、でもやはり、余りにも理不尽な戦争と、その戦後処理の仕方が、平成の時代になっても、未だ、後をひいてゐる国としての未熟さにつながってゐるやうな気がします。
”倒幕”ではなく、”討幕”であったこと、
”明治維新”ではなく、”武力革命”でのし上がった薩長閥政府の始まりであったことを思へば、負け組みとしての嘆きではなく、史実としての歪みを補正してゆくに遅すぎることはありません。
(ちなみに、戊辰戦争時、山形藩はどちらに付くか右往左往し、米沢藩も同盟の雄であったにも関はらず早々と白旗をあげ、上山藩は小藩ながら精鋭部隊を結成し、庄内藩は当時全国最強の軍隊で薩長軍に果敢な戦ひを挑んでゐました)