やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

巣立ちの頃、か…

2012-07-29 | 大岡山界隈


延ばし延ばしにしてゐた、イチゴの苗採りを朝6時から始めて、50株ほど作った。

時間がなかったせゐもありますが、昨年200株ほど苗を新たにしたにも関はらず、家人の”昔の豊作は、まう夢物語りね”の言葉に小心者の小生はいたくショックを受け、そして調べたら、昨年の苗の取る時期が早すぎた気配があり、今年は梅雨明けを待ってゐました。

第二、第三のランナーで取るとおそらく多くて150株が精一杯といふところでせうが、なんとか、友人に送れるほどの実の付きを願って苗をポットに入れてゐたら、頭上のツバメが騒がしい。





みると、母鳥が、盛んに巣からの飛び立ちを促してゐる。
巣からはみ出さんばかりに成長した三羽の子ツバメと盛んに話してゐる。

”アンタたち、いつまでも寝てゐないで、飛ぶ練習でもしたら!
 ほら、かうやって!”

その声に促されて、巣の縁で羽根を広げるが、
”ダメだ、危ない、まだ、早いー。それに、暑いしィー。
 そんなことより、母さん、腹へった!”
と、巣の中にこもってしまった。

しばらくすると、親ツバメがえさをくはへて来た。
”やりいー!”とえさを頬張る子供たち。
”アンタたちねえー”とその姿をみやる親の胴まはりは、げっそりと痩せてゐた。

自然界の営みは、さほど、変らない。






山形の、ダシ!

2012-07-27 | やまがた抄


以前、在京の伯母がはまってしまって、ダシをクール便で送り続けた夏がありました。

小生が作らないので、業を煮やした家人がダシを作りました。
山形の漬物と同じで、定型はありません。余りものを加工して、そして、旨いものをつくる知恵が必要です。
ですが、漬物同様、その旨いものに出会ふ確率の高いことー!

うどんにダシをのせて食べました。
まう少し、ピリ辛風味をつけるとよい、と家人と同意見になりまして、暑さが本格化してきた昨今、修正レシピを考へてゐるところです。


その死の

2012-07-24 | 雑記


NHKの”クローズアップ現代”で、吉田秀和さんを取り上げてゐました。
この、毎日無数にわたる現代のテーマをタイムリーに取り上げる番組は、退化の一途をたどるNHKの中でも良心のひとつでせうが、いち音楽評論家の死をとりあげるのもきはめて珍しいです。

それほど彼の死は、ある意味日本の思想界の大きな損失なのだと思ひます。

丁度彼の死の一週間ほど前、日曜日の朝、通勤時に運転しながら番組を聴いてゐました。
勿論録音だったでせうが、いつものやうに最後に云ふ”じゃあ、また!”といふ挨拶に、ウム? 声に元気がないなー、と思ってゐました。

最愛の奥さんを亡くし、追ひ討ちをかけるやうな東日本大震災と原発事故ー。
確か朝日新聞にも書いてゐましたが、とても大きく絶望し、なにもする気持ちが起きないとー。

特に、件の番組で力説されてゐたのが、ホロヴィッツ事件やグールド事件のやうに、自らの感性(のみ)で音楽を聴き、自らの言葉で考へ、そして思考を組み立てていった吉田氏が、特に原発事故そのものや対処の不甲斐無さに対して、”いつまでも、日本人は、何も学んでゐない、そして、同じことを連綿と繰り返してゐる”といふ彼一流の絶望感だった、といふことです。

勿論、絶望だけでは何も先には進みませんが、まう100歳に近い彼の気力は、残念ながら、折れてしまったのかもしれません。

番組のなかで、彼の、あの吉田秀和さんのリスニング・ルームが一瞬映ってゐました。
とても、驚きました。
8帖ほどの和室の一角に、とても貧楚なオーディオ・セット、でした。
以前から、”僕は(彼は、いつも自分のことを、さう云ひます。あの、河竹黙阿弥も、さうでした!)オーディオにはほとんど興味がないのでー”と云ってゐましたが、それでもー、と思ふくらゐシンプルなものでした。

そのセットで彼は、間違ひなく、音響ではなく、音楽の力を聴いてゐたのだと思ふと、とても感動しました。


毎日…

2012-07-22 | 大岡山界隈


小さな畑から、毎日キュウリが5、6本、ナスはひと掴みほどが採れる。

カブトムシやクワガタではないので、生でガリガリといふ訳にもいかず、サラダは数日おき程度で、家人は”山形のダシ”を作れ! といふが、まだ研究不足なのと、以前、尾花沢の農家でご馳走になった絶妙なダシの味がトラウマになって、挑む気持ちがでてこない。
さりとてそのままといふ訳にもいかず、やはり浅漬けにしてしまふ。



色々と調べ、色々と試して、砂糖、塩、からしの粉、めんつゆの素を適当に!配合すると、一日で美味しい浅漬け(からし漬け)になる。

家人に云はれるまでもなく、生来凝り性なので、一度うまくゆくとずっと作り続ける。
この夏は、この浅漬けのままで、ダシにはたどり着かないかもしれません。


「伊賀越道中双六」沼津

2012-07-20 | 本や言葉
久しぶりに、歌舞伎の新しい動画はないかしらん、と思ってサーフィンしてゐたら『伊賀越道中双六』といふものがありました。
『伊賀越道中双六』

「伊賀越道中双六」沼津 1


全編の中の六段目の沼津宿といふところだけでしたが、とても面白かった。
(動画は、8つくらゐに分かれてupされてゐます)

有名な、徳川幕府草創期に起きた鍵屋の辻の決闘への物語りをバックにした(さう、忠臣蔵事件に対しての四谷怪談の悲劇のやうなー)、穏やかな宿場で起きる小さな悲劇を劇的に演じてゐます。

浄瑠璃の語りがずゐぶんとドラマティックだなァ、と思って調べたら、元は人形浄瑠璃だったとのこと。むべなるかなー。

とても描写が豊かな、穏やかな街道筋のシーンから、小さな悲劇の糸がからんでゆくのですが、片岡仁左衛門の妙技が素晴らしく、その細やかな所作に感心しきりでした。

ただまあ、実は(歌舞伎には、実は…といふ設定が非常に多いのですがー)、数馬の愛人だったといふ村の娘の役者が、その演技はとても上手なのですが、如何せんとても大柄なお爺さんのやうな方なので、百歩譲っても違和感があって馴染めなかった、です。

でも、とても面白かったので、近々、全編の脚本を読んでみるつもりです。


やっと、トマトが…

2012-07-19 | 大岡山界隈


やっと、トマトが採れだしました。

バジルは、まうすっかり大きくなってしまって、花もつけ始めてゐるのもでてきてゐたので、早く!早く!と願ってゐたのですが、天候のせゐなのか、さっぱり紅くならず、家人ともどもやきもきしてゐました(昨年の惨敗が思ひだされて…)。

以前書いたやうに、今年は、イチゴとトマトは老母には一切介入させず、いろいろと調べて育てたつもりなので、愛情ひとしほなので、丸々と紅くなったトマトの姿に、とても感激してゐます。

あまりに嬉しくて、本当はあと数日置くとよかったのですが、数個採ってしまひました。
でも、甘味もあって、とても美味しいトマトになりました。


夏、ツバメ達はー

2012-07-18 | やまがた抄
大雨のあとに、いきなりの猛暑が始まってゐます。

オジサンの身体は、準備不足で、ここ数日で早くもバテ気味です。


その後、どんなかしら? と思ってツバメの巣を覗いたら、幸ひにも無事に仔供達は生まれたやうで、定かではありませんが、4、5羽はゐるやうです。
まだ声も聞こへないので、ほんの数日のやうです。

そ~と近づいたのですが、流石です、どこからともなく親達がすぐに飛来してきて、母親は巣の前に立ちはだかり、父親は小生の周りを威嚇飛行する。
特に、母親の小生を見る目に、”おなごは強し!”を痛感する。







”いやいや、怪しいものでは御座らぬ。そちたちに庇の一部を貸してをる、家主のジイサンぢぁ”といふと、
”それは失礼しました。とても助かってゐます。お陰で、お仔達も無事に生まれました。御礼申し上げます”といふ。
”しかし、先ほどのそちたちの臨戦態勢は、実に見事なさまであったのぉ!”と感心していふと、
”いへ、先祖から受け継がれてゐる、生き抜くすべのひとつですからー。お褒めにあずかるほどのものでもありません。
感心されるといふことは、人間世界では、まう、身を挺して親が仔を守らないといふことですか?”と聞かれ、暫し絶句する。

”しかし、暑くはないかね?”と聞くと、
”実は、この暑さには参りました! 私達は、夏のじゃんぐるの暑さを避けて遠いこの地に参ってゐるのですが、これでは、かの地と左程変はりません。
とうきょう、といふ処へ行った知り合ひは、ツバメの住む処ぢぁない。よく人間は住んでゐるものだ、と呆れ顔でした。
とうきょう、といふ処は、ご存知ですか?”といふ。
”そうさな、昔住んでおった。いや、昔はそちたちの住める場所だったのだが、この国を司る人々がまっこと粗末で、田畑も無くなって、そちたちには気の毒に思ふ”
”でも、かうして、お陰さまでやまがたの地で子育てができるので、安堵してゐます。今しばらくお世話になります。
餌の虫達も、ここの庭には沢山ゐますからー”
と、軽く頭を垂れる。
”ウム、雑多な庭ゆゑ、虫は多からう…な”
と、互ひに笑ひあった。


スロヴェニアの…

2012-07-16 | オーケストラ巡り
スロヴェニアのオーケストラから、スロヴェニア・フィルハーモニーによるチャイコフスキーの交響曲5番と、ベートーヴェンの9番。
そして、同じくスロヴェニアのユース・オーケストラで、リムスキー・コルサコフの《シェヘラザード》と、ラデッツキ行進曲、を聴く。

スロヴェニア・フィルは、かつてクライバーも指揮したこともあるといふ伝説をもってゐるらしいのですが、今回聴いたチャイコフスキーの5番や、ベートーヴェンの9番では、それほどレヴェルの高いやうには見受けられず、実際にも、精一杯といふ感じの演奏です。

ただ、野外で公演された第9の始まりは、とても面白いので、一部を載せてみました。

George Pehlivanian conducts Beethoven's Symphony N. 9 - 1st Mov. Part 1



ユース・オーケストラの演奏は結構見つけられまして、どれも一所懸命の姿がとても好ましいです。
特に、数年前のコンサートのラストでの《ラデッツキ行進曲》の演奏は、有名なニュー・イヤー・コンサートのやうに演奏してゐますが、片やヴィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートは今や全世界に衛星放送され、黄金のホールでの煌びやかな演奏を世界に誇りますが、スロヴェニアの若者たちの《ラデッツキ》も、聴衆の、まったく暖かい見守りと大きな手拍子と拍手に支へられて、どっこい、決して世界一のヴィーン・フィルにも劣らない、見事な”音楽”を奏でてゐます。

Strauss - Radetzky Marsch with Gimnazija Kranj Symphony Orchestra



スロヴェニア、って? 

 ・観光局


梅雨の花めぐり

2012-07-14 | やまがた抄
週末は山の予定でしたが、天気すぐれず、二週間先に延期して、ぽっかり時間が空いてしまったので、曇天の下、花をめぐってきました。

山形市西部でラベンダーの花を見て、最近すっかり有名になった、”山形のあじさい寺”に行ってきました。
住職がコツコツと二十年近くかけて植ゑたといふアジサイは、尋ねるひとに喜ばれて、とても色鮮やかに咲いてゐました。
以前に較べて、すっかり背も伸び、数年先には、アジサイのトンネル参道になるかもしれません。
楽しみなことです。






















落涙

2012-07-13 | 音楽を


我が家の紫陽花も、よき色に染まりだしてゐます。
ひとつの株ですが、以前は、赤系だけだったやうな気がしますが、今年は青系が混ざってきて、土の変化があるのかー。

昨年の東北での大地震と大津波ー。
ここ数日の九州地方での、”今までに経験のない大雨”による被害ー。

実際は、色々な要因があるのでせうが、何か、神の、堪ってゐた怒りを感じます。


先日の友人の法事から、ふと、仏像関連の本を読んでゐます。

別に、宗教にすがる気持ちはさらさらないのですが、読み進んでゆくと、古来の人々が、はるかインドの地から来た仏教にすがる気持ちもわからないではありません。


義父に頼まれたテープのDVD化で、今まで面倒だからと避けてゐた複数の機種の接続がそのままなので、溜まってゐる小生のテープの再DVD化を始めました。
(以前のデコーダーは8ヶ月ほどで不具合を起こし、ヤ○ダ電気に文句を云ったら、同価格でブルー・レイ付に交換してもらったのはよいのですが、機種のせゐか、再生ができないー)

まあ、ブルー・レイですと、テープ5~6本分は入りますので、整理もつきやすいので、徐々に進める予定ー。

最初に、小澤征爾の《マタイ受難曲》を、これはDVDにしました。


バッハ - マタイ受難曲・第1曲 (小澤征爾)


まだ、彼がとても元気なころの、確か、長野オリンピックの年に、長野で公演されたものです。
少年合唱がイマイチ、女性合唱の声がママさんコーラスっぽい(これは、小生の偏見ー)、等々ありますが、この時に集ったサイトウ・キネン・オーケストラの力量が素晴らしく、また、ソリストも素晴らしく、日本に於けるマタイの良心的な演奏であることに違ひはありません。

久しぶりに見てゐたら、さうでした、先日亡くなった吉田秀和さんが長い解説をされてゐました。

この曲の何が重要なのかー。
イエスも弱く、弟子達ももっと弱く、そして我々も、また弱い。
そのことを、曲の中に入り込んで、自らが等身大で感ずることがとても大事なのだー。
そんなやうなことを、まだ元気だった吉田さんが話されてゐました。

そんなことを心にとめてゐたら、劇的な第二部で、思はず落涙してしまひました。