rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

陰謀論というレッテルでパージされる多極主義

2022-04-11 18:12:33 | 政治

I.  社会主義に勝ったのは資本主義か民主主義か

20世紀第二次大戦後に、東側の社会主義と西側の資本主義・民主主義が冷戦として対立し、1990年代に東西ドイツベルリンの壁が崩壊、またその後ソ連が崩壊することで、西側の勝利に終わりました。これは経済体制としては資本主義が、社会体制としては民主主義が勝利したことを意味したのですが、本当の所は東側の人達は自由な「社会体制としての民主主義」を望んでいたのであって、「経済体制としての金満資本主義」を望んでいた訳ではありません。体制崩壊後、東側諸国には資本家たちが土足で乗り込み、資本主義に慣れていない元東側国民を置いてきぼりにしつつ、国有財産であった各種産業を安値で買いたたいて所有、目ざとい一部の実業家が全てを所有する金満腐敗体質のオリガルヒ支配体制に移行していった事は周知の事実です。

また元々西側であった国々においても、対立軸である社会主義があったために「労働組合」や「社会補償」といった共済制度が発展し、行き過ぎた資本主義が暴走することに歯止めをかけて、社会全体が潤う健全な資本主義の発展が促されてきました。しかし対立軸が消滅すると「剥きだしの資本主義精神を良し」とする「市場原理主義」が賞賛され、「社会主義経済に資本主義経済が勝利したのだから市場原理主義が正しい」という強引な理屈がまかり通るようになってしまったのです。結果は経済合理性と効率が全てに優先され、当初は国毎に資本を産む国(米国)、労働をする国(中国)、原材料やエネルギーを供給する国(中東)といった住み分けが行われたものの、次第に国家を超えて「資本家」(富者)「労働者」(貧者)の勝ち組、負け組の二極化が全ての国で進むようになったのです。そして富者が国家の指導者を集めて世界規模で支配方針を決める世界経済フォーラムの様な組織が力を持つようになったというのが現在の姿です。

 

II.  陰謀論というレッテルでパージされる多極主義

パージ(purge)とはcleanse、exorcise、粛清、追放すると言う意味で「存在を認めない」という事です。政治理論として、一極主義と多極主義は対立軸として当然議論されなければならないのに、一極主義者は多極主義者が国家を超えた超資本家達が資本力を武器に共同謀議の上で社会を操作するという指摘を「陰謀論」、国家や民族的視点に基づく施政を「極右」というレッテルを貼り、SNSなどでは批判をBANすることでパージしてきました。中国の様な「国家資本主義」で全体主義の国は分類しがたいものの、それも多極の一部とも言えるでしょう。本当は一極資本主義に都合が良い「民主化」が中国にも行われる事を望んでいたに違いありません。

一極資本主義は、対立する政治理論として多極主義と議論すると、所詮「金満主義」「勝った者勝ち」でしかないから、一極主義が負ける、非民主主義的(当然多数派ではない)であることが明らかになってしまうと考えているようです。一極主義者は、性的少数者や、女性や民族的に弱者とされる者、環境といったものを正面に出して大声を上げる事で一見少数者を大切にする民主主義を標榜しているように見せかけますが、サイレントマジョリティーが声を挙げることは極端に嫌います。大衆は程ほどにパンとサーカスで大手メディアのプロパガンダ通りに動けというのが一極主義者の本音なのです。

 

III.  多極主義を潰すためのコロナとウクライナ

新型コロナ感染症のパンデミック騒動は、国別の独自の感染症対策は許さない。初期の英国やスウエーデンの様に、独自路線は徹底的に叩く。世界中の人に同じワクチンを投与し、投与証明を社会活動の許可証として用いる。正に一極資本主義の目指す社会構造の最たるものでした。

冷戦時代に社会主義諸国(ワルシャワ条約機構)に対抗するために作られたNATOが、一極資本主義達成のために消滅せずに拡大されていきました。ウクライナをNATOに加盟させる必要性は民主主義と関係がない事は誰の目にも明らかでしたが、多極主義を標榜するロシアを潰すために20世紀に入ってからもNATOが拡大を続けた事は前回のブログで示した通りです。

各国政府を強力な資本力で操る「Deep Stateの存在に警鐘を鳴らす」事を「普段の日常生活とは関係がない」と呑気な事を言っている人がいますが、旅行が自由にできなくなった事も、ガソリン代が上がるのも食料品が値上がりするのも全ての日常生活に彼らの存在が関係している事に気が付かないとは「おめでたい事だ」と私は思います。一人ひとりの力は小さくても彼らは我々が気付いてしまう事を最も恐れているのです。だからこそメディアを使って工作や誤魔化しをかけてくる。彼らは、我々が愚かで毎日の生活に四苦八苦して彼らが規定した世界で大人しく労働奉仕することが望ましいと考えているのです。元々資本家というのは労働者が与えられた条件で大人しく労働奉仕して利益を稼ぎ出してくれる事を「良し」とし、それが資本主義の原点でもあるので自然な事だとも言えます。

NHKの「欲望の資本主義」におけるテーマでもありますが、「未来の望ましい資本主義の姿」は、剥きだしの市場原理主義ではないことは明らかです。多極主義が正しい姿かどうかは判りませんが、対立軸を認めないという姿勢は誤りです。我々は望ましい資本主義の姿を「一極主義の支配階級資本家に任せず」に声を挙げてゆくべきと思います。

 

追記2022年4月12日

マスコミに載らない海外記事様に「本当のワンワールド政府陰謀はアメリカ合衆国の一極覇権」と題するケイトリン・ジョンストン氏の記事が掲載されていたので、正に現在の一極覇権主義の姿を表現している内容と思い、一部引用させていただきます。

(引用開始)

1945年に国際連合が組織された時、アルバート・アインシュタインは未来のワンワールド政府の可能性について期待を持って書き、その出現に対する主な障害は、ソ連がそれに入るのに抵抗する事だと信じていた。そこでアインシュタインは、諸国が「世界の主要な産業経済地域の少なくとも3分の2で構成される部分的ワンワールド政府」下で団結することが最良だと結論した。

 そして興味深いのは、これが大方実現したことだ。アメリカ合州国は、それを運営するオリガーキーと行政機関とともに、公式の帝国旗の下ではなく、提携や、条約、パートナーシップ、略奪的融資や、了解の秘密取り引きネットワークで統一され、他の政府が様々な程度の恫喝により参加するよう奨励され、もし参加しなければ、帝国の激怒に直面することになるという、宣言されていない巨大帝国の中核となったのだ。中国、ロシア、イラン、北朝鮮、キューバ、ボリビア、シリアやベネズエラのような国々は、この権力の傘の下に入らされることに抵抗し、他方、他の世界の国々は屈服し、宣言されていない帝国中の様々な程度の加盟国となった。

 帝国の加盟諸国は自身の法律と自身の選挙で(可能な場合)自身の政府を持っているが、国際問題に関しては、彼らは、事実上、帝国の塊の中に吸収されるのに抵抗する国々に対するチームとして行動する。これが一極覇権のありようで、アメリカはソ連崩壊以来、その一極覇権を維持する長期的政策をとっている

 これが本物のワンワールド政府陰謀だ。最も直接、我々の生活に影響を与える、背後にある最も明白な現実だ。それを見るために「不思議の国のアリス」のようにウサギ穴に飛び込む必要はなく、どの政府が、この巨大な権力構造の一部か、どの国がそれに吸収されるのを拒否したか理解して、ニュースを見れば済む。

(引用終了)

コメント (7)
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