rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

メディアの偏向を日本で唯一指摘する「紙の爆弾」誌

2022-04-15 23:40:26 | 書評

ロシアのウクライナ侵攻について、米国も含むネットでは過去の経緯からロシアにも理屈があり、戦況についても一方的にロシアが苦戦している訳ではないとし、一方的にロシアに制裁を科し、ウクライナを軍事支援することは問題解決にならないばかりか、核戦争を含む世界を巻き込んだ第三次大戦にエスカレートすることを危惧する論説があります。私のブログもその立場を取りますが、新聞テレビ雑誌などのメディアでは、大小見まわしてみてもこういった主張をするものは皆無といって良い惨状です。そんな中で大手誌ではありませんが、鹿砦社の月刊誌「紙の爆弾」は4月号に「ウクライナ危機、バイデンの自作自演」という一水会代表・木村三浩氏の論説を掲載、5月号では共同通信出身で元同志社大学教授のジャーナリスト浅野健一氏の「ロシア悪玉一色報道の犯罪」(停戦を遠ざける史上最悪の偏向報道)という非常に示唆に富む記事を掲載しています。日本のジャーナリズムは全滅かと落胆する中で、一筋縄では行かない発刊経過をたどる雑誌とはいえ、このような骨のある記事を載せる雑誌がある事は喜ばしい事です。

I.  NHKの戦前回帰に相当する偏向報道

前回のブログでもNHKが現在のウクライナ情勢が核戦争や第三次大戦にまで発展する可能性、「NATOの参戦以外選択肢がない」などという論評を躊躇なく報道する様に驚いた事を記しましたが、ここで出演していた東大の藤原帰一客員教授も、歴史学者の加藤陽子教授がNHKで本意でないコメントを放送されたと憤慨していた様に、実はインタビュー終盤で述べていた「戦争を煽る行動は決して取るべきでない」が全体として主張したかった事かも知れません。

「紙の爆弾」誌で、浅野健一氏はロシアの侵攻が始まった2月24日のニュース7には、ロシア史の第一人者である法政大学名誉教授の下斗米伸夫氏が出演して、「政治経験のないゼレンスキー大統領は外交において的確な判断ができない」とまっとうな評論を行ったが、その後は一切出演がなくなり、米国のプロパガンダ通りの評論をする慶応大の廣瀬教授や筑波大の東野准教授、防衛研究所の研究員らの出演ばかりになったと指摘しています。氏は「日本メディアによるウクライナ戦争報道は、ジャーナリズム史上、最悪と言えるだろう。」と結論付けてその偏向ぶりを嘆いています。

これは日本に限らず、「西側」のメディア全体に言える事で、you tubeで海外事情を紹介するHARANO TIMES氏はドイツ大手紙フランクフルターアルゲマイネ紙の元編集長ウド・ウルフコッテCIAから買収されて「ロシアを敵視する様に捏造した記事を多数書いた」という告白本について記事にしています。

 

II.  第三次大戦に日本は参戦する覚悟はあるのか

私は最近の報道状況から推測すると、米国(NWO=Deep state側)の本来の狙いは、プーチン大統領を嵌めて、第二次大戦の日本やドイツと同様「最初に侵略」を開始させて「悪者」にした上で世界戦争に発展させ、最後は「ゆるぎない一極経済政治支配を確立する」事にあるのかも知れない、と邪推しています。外れて欲しい推測ですが、そうなると弱体化したロシアの次の目標は中国の解体であり、「ロシアとの戦争は欧州全体が戦場」になるとすれば、「中国との戦争は台湾・朝鮮・日本が戦場」になります。勇ましい核シェア論や、維新の躍進や共産党の自衛隊容認変貌などの先には、日本が再度中国と戦争をする(させられる)事態が待ち受けていると考えるのはうがちすぎでしょうか。スラブ人同士が戦争をさせられて両陣営が衰退する姿を今見せつけられていますが、アジア人同士が戦争をさせられてお互いが衰退するという「米英の笑いが止まらない状況」を日本人は黙って受け入れるほど阿呆になってしまったということでしょうか。中国を含めたアジア諸国の事情を尊重した上で「支配・被支配の関係のない新アジア主義」を構築しよう、という一水会木村三浩代表の主張は「右翼総帥のたわごと」と言い切れない国士の響きがあるように私には感じます(紙の爆弾5月号 天木直人氏との対談)。偏向メディアに疑問を感じない日本人たちは中国と戦争をさせられる羽目になってもバカ丸出しで「ウクライナを見習って命がけで、全国民で中国と闘う」などと言いだしかねません。

 

III.  国際法に照らした日本の立ち位置

国際法について私は全くの素人ですが、読みかじりの知識で日本のウクライナ戦争についての国際法上の立ち位置を考えてみました。国際法には平時国際法と以前戦時国際法、現在は内戦などより広範な戦争状態を想定した武力紛争法との区別があります。武力紛争中の国家に対しては、交戦規定とされる「ハーグ法」と武力紛争犠牲者を保護する「ジュネーブ法」が適応されます。国連憲章には「武力不行使の原則」があって、「戦争はしない」事になっているのですが、例外が「自衛のための戦争」であって、自衛のためには「集団安全保障」による戦争協力が許されることになっています。この辺が国際法の限界・曖昧な部分で、集団安全保障で自衛のためならば「先制的自衛攻撃」が許されることもあるという学説があって、ロシアが今回ドネツクのロシアが承認した国家から救援を求められてウクライナに先制攻撃(侵略)をした事も「集団的自衛権の行使」と資料を揃えれば言えなくもないのです。テロに対して言えるかは疑問ながら、米国は911の後、「大量破壊兵器保持」を理由(虚偽でしたが)にイラクに先制攻撃をかけ、「タリバンがアルカイダを匿った」としてアフガニスタンに侵攻してますから、ロシアだけを国際法違反に問う事はできないでしょう。ロシアはウクライナのバイオラボ(米国の資金提供による)が致死性の狂犬病ウイルスを、ドローンを使ってロシア国内に散布する計画を抑止するための自衛のための戦争(バイオラボにバイデン大統領の息子、ハンター・バイデン氏も関与と英国デイリーメールが伝えた)を行ったというレトリックも準備しています。

ハンター・バイデンがウクライナ・バイオラボの研究出資にからむというデイリーメールの記事

 

日本は「国際紛争を解決する手段としての戦争は放棄」するという憲法を堅持していますが、今回武力攻撃を受けている紛争当事国に防弾チョッキやヘルメットといった防衛装備品を提供し、紛争当事国のもう一方であるロシアに経済制裁を科しました。客観的に見て日本は「中立国」としての立場は放棄したと言えます。一方、中国やインド、ブラジルなどロシアに制裁は科さず、ウクライナに戦争協力もしない中立国もあります。ロシアは国連憲章に定められた武力不行使の原則を破ったので、日本は国連憲章に定められた集団安全保障の一環としての非軍事的措置として「禁輸、資産凍結、交通・通信の停止」などにあたる制裁をロシアに対して行ったのである、という説明は可能です。ただ結論を出す前に、これらの議論を双方の意見(両国の大使を国会に招聘するなどして)を聞きながら、十分に国会で行う必要がありました。偏向した一方的プロパガンダ報道を基に、議論もせずに日本国としての態度を決定するというのは余りに拙速だと本来ならば野党から大批判があってしかるべき(れいわ新選組だけは別)でした。

 

日本人は国際法を尊重する気持ちが希薄であることが証明されました。このような状況でなし崩し的に戦争を行えばどのような悲惨な結末が日本国民に襲い掛かるか、非常に憂慮されるところです。

コメント (9)
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