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rakitarouのきままな日常

人間の虐待で隻眼になったrakitarouの名を借りて人間界のモヤモヤを語ります。

Gloster Sea Gladiator Sword 1/72

2025-05-27 10:19:07 | プラモデル

Gloster Gladiatorの艦上戦闘機版であるSea Gladiatorを作りました。英国空軍最期の複葉戦闘機で、1939年にスピットファイアに後を譲るまで第一戦機として使用されました。800馬力のMk1は231機、830馬力のMkIIは最高時速410km、航続距離708km7.7mm機銃4丁を装備して300機が生産されました。これらのうち着艦フックを付けた約100機がSea Gladiatorとして海軍に引き渡され、イラストリアスやフュリアスなどの空母や陸上基地で使用されました。海軍では単葉機のハリケーンをシーハリケーンとしてその後一時的に使用しましたが、翼の格納もできず、以降米国からF4Fマートレットが後継機になりました。そのあとはテンペストの改良版であるホーカー・シー・フューリーなどが後継になりますが、実用化は大戦後になってしまいます。

Gladiatorの実機 鋼線の状態が良くわかる写真   Sea Gladiatorとの違いは着艦フックの有無だけである

模型は1960年代のAirfixに比べると操縦席なども良く作られていますが、最新のAirfixなどの金型に比べると組み立てにはコツと忍耐が必要です。塗装は下面ライトグレー、下翼の上面はダークシーグレーとダークグリーン、全体の上面はエクストラダークシーグレーとダークスレートグレーを用いました。リグは写真などでも太目の鋼索を使用していた様なので、0.3mmの真鍮線を用いました。Airfixの古いGladiatorと並べてみました。

左の乗降用ハッチは自作で開いた状態にしてみました。

乗員は付いていないのでハセガワ製を流用。1940年804海軍航空隊(NAS)の機体としました。

Airfixは当時袋売りされていたもので、プロペラ2枚でMkIと思われます。

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ぐあんばれハーバード大学(と農林中金)

2025-05-24 11:22:16 | 社会

2025年5月22日 トランプ政権は、ハーバード大学の留学生受け入れ資格を取り消すと発表しました。在学中の留学生については、他大学に転出しなければ、米国での滞在資格を喪失するとしました。

国土安全保障省のノーム長官は声明で、ハーバード大が「暴力や反ユダヤ主義を助長し、中国共産党と連携している」と非難し、学生ビザ取得に必要な「学生・交流訪問者プログラム」の認定を取り消すと説明しました。これに対して、ハーバード大は、政権の措置は違法かつ報復行為に等しく、数千人の学生に影響が及ぶとし、留学生を支援する姿勢を鮮明にしました。これまでにもトランプ政権はキャンパス内での反ユダヤ主義的ハラスメントなどを理由にハーバード大への助成金を凍結するなど、学問の自由に対して制裁を強めてきました。連邦判事は適切な手続きを踏まずに大統領令で留学生の資格取消しを行うことは無効であるという判断を下したそうですが、客観的に見てトランプ政権側に勝ち目はない事は明らかでしょう。

2024年5月ハーバード大学内のガザ支援ピケ(rakitarou撮影)

 

〇  反シオニズム=反ユダヤ

 

パレスチナで虐殺を行っている極右「シオニスト政権の現イスラエル政権に反対すること」が即ち「反ユダヤ」とイコールであるという決議2年前に議会で議決されましたが、100%理論的にも無理筋であることは指摘してきました。イスラエル国外でパレスチナ虐殺を批判している人達の多くは善良なユダヤ人であり、ユダヤ人が自分の意見を述べる事を「反ユダヤ」と批判するというのは論理破綻以外の何物でもありません。ユダヤ人の学生が当時のブリンケン国務長官に「米国でシオニズムを言論で批判するにはどうすれば良いのか?」というまっとうな質問に長官は答えられませんでした。

要はシオニズム批判を封じ込めたいのは「大量の金を持っているシオニストユダヤ人」団体のAIPACが金で議員と法曹界を支配して無理筋を通しているに過ぎないのです。彼らから「大量の金」が無くなれば一瞬にして「虐殺は悪」と定義され、「シオニズムは誤り」と葬り去られる運命にあります。だからハーバード大は最終的には勝ちます。トランプ政権は計算づくで敢えて今回の政策をこのタイミングで取った様に見えます。

アメリカイスラエル公共問題委員会AIPACの実態を伝えるNHK番組

 

〇 トランプ政権はイランとの戦争は避けたい

2025年4月以降で、トランプ政権の中東政策は大きく動いてきました。イスラエルのネタニヤフ政権はイランとの戦争に米国を巻き込む事を画策していましたが、トランプ政権は核開発について、イランと直接協議をすることを表明、イスラエルのイラン攻撃計画は支持しないと表明しました。

トップガンマーベリックの様な神業でイランの核施設を攻撃できるはずもなく、フーシ派攻撃に参加している空母がミサイルを避けようと急旋回して積んでいるF18が海に滑り落ちるという失態を犯すのが現実です。他にも味方艦船の誤射でF18が撃墜される事件も起こっており、紅海におけるフーシ派攻撃で米軍は3機のF18を失っています。実際に米国艦船はいない状況で、フーシ派は米国艦船への攻撃は辞めますという言質を取り付けて米軍はフーシ派と停戦(実際は退散)しました。

トランプがまとめたハマスとの停戦をネタニヤフが破った事もあり、トランプはネタニヤフと距離を置く様になり、ネタニヤフと近かったウヲルツ大統領補佐官を解任し、ウイトコフ特使をイランの外相と会談させて関係改善へ向かう方向になりました。NYタイムスも「イスラエル現政権は米国の同盟国ではない」という意見記事を載せるほどです。ウクライナへの無謀な武器支援で米国の武器の備蓄は払底しており、再度十分な備蓄を行うにはブースターをかけても数年かかると戦争研究所が報告しています。イランとの開戦はしないとトランプは結論付けたのです。そのためには国内の圧力団体であるAIPACとの決別も必要になります。

 

〇 Divide and ruleの国内版

 

権力者が強力な対抗馬を服従させる時、対抗者同士を対立させて、相手が協力して自分に立ち向かうことが無い様にする事が定石です。ロシアとウクライナ(西欧も)を対立させて双方の力を削ぐ。日韓、日中を対立させて双方の力を削ぐ。明治以来欧米の覇権国が現在も継続して行っている定番戦略です。同じ戦略を国内に適応したのが今回のハーバードへの暴虐でしょう。ボストンは民主党の牙城です。バイデン政権にガザ侵略への無制限の支援をさせた様に、AIPACは民主、共和両党の議員を金と権力で支配下に収めていて、数名を除いて反発できる議員はいません。ネタニヤフと距離を置き、ユダヤロビーを切りたいトランプ政権としては、中間選挙で民主党とAIPACが組んでしまうことは避けたい所でしょう。だから民主党の牙城でガザ支援の機運を高める状況を作り出して、民主党とAIPACを離反させる作戦を取っているものと思います。司法判断や諸外国を含めた常識的判断は大学の自治と学問、言論の自由に軍配を上げる事は間違いありません。そして現在イスラエル政府が勧めるガザ虐殺への批判を一層高めることで、イスラエルとAIPACを米国政府から追い出す、「米国の外交は米国が決める」という原点に返す作戦の一環なのだと私は考えます。その意味でも「ぐあんばれハーバード大学」と応援したいです。

 

〇 空気読まない小泉農相

農協からの出資で成り立つ農林中金は、昨年度資産運用の失敗で1兆円以上の赤字となりました。それに対して1兆3千億の資本増強を行って、今年度は黒字化を見込むという記事が出ています。

資産運用失敗による農林中金の巨額赤字  何故か今年度は黒字になる見通しと

出資元はコメの集荷売却を一手に引き受けるJAですが、コメの値段が昨年来上昇することで農家からの買い付け値は以前のままであったJAは随分潤ったことでしょう。農林中金の赤字補填に値上がりしたコメの差益が使われたとは思いたくありませんが、実際はどうなのでしょう? 備蓄米を直接バイヤーに卸すと宣言する小泉農相がJAから嫌われるのも当然かも知れません。まあ農林中金も「ぐあんばれ」と励ましておきましょう。

農協からの資本増強で巨額赤字が黒字に転嫁できるらしい。いろいろ書いてあるけど農家は苦しくても農協さんの資金は潤沢ということ?

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日本にも展開されるグローバル官民パートナーシップ

2025-05-19 08:12:32 | 社会

I.  グローバル官民パートナーシップ(G3P)とは何か?

 

前回のブログで、世界経済を統一的にグローバリストがコントロールするメカニズムとして、

(1)国家の枠を超えたグローバル官民パートナーシップの確立による事業展開

(2)世界銀行やIMFによる強制的国家債務の押し付けによる国家独立性のはく奪(債務帝国主義)

(3)パンデミックや温暖化といった大規模なパラダイムシフトによる強制的経済転換(グレートリセット)

があるというRJ Burrowes氏の指摘を紹介しました。

そこで、一見架空の陰謀論的なシステム、軍産複合体とかディープステートといった漠然としたシステムを考えがちなグローバル官民パートナーシップが、現実のものとして世界や日本で政府推進の下で機能していることを今回示します。前回ブログでは2021年に設立されたCOP26会議でのグラスゴーネットゼロ金融同盟GFANZを例示しましたが、英国政府は2019年に世界経済フォーラムとパートナーシップを締結したことを正式に表明していますし、保健医療などの世界では1990年代からこのシステムは世界的に展開されてきました。まずは、リバタリアン的ブロガーのIan Davis氏がまとめた前回も引用した図と、グローバル官民パートナーシップとは何かを解説した文を一部引用します。

英国政府と世界経済フォーラムが正式に取り交わした協定のプレスリリース

 

(引用開始)

投稿者:イアン・デイビス 2021年10月6日

グローバル官民パートナーシップ(G3P)は、ステークホルダーである資本家とそのパートナーによる世界規模のネットワークです。このステークホルダー集団(資本家とそのパートナー)は、グローバル企業(中央銀行を含む)、慈善財団(数十億ドル規模の慈善家)、政策シンクタンク、政府(およびその関連機関)、非政府組織(NGO)、選抜された学術・科学機関、国際慈善団体、労働組合、大手メディア、そしてその他の選りすぐりの「思想的リーダー」で構成されています。

G3Pは世界金融と世界経済を支配しています。G3Pは(グローバルガバナンスを通じて)世界、国家、そして地域政策を策定し、G3P内で「パートナー」でもある主流メディア(MSM)企業を利用してそれらの政策を推進します。その世界モデル形成は、1998年のダボス会議における国連事務総長、アナン氏の演説によると言われます。

1998年国連事務総長の世界経済フォーラムにおける演説のプレスリリース

これらの政策は、多くの場合、シンクタンクによって策定され、その後、G3Pのパートナーでもある政府によって採択されます。政府は、G3Pのグローバルガバナンスを明確な政策、立法、そして法律的強制へと転換するプロセスです。

現在のウェストファリア国家主権モデルでは、ある国の政府が他国の法律を制定することはできません。しかし、グローバル・ガバナンス(G3P)を通じて、G3Pは地球規模で政策イニシアチブを創出し、それが各国の人々に法的強制力を持って波及します。これは通常、IMFやIPCCなどの政策提言機関を介して行われ、各国政府は勧告された政策を施行します。

政策の方向性は、問題の正式な定義と規定された解決策によって国際的に定められます。G3Pが国際的に合意を得ると、政策枠組みが設定されます。その後、G3Pのステークホルダーパートナーは協力し、望ましい政策が法制化され執行されるよう努めます。これが、よく引用される「国際ルールに基づくシステム」です。

このように、G3Pは多くの国を同時に統制しています。これには、G3P(権威主義的な階層構造)の最高位パートナーによる決定に対する法的異議申し立てが極めて困難になるという支配者にとっての利点、つまりガバナンスやアカウンタビリティを気にしなくても良いという問題があります。

G3Pは伝統的に公衆衛生の視点で実現化されており、特に世界保健機関(WHO)などの国連機関の文書を含む文書において言及されてきました。WHOの2005年の文書「健康のためのつながり」は、ミレニアム開発目標が世界の保健にとって何を意味するかを指摘し、新たなG3Pを明らかにしました。

(引用終了)

 

II.  日本における官民パートナーシップの展開

内閣府のG3P推進を紹介するホームページ

日本においても内閣府を中心に官民パートナーシップは盛んに推進されています。これらは2020年から積極的に会議が開催されて推進されており、2023年にはアクションプランの改定が行われ、30兆円規模の事業目標が示されました。2025年2月には第6回の会議が開かれました。官庁としては、内閣府、経産省、国土交通省、厚労省などが中心になっています。それらを全て国民に害するものとして排除する必要はないと考えますが、前のめりになって無暗に進めてしまうことで、後から多くの問題が生ずる可能性について危惧される点も多くあります。

 

III.  保健医療関連で問題化するG3P

 

WEFはいかなる選挙による権限も持ちません。私たちの誰にも、その判断に影響を与えたり、疑問を呈したりする機会はありません。それでもWEFは、民主的に選出されたとされる政府や、G3Pの他の利害関係者と協力し、私たちが暮らす地球を再設計するために活動しています。G3Pの中核を成すのは、ステークホルダー資本主義です。本質的に、G3Pは利益を追求するグローバル企業を意思決定の中心に置くことで、民主的な政府(あるいはあらゆる種類の政府)を乗っ取ります。理論上は、政府はG3P政策を実施する義務はありませんが、現実には実施しなければなりません。

SDGsは、G3Pに基づくグローバルガバナンスの実践例の一つに過ぎません。このプロセスにおける選挙で選ばれた政治家の役割はごくわずかです。彼らは単に政策を実施し、国民に売り込む役割しか担っていません。誰を選出するかは問題ではありません。政策の軌道はグローバルガバナンスレベルで決定されます。

2000年に英国のWalt氏らがG3Pのガバナンスに関する懸念をWHO年報に発表しています。その指摘によると、G3Pシステムは、利点ばかりが強調されているが、そのシステムにはガバナンス、政策決定者の正当性、政策の市民への説明責任の所在、執行上の適切な能力、適性手続きの尊重の全てに問題があると問題提起されています。

日本においても、グローバル官民パートナーシップの研究が発表されていますが、保健衛生活動を通じた分析においても、企業利益の追求とNGOの求める公共性の両立、最終目標の認識の統一などの課題が提唱されています。

日本における研究良い面もあるが課題も多いと指摘

 

我々の日常生活で、政府が主体的に決めているように見える政策も知らないところで資本主義ステークホルダーが勝手に決めた政策(デジタル化やマイナンバーへの統一、保健衛生政策など)をやらされている事例が実は山積しているという視点が重要ではないでしょうか。

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Deal, Negotiation, 2030年の世界

2025-05-10 15:55:32 | 社会

トランプ大統領の政策に世界は翻弄されていますが、彼の特徴は対外政策、国内政策共に「ディール」にあると言われます。本来外交官などが国際問題で交渉する場合は「ディール」ではなく「ネゴシエーション」という単語を使います。ディールは商売人の交渉で使う単語であり、ネゴシエーションとの違いは後者が±10の間で合意点を見つけてゆくのに対して、ディールはゼロと100の間で交渉するという点でしょう。交渉が成立しなければゼロで終わりますが、大幅に値切られても20で成立すれば±10で10を得るよりも大きな利得を得る結果になります。

トランプは関税交渉で思い切り吹っ掛けて、8割引きで妥協するといった駆け引きを行っていますが、正にディール方式で大きな利得を得ていると言えましょう。日本は大慌てで8割負けてもらって胸をなでおろしている様ですが、本来のネゴシエーションでは±10の間で決着を付けなければ「大負け」であるという自覚がありません。ロシアや中国のトランプ対応を見ると、ディールそのものは相手にせず、「自国の原則から一歩も動かない」という王道のネゴシエーション対応をしている様に見えます。

 

〇  トランプの狙いは国民経済

 

3つ前のブログでトランプディールの正体は国民経済の確立にあることを指摘しましたが、グローバリズムを奉ずる解放経済においては、経済が政治を支配する状態であるものを、ディール政治で経済をかき回すことで政治が経済を支配する国民経済に変える事を目論んでいると思われます。そしてDani Rodnikが提唱する政治経済のトリレンマの三角形において、米国の地位を右中央から左下寄りにすることを目指していると思います。

Dani Rodnikの政治経済のトリレンマ

 

〇  グローバルエリートの構築した経済構造

 

前回のブログで、いかなる通貨政策を行っても、ごく一部の資本家・資産家に富が吸収されてしまう状態をOxfamのレポートを元に示しましたが、このような経済体制、経済の仕組みがいかにして形成されたのか、その具体的な構造はどうなっているのかについて、グローバルエリートの構築した経済構造「グローバルエリートの歴史的分析: 何も所有しなくなるまで略奪する。」というレポートをCenter for research on globalization(CRG)のRobert J Burrowes氏がまとめていたので、第10章まである論文ですが、現在の状態を良く説明した第二次大戦以降の部分のrakitarou要約を載せます。

 

〇  第二次大戦まで

 

世界経済フォーラム(ダボス会議)が2016年に公開したビデオには「2030年の世界では、誰も何も所有せず、足りない物もなく、幸福な人生を送る日が来る」と予言されたのですが、それは一部の富者が全ての富を独占し、それ以外の貧者は「富者から定期的に与えられる配給で所有や貯蓄に拘らず一生暮らす日が来る」と解釈されます。1%の富者が40%の世界中の富を独占しつつある現在、いかに残り60%を今後10年以内に吸収するかの仕組みを解説したのがこのレポートです。

産業革命以降の世界経済の拡大において、一部の財閥が銀行と組むことで、富を独占し、その富で産業や土地開発を手掛けて更なる経済拡大と富の集積につながった事は明確です。株や債券といった仕組みは、実在の貨幣量以上の経済を動かす原動力になり、仮想経済が実体経済をけん引する良い関係も築かれました。グローバルエリートを、19世紀末までに莫大な富を築き、世界社会において卓越した政治的・経済的権力を確固たるものにした一族と定義すると、これらの一族(ロスチャイルド家、カッセル家、そしてモンタギュー家、ヒルシュ家、サッソン家といったユダヤ系銀行家一族)はそれ以前だけでなくそれ以降も、制度や出来事の形成において中心的な役割を果たし、その後の富裕層が台頭する枠組みを提供してきたと言えます。

特に、戦争においては、国家は勝利のためにいくらでも借金をし、勝者は敗者から負債を取り立てる事が明確となり、戦争は銀行と財閥にとって絶好の投資となった。また米国においては、ロックフェラーの義父ネルソン・アルドリッチを始めとする7人が連邦準備銀行を設立して以降の米国の富を集中管理する様になる。FRB設立の趣旨は5つの目的を達成するカルテル協定であり、その目的とは1.国内の新興銀行の競争阻止、2.貨幣を創造して融資する、3.全銀行の準備金管理、4.損失は納税者に負担させる、5.カルテルの目的は国民の保護だと議会を通じて納得させる、であり、それらは21世紀の現在も成功しています。

 

〇  第二次大戦後の支配構造構築

1930年に国際決済銀行(BIS)が設立されたことは、有力な銀行が世界経済を統制的支配する現在も役立っている。そして第一次大戦、第二次大戦は大規模な殺し合いと破壊によって、新たな経済需要と拡大した経済の支配体制構築に大いに役立ちました。特に国内の破壊が皆無で経済をフル稼働させた米国は、ロスチャイルド家、モルガン家、ロックフェラー家、ウォーバーグ家などがニューヨーク連邦準備銀行の株を支配して世界のパワーエリートの地位を確立することになります。

 

そして後にグローバル官民パートナーシップの原型となる、世界銀行、国際通貨基金、G20、G7、世界貿易機関(WTO)、世界経済フォーラム(WEF)、三極委員会、ビルダーバーググループ、国際決済銀行、外交問題評議会などの国際機関を通じて、国家を超えた経済的統治形態システムが構築されてゆきます。

債務帝国主義を紹介するDuke univの著書

それらを第一とすると第二に債務帝国主義の遂行、第三にパンデミックや温暖化に隠れて世界経済フォーラムが推進する「グレート・リセット」の目指す経済構造の変革が目論まれてゆきます。

 

〇  グローバル官民パートナーシップ(G3P)

これらを各国の都合と関係なく推進するシステムが「グローバル官民パートナーシップ」(G3P)と呼ばれるシステムです。(図)グローバリズムを奉ずる解放経済においては、このG3Pシステムが有効に機能して、各国の都合と関係なく政策が進められてゆきます。2021年11月のCOP26会議では、グラスゴーネットゼロ金融同盟GFANZという組織が立ち上げられ、各国に債務を負わせつつSDGs推進を強制する基盤が作られました。

GFANZのホームページから紹介

 

〇  完全支配体制への準備

 

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、中央銀行がデジタル通貨をどの商品やサービスに、いつ、どこで使用できるかを決定可能にできます。また、発行当局は、あなたの「社会信用スコア」、政治的忠誠心、あるいは特定の指示に従わない場合、あなたの銀行口座を凍結、減額、または空にしたり、最新の「アップデート」で機能を変更したりすることもできます。CBDCを国際的に繋げたmBridgeは世界規模の統制を可能にします。またG20で合意した世界的衛生シールドもワクチンパスポートにつなげる国民管理手段として有用でしょう。

BISが主導するmBridge

世界衛生シールドはワクチンパスポートにつながる。

1971年のブレトンウッズ体制の終焉後、世界の政府と中央銀行はほぼ300兆ドルの新規通貨と2.2京ドルの信用通貨を創出し、政府所有の2兆ドルの金に比して10000倍のレバレッジを現在の共同幻想たる通貨に持たせている計算になります。現在金は天井知らずの上昇傾向にありますが、通貨の価値が1/10000になるハイパーインフレが起こった際に、財を持つ者が権力を維持できるかが問われる所でしょう。AI、バイオテクノロジー、暗号通貨といった新しい概念で現在の支配構造を維持できるか、まったく新しい構造が構築されるかは解りませんが、グローバリズムの経済構造が歴史の中で構築されてきた強固なものであることは理解できると思います。

 

〇  富の収奪のポイントは信用通貨の多さ

 

上記の要約では経済構造までは解るものの、実際に経済を回している世界の人々からごく一部の限られた富豪たちのみに金が吸い込まれる理由がまだ見えにくい様に思います。rakitarouとしての解釈を加えると以下になります。

実体経済を日々の生活で回しているのは市井の人々です。銀行が発行した通貨を使ったり、貯蓄したりしている市井の人達が所有しているのは信用通貨を含めた全体の富からは数パーセントに満たない量でしょう。実体経済と信用経済の比率が1:2程度であれば、信用経済が実体経済を牽引する良い刺激になるのでしょうが、余りに比率が離れてしまい、実体経済を活性化するには政府が債務の形で財政支出を続けないといけなくなり、国民の側もそれを当たり前の様に考えるようになってしまった(MMTや財務省解体論などその最たるもの)。その債務漬けの活性化の方法は、「グローバル官民ワークショップ」があたかも人類にとって有益である様にみせかけて提示する。実体経済と信用経済の貨幣価値が同一なので、圧倒的量の信用経済側の貨幣を持つ一部の人達が実体経済を動かす不動産や会社の持ち株、メディアの所有権などを全て支配してしまい、所有権のない人々が少々意見を述べようが体制はびくともしない、というのが現在の仕組みです。

トランプの乱暴ぶりは拡大しすぎた信用経済の適正化に働くか?

一極グローバル体制から、実体経済の半分を握るBRICSが独自の通貨、銀行、国際決済などの体制を構築しようとし、多極体制(二極?)にしようとする動きが現在見られており、一極グローバル側が必死に抵抗しています。戦争というハードランディングは避けたいですが、乱暴なトランプ氏の存在は信用経済の幻想を壊すには有用にも思います。トランプ関税騒ぎで、株価が暴落して東証だけで155兆円が消滅したと報道されています。しかしこの資産価値の消滅は実体経済の景気が原因ではなく、勝手になくなったと言ってよいものです。開放経済から国民経済への変革は、大きくなりすぎた信用経済の適正化につながるならば歓迎すべきではないでしょうか。

 

独立言論フォーラムさんの主催で茶話会が開催されます。ご興味のある方はご参集下さい。

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リフレ、ケインズ、MMT、バラマキ

2025-05-05 11:51:29 | 社会

経済について疎いrakitarouとしては財務省解体で日本は良くなるとか、財政の均衡に意味はないといった理屈が今一つ理解できません。リフレ、ケインズ、MMTの違いについて簡単にまとめたサイトがあったので表を引用しつつ、それでも経済がうまくゆかない理由をOxfamの報告書から検討してみたいと思います。

通貨リフレ理論、ケインズ理論、MMT理論の違い

 

I.  にわかに拡大している財務省解体論

2025年2月に拡大した財務省解体論のデモ

2025年の2月後半頃から、この連休中にかけても、日本をダメにしているのは財務省であるとして、「財務省解体デモ」に千人以上が集まっていることが報じられています。これに新型コロナ対策やワクチンへの不信、WHOへの不信が合わさり、「財務省・厚労省解体デモ」に主張が拡大し、「反グローバリズム」反ディープステート的な主張が合体していると報じられています。

財務省批判の根底には、経済アナリスト故森永卓郎氏の理論である「財務省の財政均衡主義が経済をダメにしている」「政府は積極的に国債発行をして経済回復をせよ」という主張があると言われます。これはいわゆるMMT理論、現代貨幣理論(政府は自国通貨であればいくら借金をしてもデフォルトにはならず、財政破綻もしない)をベースにしていると思われます。しかしMMT理論が絶対的真実で理論通りであるという確証が得られたという話は聞いたことがありません。それを信じている学者が信じていないヒトを阿呆呼ばわりしているのは聞いたことがありますが、それはマクロ経済学が極めてサイエンスとして不正確でパラダイムの確立が困難である事を胡麻化した様だと私には思えます。

MMT理論には慶応大学の小幡教授の様に厳しい批判もありますが、単純明快な理屈で、目先の利得につながるように見えるので受け入れやすいのかも知れません。

 

II.  世界の経済の仕組みを見直さなければ結局国が貧しくなるだけ

 

日本に限らず、世界各国の財政赤字は増加の一途であることは知られています。旧来のケインズ理論では、政府が財政支出を増やせば、庶民の所得が増加し景気が良くなって結果的に政府の税収も増加して財政赤字がなくなるという物です。しかし政府が赤字国債を発行して財政支出を増やしても、増やした支出分の貨幣はどこかに吸収収蔵されて一般庶民が潤うことも政府財政に戻る事もないために、ポストケインズ理論とも言われるMMT理論が考え出されて、財政均衡は無視して支出はいくら増やしても良いという理屈になったと考えられます。しかしこれは共通幻想としての貨幣価値が保たれれば問題ない(ハイパーインフレは避ける)としても、経済構造の結果、結局0.1%の富裕層が独り占めした富によって世界が支配される体制が固定化されるだけの理論ではないでしょうか。つまりMMTこそがディープステイト御用達の理論に私には思えます。以下Oxfamの新しいレポートを交えて説明します。

2025年Oxfamのレポート  

2021年、世界の富裕層1%の資産は世界中の資産の38%、下位50%の資産は2%と言われましたが、2025年1月にOxfamが発表したレポートでは、2024年には富が偏在する速度は一層早まり、貧困層の所得は増えない一方で、億万長者の資産増加率は2023年の3倍になり、しかも億万長者の富の大部分は勤労所得ではなく不労所得あるいは相続によるものであり、グローバルサウスからグローバルノースの1%富裕層へ1時間あたり3,000万ドルの速度で富の搾取が継続しており、世界の二極化が急速に進んでいる事があきらかになったと言います。また2/3の国では直径子孫への相続税が課されることはなく、億万長者の半数は相続税のない国に住んでいると言われます。日本は3代相続すると遺産はなくなると言われますが、米国は25億円までは非課税、欧州の国々でも数億円まで非課税の国も多くあります。各国が自国通貨を発行すればするほど、これら富裕層が金持ちになり、土地や社会インフラ、企業などをますます独占的に所有することになって人類の二極化、支配する者とされる者の固定化が進むという事ではないでしょうか。私がMMTこそDS御用達の理論という理由はここにあります。

現在は富の移管が急速に進んでいる。  富の移管の多くはいびつな経済構造により収奪や相続によるものとなった。

 

III.  全世界の官僚が協力して一律の相続税を課す

相続税の課税率比較 日本は諸外国に比して厳しい(経済構造のいびつさを考えると諸外国が日本に合わせるべき)

どうすれば経済構造を変えられるかは分かりませんが、一つのヒントとして、国家のしくみを管理しているのは公務員である官僚ですから、世界の官僚(多分大金持ちではない)が協力して富の偏在を正してゆく税制を構築する以外ないと思います。そのためには金で支配された政治家を排する必要があり、真の民主主義を再構築する必要があるでしょう。全く簡単ではありませんが、まずは貧しくなりつつある中間層の再生から始める必要があるでしょうか。その答えはバラマキではないと思われます。

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