Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

サービス・イノベータにおける不正への誘惑

2007-06-14 14:01:45 | Weblog
コムスンに続いて,NOVAにも厳しい行政処分が下った。NOVAの急拡大の背景には,業界の常識を破る低価格のほか,テレビ電話の導入(お茶の間留学),子ども向け教室(NOVA KIDS)など様々な「イノベーション」があったはずなのだが,朝日の記事によると,その多くで不正な商行為があったという。

サービスのマーケティング・サイエンスをレビューした Rust and Chung (2006) へのコメントで,何人かの研究者が「にもかかわらず,サービスはなぜ改善されないか(悪化しているのか)?」という問題を提起していた。いまの日本の文脈でいえば,「サービスの革新をもたらしたかに見える企業が,なぜかくも不正を行うのか?」という問いがより重要だと思われる。

企業が顧客にウソをつくインセンティブが,モノよりサービスにおいて強いということがあるのだろうか? サービスはしばしば一定期間の契約を交わし,費用の前払を受けて提供されるので,供給側にあとで約束を破るインセンティブが生まれるかもしれない。だが,より長期の契約を望むのなら,裏切りは離反を呼ぶと予測できるはずだ。いったん顧客を取り込むと,顧客は満足して契約を更新していくという「自信」があったのか,あるいは,また新たな顧客を見つければいいという「焼畑農業」的な発想があったのか・・・。

これはサービスの特質というより,急成長したベンチャー企業の未成熟さによる,という説明もあるかもしれない。だが,伝統ある大企業のなかにも,いまだに談合で摘発されたりしている例があるから,あまり説得的でない。その原因を探ることもさることながら,そうした不正に陥ることなく事業として大成功し,顧客に喜びを与えている模範例を取り上げ,みんなで賞賛することが重要だろう。何があるかな・・・。

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