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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

Marketing Science Conference@Emory

2014-06-21 10:31:03 | Weblog
本日から日本マーケティング・サイエンス学会が関西学院大学で始まるが、先週参加した国際学会、INFORMS Marketing Service Conference のことを書いておこう。場所はアトランタの郊外にあるエモリー大学である。

実は、何年か前にも、この大学でこの会議が開かれている。そのときは、ランチがリンゴとパンだけだったとか、ホテルから炎天下歩いて行くのが大変だっとか、いい思い出がない。しかし、今回は気候も食事も問題なし。

下の写真のような回廊で各フロアを移動しながら、マーケティング・サイエンスの最新の研究動向を、主に social media、social influence というテーマを中心に拝聴した。このテーマ、例年のごとく、大変人気である。



この学会では、特に若手研究者は(必要以上にかどうかはともかく)自分が超高度な手法の使い手であることを競いがちなのだが、そうしたなかで(自分の個人的嗜好で)清涼剤のように爽やかな発表に出会うこともある。

それは、適切にしてシンプルなモデル・手法を使って、データから明快なパタンを導き出したような研究だ(自分の研究については棚に置く)。あるいは、現状は到達していなくても、大きなビジョンを掲げた発表とか。

ピッツバーグ大学のステファン氏の「フェイスブック・ゲノム・プロジェクト」は、ブランドページを大量に収集してエンゲージメントに影響を与えるパタンを見いだそうとするもの。タイトルが野心的で素晴らしい。

分析結果は、いろいろなパタンがありそう、というもので、そんなに明快ではない。進行中の研究でもあるし、今後に期待したいところ。一方、大量データを用いて、それなりに面白い発見をしている研究もある。

ペンシルバニア州立大学のリン氏の「ファッション学」という発表では、デザイナーブランドのウェブページを大量に集めて記述の類似性からネットワークを作り、掲載の時間的順序で「影響」の方向を推定している。

そうして作られた巨大な有向ネットワークから、最も影響力のあるデザイナーを推定、それはラルフ・ローレンだという。発表者はコンピュータ科学者だが、モデルの経験もあって、このテーマで研究しているという。

こうしたデータリッチな研究がいくつかあるものの、全般にはモデルリッチな研究が多い。自分の偏見を抑制すれば、それはそれで素晴らしいものがあって、そんな手法があるのかと勉強になったことは確かである。

最近、この学会の楽しみの一つは、米国で活躍する日本人研究者にお会いすることだ。今回は NYU の石原さん、バークレイの鎌田さん、あまりお話はできなかったがイェールの上武さんとお会いすることができた。

いずれの方も、バックグラウンドは産業組織論だったりゲーム理論だったり、つまり最先端のミクロ経済学だ。こうした分野からのマーケティングへの参入、あるいはモデルの輸出は、今後いっそう進むだろうと思う。

最後の時間に、慶応大学の院生である郷さんたちの発表を聴いたが、堂々たる発表で、日本の若手研究者の将来に不安はないことを実感した。問題は・・・そろそろ国際学会に疲れ気味の、自分のなかにあるようである。

この学会は、来年はジョンスホプキンス大学、再来年は何と上海復旦大学で開かれる。中国系の研究者の多さを考えると、上海での開催は不思議ではない。日本からの参加者は、そのときはいつもより多いのだろうか・・・。

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